リンゴーン空港でのクラピカとセンリツと別れの際、レオリオはセンリツに「クラピカをよろしく頼む」とそう言った。
クラピカはボスに電話中だった。その隙に、と思ったのだろう。
そのレオリオの言葉を聞いて、どんな人物なのかわからないわけにはいかないだろう。



飛行船の中には、思いがけず、たくさんの人がいる。 一体皆はどこに向かおうとしているのか。
一人、見送りに来てくれたレオリオのことを思い出した。
「レオリオって温かい人ね」
センリツの言葉に、そうだな、とクラピカが返す。
どこか、他人事のようだ。 敢えて、そのようにしているのだろうということが汲み取れた。
レオリオは貴方のことを大事に思っているわね。
そう、敢えて言おうかと思ってしまった。 そうしたら、どんな反応をするのか、少し興味がある。
「彼の心音を聞いていると何だかほっとする」
耳がいいから、たくさんの人の心音が否が応でも聞こえてしまう。 嫌になったりもする。 そんな中で、安堵するような心音を聞くのは、少し嬉しい。
「そうなのか」
クラピカの目がさっとセンリツに向けられる。
一瞬、思った。もしかしたら、同じことをクラピかも感じているかものかもしれないと。
「クラピカがハンター試験を受けたときからの付き合いなのよね」
「ああ。ゴンもキルアもだ」
「いい子たちね。また会いたいわ」
自然と、その言葉が出てきた。
「そうか」
そう言いながらも、クラピカが考えてるのは、仕事のことなのだろう。 完全にスイッチが切り替わってしまっている。
飛行船からは、外の景色が広がっている。 もう、恐らくレオリオはリンゴーン空港から離れただろう。 隣で話をしながら、センリツにはクラピカの心音を聞き入った。 若干、前よりも穏やかになっている気がした。
今まではずっと悲壮な、それこそ冷たい音をいつまでも奏でていたから。
どこまでも沈んでいきそうな。

だから、そんな心音が出来るとは思っていなかったわ。 心音は正直だから。
笑いを浮かべそうになりながら、センリツは窓を見遣った。

飛行船はヨークシンの空を飛び立っていく。 青い空が眼下に広がっていた。