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高知県に住むMさんから「雨漏りがする」と言うことで、自宅兼事務所の検査依頼がありました。その建物は、一目見て「雨漏りして当然」と思えるような形状でした。片方向に流れている屋根の、庇部分の防水処理がなされておらず、降り付けた雨がそのまま室内に入ってしまうような、ずさんな工事がなされていました。設計した建築家N氏は業界団体のリーダー的存在、施工したO社はゼネコンでした。両者に事情を聞いたところ、N氏は「施工が悪いから雨が漏る」と主張し、O社は「設計図通りの施工をしただけ。補修は有料で」と言い、平行線です。しかし、Mさんに責任がないのははっきりしているので設計事務所が掛けていた保険で補修費用を出してもらい、改修することができました。家を建てるに当たって、Mさんは建築家に設計を依頼、施工業者数社から見積もりを取り、建築家のアドバイスのもと施工業者を選んで、建築家に監理もしてもらえば良い家ができると考えたようです。こういう人が増えているようですが、私が相談を受けている経験から言うと、建築家は必ずしも代理人として建て主の利益を最優先に考えてくれる人ばかりではないと思います。確かに、建築家は設計のほか、施工業者の見積書や施工計画書のチェック、工事監理などを行います。しかし通常、総工費が高くなればなるほど、設計料は上がる仕組みになっています。つまり、施工会社が建設費をかければかけるほど、建築家の懐も温まるという現実があります。また、建築家も施工業者も、建物が完成しなければ、報酬を得られません。だから、少々の失敗があっても、やり直しなどは好まない傾向にあります。両者は「利益共同体」の側面があるのです。では、建て主が自衛しつつ、設計と施工を分離するにはどうすればいいのでしょう。答えは「欠陥が発生した場合、設計者・施工者が連帯し、その回復に当たる」と契約書に明記しておくことに尽きます。 |