雪が酷く降り積もっていた。 そんな町の景色を見ていたアルフォンスは、兄を迎えに行こうかと迷っていた。 兄は迎えに行かなくても平気だろうと思いもした。 執務室ではエドワードの後見人であるロイが残っており、仕事が片付かないのだとそう言っていた。 それでも、心配になるのはあの兄だからだろうか、それとも、性格なのだろうか。 結局、兄が戻って来るのを待っていたのだが、兄は帰って来なかった。 連絡を待っていたのだが、連絡もない。 朝早く、アルフォンスが雪が止んだのを見届けると、宿から出て、司令部へと向かうことにした。

「すみません、ちょっと出かけてきます」

アルフォンスの言葉に、厨房に立っていた宿の主人はただ、頷いた。

「もう兄さん、連絡の一つでもくれればいいのに」

兄の不精を呪っても仕方がない。 アルフォンスは東方司令部を目指して、足を進めた。

外は一面雪の世界だった。 踏む度にさくさくと音が立つ。 家や木々や車の上にも降りかかっている雪に、当分、足止めを食らうことになろうことが予想がついた。 白い世界は見ている分には綺麗だったが、その反面、寒々しくもある。 早朝の為もあり、外に出ている人も見かけない。 そのせいなのか、見渡す家の中がとても温かく感じられた。

たどり着いた当方司令部には、人の気配がしかなかった。 誰もいないのかな、と朝早く出てきたことを思い出しながら、ふと、声が聞こえた。 その声は小さかったけれど、確かに、エドワードの声だった。

中庭まで行こうとして、もう一人誰かいることに気付いた。 恐らく、ロイではないのだろうか。 喧嘩でもしているのかな、とそんな想像をした。 彼らが普段から顔を合わせれば、よく口喧嘩をしていたからだ。 しかし、足を進めて見たのは、二人がキスをしている場面だった。 角度的に見ても間違いないだろう。 二人の姿はどこかで見た絵画のようにアルフォンスには映った。 二人の着ている服の相反する赤と青の色が白の世界にいるからか、切り取られたかのように鮮やかに目立つ。

(あ、そうか)

何がそうか自分でもよくわからなかった。 ただ、見ていて酷く納得がいくものであったのが不思議だった。

(大佐と兄さんは――――)

お互い気付いていないかもしれないが、似たもの同士の二人だった。 その所為か、よく口喧嘩をしていた。 それでも、お互いに嫌っていないことは知っていた。

だから。

僕だけの兄さんでなくなったのは寂しいことだけど、そろそろ兄離れしなくちゃね。

そう、心の中で呟いた。





宿に戻ると、主人が出迎えをしてくれた。 アルフォンスの後ろに誰かいないかと探しているのを見るところ、心配してくれたのだろう。

「どうしたんだい?兄貴を迎えに行ったんじゃなかったのか?」
「迎えに行ったんですけどね、未だ残るみたいです」
「そうか。寒いと思ってココア二つ分用意したんだが」

ココアは飲めない身体なんです、とそう言うことは出来なかった。

「ありがとうございます、僕の分だけいただきます」
人の優しさが伝わってくる。
そう言うと、主人は柔らかく笑った。