「師匠が悪いんです」
一体何をしでかしたかわからないが、八雲のせいで、出雲という息子は八雲の下から離れたらしい。 断言する兄弟子たちのそばで、八雲が泣き喚いている。 居間でのカルタの途中。 もう誰もカルタをやろうとはしない。
「師匠」
子供ながらに、今この場面で口出しするのはどうなのか躊躇われた。 が、言えば八雲が喜ぶだろうと加賀斗は口を開いた。
「僕、歌舞伎が好きです」
普段の自分とは舞台では別人だ。正に、変身。加賀斗はそれが楽しくてならない。もちろん、大変なこともたくさんあるけれど。 出雲はそんなことなかったのだろうか。舞台を賑わせていたという出雲は。
会いたいな、と思う。
会って、歌舞伎の良さを伝えたい。
そして、出来れば一緒に歌舞伎を演じたい。
「出雲の代わりにはならないかもしれませんが、頑張ります」
「加賀斗」
八雲が加賀斗の顔を見遣る。
喜色が浮かんでいる。
「何子供に気を遣わせてるんですか!」
結果的に八雲に更に兄弟子たちが、怒鳴りつけていたが、八雲が少しでも笑ってくれたので、良かったなと加賀斗は思うことにした。



小さい加賀斗可愛い過ぎる。