一体どうしたらここまでの疲労を起こすのか。 ゴンとキルアと団長との人質交換が終わり、一段落したと思ったら、クラピカは寝込んでしまった。 もう寝込んで三日目になる。 目を覚まし、少し会話したかと思ったら、ふっと意識がなくなるかのように眠りの世界へとクラピカは誘われてた。 三日目、とうとうクラピカは会話をするだけではなく、起き上がることが出来た。 傍には、レオリオが一人いた。

「クラピカ、起きて平気か?」
「ああ」
そう言うクラピカだったが、隠しようもない隈が目の下にある。 三日間もの間、食べ物をまともに食べていないので、頬もこけている。 そんなクラピカにペットボトルの水を渡した。
「何か食べれそうか?」
「少しなら」
「食べとけ、食べとけ。飯作っといたから」
「レオリオ、今、何日だ?」
時間ではなく、日にちの確認だ。以前は時間を聞いていた。流石に日にちが変わったことに、気付いたのだろう。
「………9月6日だ」
「そうか」
「ゆっくり出来ないか?」
「ああ。ボスが帰郷している。戻らなければならない」
「それは不味いな」
いつ起きても大丈夫なように、服はクラピカの枕元に置いていた。
「シャワーも浴びたいんだが」
「ああ。シャワーは…」
淡々と普段の日常へと戻ろうとしているクラピカを見ながら、引き戻せないかと少し考えた自分の考えが浅はかなものだと思い知らされた。 ハンターになりたい理由が、幻影旅団への復讐と仲間の眼の奪還にあったのだ。 そして、実際にハンターになった今、誰がそれを止められるのだろう。 ゴンとキルアはグリードアイランドというゲームをプレイするために、修行をしている。 ゴンは父親に会いたいというハンターになるための目的を今も、追っている。 止めることなど出来ない。 それと同じだろう。
レオリオは立ち上がり、食事の用意をするために、キッチンへと向かった。 粥くらいなら食べられうだろうと作ったものだ。 鍋に入っている粥をコンロで暖め、小さな器に移す。 先ほどまでクラピカといた室内へと入れば、既にシャワーも浴び、服を着替えていた。 髪が濡れていた。
「早いなあ」
「あまり時間がないからな。センリツは?」
「買い物に出かけている。直ぐ戻ってくるだろう。いい人だなあ」
「ああ」
恐らく、クラピカはセンリツに心を開いている。 そんな人間が、クラピカの傍にいてくれて良かった。
例え、自分が傍にいたとしても何か変わるとは思えないが。
「飯、食えよ」
「君が作ったのか?」
「言っとくけど、普通の味だからな」
一口、スプーンで掬って、クラピカは自分の口へと運んだ。
「普通の料理も作れるんだな」
ハンター試験の二次試験のときを言っているのだろう。懐かしい。 「だから言っただろう」
「準備が出来次第、帰るよ」
「おう、そうか。みんなで見送りに行くよ」
「いや、帰ることはゴンやキルアには話さない」
「何でだよ」
水臭い、とそう言うと「修行の邪魔したくないからな」と返ってくる。
一口、一口、クラピカは粥を運ぶ。 あっという間に別れの時が近付いてくるのがわかった。 そろそろセンリツも帰ってくるだろう。
「クラピカ」
「何だ?」
あんまり無茶するなよ、とそう言いたかった。 しかし、言葉には出来なかった。
「いや、元気でな」
別の道がないのか、それも言いたい。 しかし、ないからこそ、クラピカは今の道を選択しているのだ。 そんなクラピカに自分が出来ることは、何かあったときに助けることくらいだろう。
お前は一人じゃないからな。
食べ終わって、床に器を置いたクラピカをレオリオが抱き寄せた。 スーツが濡れるのも構わなかった。 男にしてはクラピカは、少し細い気がした。 ぴくりと一瞬身体が動いたが、クラピカは文句を言うこともなく、大人しくレオリオの腕の中にいた。