
◆林哲夫装幀展―自作回顧と装幀本コレクション 10月28日〜11月6日 京都パラダイス(山崎書店二階)
●昨日は謎の中国人夫妻の訪問を受けた。さすがにスケールのでかい話をいろいろ聞いた。公園規模のお墓を作ったり(専属のお寺もある)、輸送船を十数隻も所有していたり、ビルはあちこちにいっぱい持っているし、別世界の話を楽しむ。ご本人たちはそんな様子を感じさせないいたって佳き人たちである(もち、日本語ペラペ〜ラね)。
●最近見つけた書物ブログ。古書渉猟日記(アートな写真がステキだ)と本の街日記(神田に勤める男性のようだが、誰でしょう?)それから
Book Covers
from the NY Times Book Review は英語ができなくても見て楽しめる。
●ピオーネを一箱もらったので、ナベツマが白ル・クルーゼを使ってジャムを作った。

●「文字力100冊」、江戸時代の表紙をいくつか。『新版歌祭文』は安永九年(一七八〇年)九月二十八日に大坂竹本座で初演されている。本文は木版。表紙は手書き(所有者の筆?)。右の三冊、中国の文学思想を学ぶことが第一義だった時代、本はこんな顔付きだった。『文選』は京都の書肆。この『詩経集註』はわりあい古いもののようだが未詳。それぞれタイトルの文字体に注目。すべて二百円均一にて。
・33 お染久松新版歌祭文 野崎村の段 近松半二
・34 六臣註文選 第六十巻 野田庄右衛門重周+八尾勘兵衛友久 寛文二年正月(1662)
・35 詩経集註 第八巻第九巻
・36 孟子集註 二(第三〜六巻)須原屋茂兵衛他 安政二年(1855)

2005年10月9日(日)枯れ草や他人(ひと)の本みなうつくしく
●昨夜、Mさんより古本メールが来ていた。さすがである。《皆さんが天気も上々豊作の初日に行かれた天神さん。三日目は雨が降ったり止んだりと最悪。百円均一のシートを捲り上げて買えたのが、『新小説』大正15年8月号表紙破れ、『天使』横光利一昭和10年創元社裸本? 野間宏と椎名麟三のどちらも麻生三郎装の本くらいです。とても30センチも積み上げることは出来ませんでした。それでも『蝶』室生犀星細川叢書が1000円でみつかったのでヨシヨシです。明日は天気も良さそうなので再度挑戦してきます。四天王寺も。(ヨウヤル)》
そして本日、次のメールが。《今日は絶好の古本市日和。四天王寺で『俳苑叢刊 百萬』石塚友二、『或る男・其姉の死』志賀直哉細川書店函背一部欠を拾ってきました。天神さんで『美しき家族』山村酉之助椎の木社昭和10年函を見つけました。樋口一葉でおつりがあるので思い切って買いました。『芥川龍之介』山岸外史新ぐろりあ叢書300円も嬉しいです。四天王寺で『石田波郷句集』沙羅書店を見つけてウットリしてしまいました。でも2万円は。次はいよいよ知恩寺ですね。》たしかに「ヨウヤル」ですが、なかなか好調じゃないですか。
天神さんに扉野良人の姿が見えないと思ったら、早稲田の古本まつりに出張していたようだ。《穴八幡は大阪天満宮ほどの規模で、雰囲気もなんとなく似ていました。最終日のせいか本をゆっくりながめておっとみつけたのが瀧口修造訳のダリや、ほかアルトー、ブニュエルなどがはいった戦前の映画シナリオ集を五百円でみつけました。》とのこと。セドロー日記(10/6)にも記載あり。
2005年10月8日(土)ロオリエもしをらしく在り窓の露
【ナベツマ通信《待てど暮らせどinvoice》】
今回のeBayではオークションが終了してからやきもきさせられた。だってインボイス(請求書)がいくら待っても来ないんだもん。ヤフオクでは落札するとヤフーからそのお知らせメールが届く。eBayの場合も似たり寄ったりで、まずは落札のお知らせメールが届き、次に落札物の値段に送料が加えられた請求書がやってくる、これがインボイスである。ちなみに下記のメールが落札お知らせ。
『Congratulations, the item is yours. Please pay now!』
→「やったね!ブツはあんたのもん!さあ払って払って!」
オークションの最中に送料の問い合わせが済んでいる場合には、このお知らせメールの計算書きに自分で送料を打ち込み、全体費用を算出し支払うことは可能である。が、すぐにペイナウして後で出品者がカンカンということもあるようだ。なぜなら、出品者によっては送料に加えて、多少なりの梱包費用を追加してくる場合もあるから、「インボイスが届くまで支払ってはいけない!」と明記されたオークションは結構多い。で、次がインボイス。
『Here's the invoice for your item.Click Pay Now to confirm
shipping, get total price.』
→「さあ請求書だっちゃ!ペイナウボタンをちょい押して、送料を算出してみるべー、そうすりゃ合計出てくるだっちゃ!」
そう、これがいくら待っても来なかったのだ。加えてちょうど円安に為替が振れたので、これもまたヤキモキする原因となった。1円2円というなかれ!
ちょうど去年のナベ通(ナベツマ通信の略:そういえば、ファミ通の吉田戦車の「はまり道」は面白かった)を読み返してると、なんと1ドル102円とある。今は113円〜114円なのだ。ヤキモキ・・・。
いつも速攻で支払いを済ませているナベツマは、毎日毎日イラつきながら待っていた。こんなことで待つなんて・・・これじゃあナベなんていつ到着するやら(支払い済んでないのでもちろん発送はまだ)。eBayに記録が残るように、「はよーインボイス送らんかい!」メールを毎日のようにeBay経由で出品者に送信していた。4日たっていい加減うんざりしていたところ、次のようなメールと共にインボイスがやって来た。
『Sorry for the delay. I was out of town on a consulting job.
I am back now and will research the shipping charge.』
なんだってえ、なんで自分のオークションを放り出して出かけるんだよ! しかも送料はこれから調べるだってえ! 拳にちからが・・・。で、次に来た
メール。
『Hayashi-san:Economy (Surface) Parcel Post (10 pounds) $30.25Estimated
delivery time to Japan is 4 - 6 Weeks.
Thank you
for your purchase,あなたの購入をありがとう』
むむむ、なんで日本語が英語の後に続くんだよー??? こんな一言で全部水に流せというんかあ!!と叫びつつ、ジャアーと水洗で流してペイパルでさっさと支払ったとさ。
・29 不惜身命 ヤマモトユーゾー 創元社 昭和十七年二月五日 絵=山村耕花 書=安藤芳瑞
・30 晩夏 堀辰雄 甲鳥書林 昭和十七年八月二十四日四版
・31 小さな手袋 小沼丹 小澤書店 昭和五十一年四月二十日
・32 三茶日記 坪内祐三 本の雑誌社 二〇〇一年十月三十日 装幀=多田進

2005年10月7日(金)銀杏の実紙魚らを想う空もよう
●貸本喫茶ちょうちょぼっこで「ラララえほん」の展示が始まったと55さんよりお知らせいただく(〜30日)。できれば、覗きたいと思いますが。
●大阪四天王寺の古本祭は今日から11日まで。個人的には天神さんで十分というかんじ。そうそう、昨日、にとべさんから聞いた、にとべさんが住んでいる東大阪のある地域に中国の人たちがたくさん住んでいて、よく公園で将棋をしているという話題が印象に残っている。地面に線を引いて、石ころを置いて、ただそれだけでゲームをしているというのだ。石には文字も印も書かれていないとか。面白い。中国将棋は日本の将棋とはかなり違うと思うけど、石の形とかで駒を見分けるのだろうか。ちゃりんこ日記で写真撮って紹介して欲しい。
中尾さんが、ウンチクの年賀状に犬の絵(ミカン)が描いてあったので今年が戌年だと思いこんでしまったという話も笑えた。半年間ずっとそう思いこんでいて、あるところで酉年にちなんだニワトリの絵を見せられ、「あれ? 今年、戌年ちゃいますの?」と言ってしまって大恥かいたと。ウンチク家は毎年イヌ年なので、あしからず。
●「文字力100冊」、昨日と同じようなパターンだが、貼り題箋は25のアカギ叢書だけ、他は印刷になっている。おもちゃのように小さくて薄っぺらいこれらの文庫は眺めているだけで楽しい。ラッキー文庫はどうだか知らないが、他はみな表紙に色変わりがある。
・25 壺の鬼 スチブンスン 斎藤茂訳 アカギ叢書13 赤城正蔵 大正三年六月五日四版
・26 地の糧抄 アンドレ・ジイド 辻野久憲訳 山本文庫3 山本書店 昭和十一年六月二十五日
・27 卒翁夜話 尾崎行雄 アテネ文庫17 弘文堂書房 昭和二十三年五月十五日
・28 アメリカ新聞読本 細入藤太郎 ラッキー文庫10 コバルト社 昭和二十一年六月二十日

2005年10月6日(木)裏枯れの古書にまみれてアマツカミ
●大阪天満宮の天神さん古本まつりへ朝から出かける。十時開始の数分前に到着。おもむろに百円均一のコーナーへ向かう。古書キリコの樋口さんに挨拶。ふと見ると、百円均一だけは時間前からビニール・シートが外され、ハゲタカ(いや古書ファン)が群がっている。思わず早足に。山本はすでに三十センチほど積み上げてキープしながら目を皿のようにしてさらなるエモノを物色していた。こちらも、ぼちぼち取りかかるが、案外いいものがつぎつぎと目に飛び込んできて、気づくとやっぱり三十センチは積み上げて持ち歩いていた。ぐるぐると二つある均一台を八の字に廻り歩き、山本と何度もすれ違う。中尾さん、横山さん、吉積さんらの顔が見える。
100円コーナーで買った本など、めぼしいものだけ。
・冨山房出版図書概要 冨山房 明治三十六年四月
・生活・叡智・思索 長谷川如是閑 雲井新書3 雲井書店 1953年9月30日 栞「雲のたより1」付き
・LES ENFANTS TERRIBLES, JEAN COCTEAU, BERNARD GRASSET,
1930(60版)
・少女界 第三巻第一号 金港堂 明治三十七年一月一日
・女学世界 第七巻一号 博文館 明治四十年一月一日
・続地方記者 朝日新聞社編 朝日新聞社 昭和三十七年八月十日 装幀=佐野繁次郎
・欧米大陸遊記 鶴見祐輔 大日本雄弁会講談社 昭和八年六月十五日 装幀=恩地孝四郎
鶴見祐輔『欧米大陸遊記』、裸本だが、こういうのは好きだ。
他には、キトラ文庫で五百円使う。百均で満腹した後は食指が鈍くなる。
・文学雑誌31 文学雑誌発行所 昭和三十七年三月十五日 200円
・塔影 第十一巻第五号 速水御舟追悼特輯 塔影社 昭和十年五月十日 300円
砂の書さんに声をかけられる。田中栞女史が先日、砂の書を訪ねた話など。ナベツマの鍋買いすごいですねとのお言葉あり。いやあ、ほんとわが家は鍋が積み重なって、身動きがとれない状態です(ウソ)。キトラさんと『coto』次号の打ち合わせをしていると、海鯛先生に捕まる。親友が亡くなった話。キトラさんが新宿ゴールデン街で飲み屋をやっていたころの客だったそうだ。
中尾さん、にとべさん、大島さん、山本と五人で天神橋筋のお好み焼き屋で昼食。途中、山本から「岡崎といっしょに歩いていたとき、肩にオオムをのせた男とこのへんで出会ったんや」と聞いて、なんとなく納得するアナーキーな雰囲気が天神橋筋にはたしかにある。食後に、天牛書店をのぞく。中尾さん、大島さんは帰宅。残りの三人でコーヒーを飲んで別れる。山本は百円均一に取って返した。お盛んですなあ。
●「文字力100冊」、貼り題箋でそろえてみた。版画莊文庫が洋書の体裁を意識していることは間違いない。24(右端)のROSENLOCHERは1947年ドレスデン生まれの作家である。アマゾンで入手可。神田で200円だった。インゼルのこのシリーズはけっこう好きだ。スムース文庫もこれを範とした。
21 VINCENT VAN GOGH, C. GLASER, VERLAG
VON E. A. SEEMAN, 1921(グラゼール「ゴッホ」)
22 HEBROISCHE
LESEFIBEL, M. ABRAHAM, T. KAUFMANN VERLAG, 1932(アブラハム「ヘブライ書字入門」)
23 春遠し 伊藤永之介 版画莊文庫2 版画莊 昭和十二年七月二十日
24 LEIBST
DU MICH ICH LIEBE DICH, T. ROSENLOCHER, INSEL VERLAG, 2002

2005年10月5日(水)木犀やにわかに夜の深み知る
●「林哲夫装幀展」のDMがグラフから昨日届いたので、山崎書店まで持参する(このページ左上の図)。途中、烏丸通松原角の「ハン六」で「なべ道まっしぐら2」をコピー。裏表同時にコピーできて、片面5円。山崎書店にDMを置く。店主は組合へ出かけて会えず。いつもの「タケリア・パチャンガ」でタコス・ランチ、「一善や&ママン・デセール」でケーキを買い、「パン・ド・ラディ」でパンを買い、千本通の無印良品に寄って帰宅。雨なのに道路はけっこう混んでいた。五十日(ごとび、ごとおび)は今でも三割増しの混雑になるようだ。
●「絵葉書の小さな世界展」(阪急古書のまちりーち、10月13日〜25日)の案内状来る。これはちょっと面白そうだ。
●アトリエ箱庭、幸田さんより『dioramarquis』01号届く。羽良多平吉氏によるアートディレクションで、華雪、未生響、小野原教子、東瀬戸悟、とらんぷ堂、戸田勝久、山下陽子、黒木まがり、幸田和子、小谷廣子、角谷慶、田中栞、森本暢之、各氏の寄稿になるシンプル・ゴージャスな冊子である。
『dioramarquis』01 紙紐で綴じてあるのがカッコイイ!
ここにカラーで掲載されている「とらんぷ堂」コレクションのジャン=ジャック・ポヴェール本(ブルトン「黒いユーモア選集」、レアージュ「O嬢の物語」)はぜったい欲しくなる! 昨日の「文字力100冊」14番がやはりJ-JPの一冊だが、洒落た本を作る版元だ。ポヴェールについては彼自身が一九六八年までを回顧した著作『La Traversee du livre』(EDITIONS VIVIANE
HAMY, 2004)がある。
一九四二年、ポヴェールは十五歳で学校を放逐され、ガリマール書店の見習いとなった。レジスタンスの連絡係を務めていてドイツの刑務所へ送られたのが十六歳。戦後、十九歳で初めてサルトルのテキストを出版し、マルロー、ジード、レーモン・クーノーなどを次々に手掛けた。二十歳のときに、公刊された世界最初の『サド全集』の版元となる。アンドレ・ブルトンの最後の版元でもあり、ブルトンのところでバタイユに出会っている・・・・(以上書評などより抜粋)。一九七二年に独立系版元としては初めてゴンクール賞を獲得(ジャン・カリエール)。その後アシェットに買収された。そのせいか、装幀も『サド全集 Oeuvres completes
du Marquis de Sade』(1991)の他はパッとしないようだ。
●「文字力100冊」、いま少し洋書の文字組を見ていただこう。すっきりしていて真似しやすいのか、17(左端)は弘文堂の新書にそっくりのデザインがあるし、18(二番目)は新潮文庫のクリーム色ジャケットとほとんど同じデザインだ。オレンジの表紙の本は『十五世紀から十七世紀のタイル貼り暖炉』に関する研究書、厚表紙・背布装。
17 LES FLEURS DU MAL, BAUDELAIRE, EDITIONS
DE CLUNY, 1941(ボードレール「悪の華」)
18 DREI STUDIEN ZU
HEGEL, T.W.ADORNO, EDITION SUHRKAMP, 1966(アドルノ「三つのヘーゲル研究」)
19 KACHELOFEN DES 15. BIS 17. JAHRHUNDERTS, HERBERT
NAGEL, FRANZ SCHNEEKLUTH VERLAG,
20 AMORES, JOSEF
EBERLE, ARTEMIS VERLAGS, 1961(エーベルレ「愛」)

2005年10月4日(火)五十まで栞数えて露時雨
●『暮しの手帖』編集部のHさんより栞に関して電話取材を受ける(南陀楼綾繁による古書店案内の隣に載る予定だとか)。ここのところずっと古本がらみの記事が一般雑誌をにぎわしている。たしかにプチ古本ブームなのかもしれない。『Meets
Regional』11月号(京阪神エルマガジン社)も本の特集。下鴨の古本まつりのときに岡崎武志といっしょに来ていた編集者二人の担当である。なかなか細やかに取材している。今読んでいる本をいろいろな人に尋ねているのは、どうしても似たような記事になりがち。人選とレイアウトで勝負というところか。人物写真も工夫がある。トップは内田樹センセイ。筋のいい読書をしている(白川静『孔子伝』、勝海舟『氷川清話』、森銑三『明治人物閑話』)。岡崎武志師範、山本善行ゲストの「古本道場」もわるくない。表紙も文字力全開(津村正二)。

●海文堂書店と大島さんから同時に『海会(カイエ)』27号が届く。サンクスです。ちんき堂さんが海文堂書店でフェアーをやっているそうだ。これは画期的なことではないか(?)。平野義昌さんの「本屋の眼」という連載エッセイを毎回楽しみに読んでいる。先の衆院選挙の自民大勝に対するユダヤ陰謀説、ぼやき節に拍車がかかってます。
●16日からの『アンダーグラウンド・ブックカフェ』目録届く。ゆっくり眺めてみたい。
●「文字力100冊」、ドイツ、イギリスときたので、今日はフランス。文字組みはやはり独英よりも緩い感じだが、なんというか、そこが優雅さになっている。『パサージュ』はパリで買った。ボードリヤールはネットで、バタイユは神戸の古本屋で500円、カミュは古本まつりの百円均一だったと思う。
13 NOCE, ALBERT CAMUS, EDITIONS GALLIMARD,
1950(カミュ「結婚」)
14 MA MERE, GEORGES BATAILLE, JEAN-JACQUES
PAUVERT, 1966(バタイユ「母」)
15 OUBLIER FOUCAULT, JEAN
BAUDRILLARD, EDITIONS GALILEE, 1977(ボードリヤール「フーコーを忘れろ」)
16 PASSAGES,
HENRI MICHAUX, EDITIONS GALLIMARD, 1998(ミショー「パサージュ」)

【ナベツマ・ジャンク】
セカチュウはピカチュウほど可愛くなかった(ピカチュウはその姿も声も仕草もちょーかわいい!)。ちょい役のクドカンは脚本参加のほうがよかったと晩鮭亭さんがブログに書いていて同感。また、ヒロイン役の長澤まさみを見せるための映画ともあったが、むしろ、そのひょうひょうとした演技の森山未来が、田舎の高校生だとあんな感じかな、という様子で好感がもてた。森山未来はテレビドラマに出始めたときから、妙に気になる男優で、最初が「TEAM」、続いて同年の「さよなら、小津先生」で透明感のあるどこか悟りきったような高校生を演じていた(2001年からずうっと高校生かよ?? そう言えば、ダイハツ・ミラジーノのCMでも、きれーな金髪先生にからんでくる高校生を演じてる)。「TEAM」は、文科省から警視庁に出向してきたエリート官僚を草薙剛が演じ、都会の寒々しい少年犯罪を描いていて君塚良一の脚本が冴えていた(「さよなら、小津先生」も「踊る大捜査線」も君塚の脚本)。それにしても、最近の映画って長すぎて感情移入が続かない・・シンクロできない・・「逃げちゃダメだ!」、あん?? さて、今秋のドラマは何を見よーかなー
2005年10月3日(月)金線の闇に散り果て虫の声
●夏中、忘れていた線香花火をやってしまう。庭に火薬の匂いがたちこめた。何事かとミカンがのぞきに来るが、火花がチカチカしているのを見て引っ込んでしまった。庭の隅でマイペースな虫が、ちちち、ちちち、と鳴いていた。
●西院の古本屋での会話を思い出したので書き留めておく。店頭の均一(三冊二百円、一冊百円)でしゃがみこんで本を一冊一冊見ているおっちゃんがいた。こちらが源氏鶏太を二冊引き抜いたとみるや、「にいちゃん、ここにも源氏あるで」と教えてくれるおせっかいなおっちゃんだった。源氏ではなく表紙の絵に興味があるということを手短に答える。そして三冊にするためにもう一冊を探していると、横光利一集が目に止まった。あろうことか、その本をさっと取り上げる帽子の男性がいるではないか。一瞬「しまった」と思ったが、案の定、帽子男は素っ気なく本を戻した。それをすぐに拾って店内で支払いをすませる。
店の表で帽子男と、しゃがんだおっちゃんが話し始めた。内から聞くともなく聞いていた。( )内はウンチクのツッコミ。
帽「うちも本がいっぱいあるんですわ。家が傾くぐらいねえ。紙はほんまに重いんですよ」(ほんと、ほんと)
お「最近、古本屋もつぶれるとこが多いで」(潰れるって、意味がちがう)
帽「古本屋はたいていまわってます」(負けずにマイペース)
お「下鴨神社でやっとるやろ、古本博覧会」(おい、おい、納涼古本まつりだよ)
帽「・・・ああ、ぼくも毎年行きますわ」(なかなかの通やね)
お「ぎょうさん本があるそうやな」(おっちゃん、耳学問かいな)
帽「でもやっぱり神田ですね、ええ本が集まってる」(それはそうだ)
お「神田? たいしたことないやろ」(関西びいき満開)
帽「東京行ったら必ず寄りますけど、手塚治虫でもえろう高いんですねん」(うんうん、N野書店さんなんかね)
お「・・・」
帽「四千円ぐらいします」(なんでやねん!)
お「・・・」
●「文字力100冊」、ペンギン・ブックスから四冊。文字の選び方、配置の仕方、イラストとのコンビネーション、ペーパーバックならではの縦長の判型を生かしている。
09 HERZOG, SAUL BELLOW, PENGUIN BOOKS
LTD, 1973(ソール・ベロー「ハーツォグ」)
10 THE SAME DOOR, JOHN
UPDIKE, PENGUIN BOOKS LTD, 1970(アップダイク「同じ一つのドア」)
11 THE
HEART OF THE MATTER, GRAHAM GREENE, PENGUIN BOOKS LTD, 1974(グリーン「事件の核心」)
12 DO YOU LOVE ME ?, R.D.LAING, PENGUIN BOOKS LTD,
1977(レイン「好き?好き?大好き?」)

ベローのイラストはベン・シャーン。アップダイクのデザインはデレク・バーゾール(DEREK
BIRDSALL)、イラストはマイケル・フォアマン。グリーンもデレク・バーゾール。彼はイギリス・デザイン界の長老で、数多くのペンギン・ブックスの表紙を手掛けている。著書に『Notes
on Book Design』(Yale University Press, 2004)などがある。
2005年10月2日(日)そこここの蛇の衣の落葉踏む
●「世界の中心で、愛をさけぶ」TV録画を見たナベツマのグチ。まず、これは讃岐じゃないよ〜。さぬきは庵治町の高校生が標準語でしゃべる・・・ああ、聞き苦しい。それから香川県には一九八六年に路面電車は走っていなかった(おまいら、愛媛と香川をごっちゃにしてすまされると思うとんの)、せめて琴電志度線で撮影して欲しかった。もうひとつ、山崎努!
出前のラーメンなんか喰ってんじゃねえよ!(うどんだろ、うどん)。結論=「GO」の方がずっと良かったな〜・・・とまあそういうわけで、泣いた人ごめんなさい(調べてみると、原作者・片山恭一は愛媛県生まれだった)。
●田中栞女史より火星の庭での書肆ユリイカ展に関連した講座の無料受講券(手作り)が届く。岡崎ももらったらしい。岡崎は仕事がてら仙台まで出かけるそうだ。ちょっとうらやましい。展示リストも同封されているが、大阪展よりかなり多くのユリイカ本が並ぶようだ。上記サイトでの書肆ユリイカ連載三回目アップされている。
●田中大氏より、氏の専門とする古代教会スラブ語(古教会スラブ語)について以前尋ねていたので、その参考にと、木村彰一『古代教会スラブ語入門』(白水社、一九九五年三刷)のコピーが送られてくる。
古代教会スラブ語はすべてのスラブ文語中最古のもので、十〜十一世紀にブルガリア地方とマケドニア地方で作られた。紀元862年、モラビア侯ロスティスラフはドイツからの影響に脅威を感じ、東ローマ皇帝ミカエルに対し宣教師の派遣を依頼し、皇帝はテッサロニケ人のコンスタンティノスとメトディオスに伝道を命じた。コンスタンティノスは早速に独自の文字セットを考案して福音書を翻訳し始めたと伝えられている。
863年秋にモラビアへ着いた二人は活動を開始し、典礼にまで古代教会スラブ語を使用し始めて、ドイツ人聖職者たちを驚かせた。というのも当時は、ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語の三言語以外で神の言葉を伝えるということは夢想だにできなかったからである。867年にローマ教皇から古代教会スラブ語の使用を認められ、コンスタンティノスは没する。以後、メトディオスが翻訳事業と普及に務めたが、ドイツ人司教から迫害も受け、855年に没した。
メトディオスの弟子たちの多くはブルガリアへ逃れ、古代教会スラブ語によるブルガリア文学の最初の黄金時代を導くことになる。さらに広範なスラブ世界に広がった古代教会スラブ語はそれぞれの地域で方言を反映した言語となり、十二世紀初頭にはスラブ祖語は解体してしまう。1100年がその境界と定められているそうだ。
古代教会スラブ語の文字体系は二種類ある。グラゴール文字とキリール文字。前者がより古くコンスタンティノスらが考案した文字に近いと考えられる。田中氏が同封してくれたグラゴール文字による「アッセマーニ写本」のカラーコピーが下図である(ごく一部)。内容は新約聖書の福音書だそうだ。(大阪府章に似ている文字もある、ちなみに大阪府のマークは千成びょうたん)
古教会スラブ語による「アッセマーニ写本」(ヴァチカン図書館蔵)
田中氏は古本シーズンを目前にしてプラハへ戻られるとのこと。ご活躍のほどをお祈りする。
●「文字力100冊」、今日はレクラムの小型本から四種類を選んだ。ウニヴェルサル・ビブリオテック(Universal-Bibliothek)、ようするにドイツの岩波文庫。06の文字体はガラモンド・アンティカ、07はプティ・ガラモンド・アンティカだと注記がある。文字にこだわっている証拠だろう。すべて古本まつりの百円均一で購入した。ちなみに戦前のレクラム文庫はヒゲ文字を使用しており、春陽堂文庫とほとんど同じ縁飾がある。
05 DIE NIEBELUNGEN, RECLAM-VERLAG, 1955(ヘッベル「ニーベルンゲン」)
06 AUS MEINEM LEBEN, HEBBEL,PHILIPP RECLAM JUN., 1964(ヘッベル「わが人生について」)
07 GEDICHITE, GOETHE, PHILIPP RECLAM JUN., 1969(ゲーテ詩集)
08 NU〓KNACKER UND MAUSEK〓NIG, E.T.A.HOFFMANN, PHILIPP
RECLAM JUN., 1990(ホフマン「くるみ割人形とネズミ王」、〓は文字がないので)

2005年10月1日(土)絞っても絞ってもスダチの緑
●郷里から段ボール箱いっぱいのスダチが届いた。三百個くらいはありそう。すべての実を半分に切ってレモン絞りでせっせと絞る。ジュースを冷凍しておけば長期間楽しめる。
●蛸薬師新町西入るの町家でやっている「コーヒー祭」へ。アキオブレンドを飲む。さらりとして美味。帰途、京都芸術センターでチラシ類を取り、西院の古本屋を久しぶりにのぞいた。かわい書房の表は三冊二百円。
・御身 源氏鶏太 中央公論社 昭和三十七年九月二十日 装幀=佐野繁次郎
・二十四歳の憂鬱 源氏鶏太 講談社 昭和三十八年六月二十日 装幀=佐野繁次郎
・横光利一集 創元社 昭和十六年四月二十六日十四版
『御身』は帯と薄いビニールカバーが付いている(破れアリ)。『横光利一集』は「道頓堀中座前天牛本店」の古書店レッテルが目当て。おじいさんは居らず、息子(?)さんが店番していた。他に古本を置いている店が二軒あるも、これといってなし。
●京都パラダイスでの装幀本コレクション展に出品する予定の本を紹介していく。「文字力100冊」というコンセプトで選ぶ。すでにデイリー・スムースで紹介済みのもの入るだろうが、重複を承知で書影をアップする。まずは細川書店から四冊。この簡素な表紙がたまらない。敗戦後の物資不足の時代である。本文用紙も粗末なザラ紙なのだが、それがかえって味わいになっている。細川書店・岡本芳雄の造本は日本近代の装幀史に残る名作揃いと思う。
01 竹 山本有三 細川新書2 細川書店 昭和二十三年三月二十日
02 河童 芥川龍之介 細川書店 昭和二十三年一月二十日再版
03 河童 芥川龍之介 細川書店 昭和二十一年八月二十日
04 無法者 里見弓享 細川書店 昭和二十三年一月十日

eBayとの時差、これは結構こたえる問題だ。なんで日本時間の真夜中や早朝にオークション終了時刻を設定するんだ!!! それは向こうの勝手で
しょ!といわれればそうだけど。だって日本人が一番高値で落札するんだから、日本時間に合わせてくれたっていいじゃん!!!
と怒りつつ、目覚まし時計を枕元に置いて、仕事疲れから起きれないかも?なんて思いつつ、夢のなかに入っていった昨日の夜。
まだ薄暗いなか、ミカン(飼い犬)がごそごそ動き始めたので、アラームが鳴る前に目が覚めた。で、明け方5時過ぎにeBay始めたナベツマ。だが、目がしょぼしょぼで、これはイカン! 数字の桁やらドットの位置を何度か間違えそうになりつつビッド。
あれ? 昨夜は同じシリーズのナベ3点にそれぞれ違うアメリカ人が入札してたのに、気のせいか、今朝は、みんな同じ日本人の入札者に代わってる。おえっ。しかも、何度、終了間際
にビッドしても、どんどん値段が上がるばかりで、ちっともこちらが最高額入札者にならない・・・。一体、この日本人は何ドル入れてるんだ!
2点は惨敗・・・ああ、とうとう最後の3点目のナベ。もおお、あったまに来て、時間のある限りビッドしたら、最後の1秒くらいで最高額入札者に!
というような夢を見た・・・と、今朝起きてぼおーと思っていたら、メールボックスにちゃんとインボイス(落札の請求書)が届いていた・・・ちゃんちゃ
ん。