2004年4月30日(金)老画家は、サルスベリの膚、箒(ほうき)もつ
近所に何人かの日本画家が住んでいる。業界では老大家として知られる人たちらしい。毎朝、見かけるSさんは、必ず掃除をしている。
先日のインクジェット用両面印刷用紙「印字上手」、柿本では、全紙でないと取り寄せできず、裁断料が必要という。注文を取りやめ、ネットで調べると、A4判で小売しているところがあった。すぐに電話をして送ってもらう。
庭のまたたびの枝葉を切る。あまりに繁りすぎ。「枝切りて眼鏡にカメムシ休むなり」。午前中、水彩のつづき。
『雲遊天下』36号届く。「復活春一番10年」。ボブ・マーリー記念コンサート、5月15・16日、須磨海岸、入場無料とか。編集者の村元さんが書いている、《期せずして本誌も創刊10年。創刊するときは気楽なものだった》《やれるところまでやってダメならいつでも止めればいいと思っていた。いつの頃からだろう、次の1号を出すことだけが目標になったのは》・・・ごくろうさまです。ボブ・マーリーが聴きたくなった。「bob
marley & the wailers the birth of a legend 1963-66」(1990、CBS)があったはずと、家捜しする。
2004年4月29日(木)ジェット雲、定規で引いた、さつき空
四月だが五月晴れの朝。漱石の『こころ』と『鶉籠』を水彩で描く。
昼飯がてら、車で外出。丸太町通河原町東二本目南側角の「パキスタン・カレー」でランチセット。カレー、サラダ・チャパティなどの一品、チャイかコーヒー、デザートで二人前2000円ポッキリ。ここのカレーはさらりとして独特なおいしさ。
山崎書店の「第1回手作りArtbook展」http://www.artbooks.jp/をのぞく。今日から5月5日まで。予想以上に楽しめる展示だった。手描き絵本、イラストレーション、さすが美術書店の関係者だけあっていずれも工夫があり腕が立つ。小説や日記もあるし、京都に在住する外国の人たちの出品もある。かなり凝った和洋の貼り交ぜ帖(古書です)も展示されている。なかでは福本浩子さんの文字を消した本が印象的だった。既成の四六判の文学書(?)の印刷部分を、サンドペーパーを使って、全ページ削り取っている。どこを開いても、わずかに消し痕が残るだけ。表紙にも文字はない。コンセプトの奇抜さと作業の緻密さが感動的。先日の『週刊文春』じゃないけど、ある種の発禁本ですな。活字媒体だってフラジールなものなのだ。
居合わせた京都新聞の記者i氏と会場で雑談。「この本はなんのためにつくってるんでしょうね?」・・・和紙で作った絵巻のような本を見ながらまじめに問いかける。すべてのものが何かのためにあるものじゃない。先日のテレビ局ディレクター氏と同じコトを言うので困ってしまう。まあ、企画書的にはこじつけが必要なのかもしれないが。それこそ自己責任、自己完結でしょ。
玄関でマン・レイ石原さんにばったり。いつもの休日散策の途中だとか。Caloさんで『ミカン ア・ラ・モード』を買ってくださっていたので、車のなかの実物ミカンに引き合わせる(「イラストそっくり」とのお言葉いただきました)。最近の日録では、しばしば海外のカタログにマン・レイの高額作品(数千万円)が出ていて、嘆息しておられるので、そのあたりの事情をうかがうと、「手が届かないと分かっていると余計ほしくなるんだよね」とコレクター魂躍如たる返答あり。日録では、買った話と買えなかったボヤキとをうまく取り合わせるのが難しいそうだ。
しばらくぶりに岡崎の日記をのぞくと、たのしい「ブ」の歌がありました。無断引用。
なにか変わったことはございませんか、と
ちりりんちりりん、ベルを鳴らし
自転車にまたがりおじさんは
今日も行きます「ブ」のつく店へ
あれあれまたまたありました
100円のところにあの本が
半額のところはなぜ見ない
どうせいつかは100円に
……以下割愛
(「ブ」パトロールの歌)
http://www3.tky.3web.ne.jp/~honnoumi/frame.okadiary04.4.htm
「sumus」12号の目次・内容紹介をアップしました。ご覧ください。長い連休がありますので、余裕をみて、仕上がりは5月20日を予定しております。
平凡出版(現・マガジンハウス)の創立者のひとり凡亭清水達夫の句集に『ネクタイ』(ふらんす堂、1993年)がある。俳句は短いだけにごまかしやすいはずなのだが、結局は人品骨柄がにじむ。そう言う意味で、ちょっといい句が見えている。「春雨や待ち人をなお待たんとす」「別れきて夜のぶらんこゆすりけり」「生来の無口の性や目刺食う」・・・、季節はずれだが「初刷を校了にしておでん酒」なども好きだ。
「日本の古本屋メールマガジン」その14・4月27日号に「小出版社の冒険」展の案内が出る。http://www.kosho.or.jp/
月刊『印刷雑誌』5月号(4月20日発売)の宣伝メールが来る。定価1,470円(本体1,400円+税)特集《装丁と製本》釘を使った製本と「装釘」〔大貫伸樹〕他、詳しくは
http://www.japanprinter.co.jp
2004年4月27日(火)水速し花のごときもの流しゆく
『ユリイカ詩と批評』5月号、中島らもインタビューがおもしろかった。中島らもっていう人はまっとうな人間だということがよく分かる。躁鬱病は父親の遺伝だと自分で断定している。父親は尼崎のJR立花駅近くで歯科医を開業していた。《おれといっしょ、ちょうど四〇歳ぐらいで発病してますから。怖いですよ、躁病の歯医者って。「これも抜きましょか!」みたいなね(笑)》
『サンパン』III期7号届く。表紙がすこし変わってオシャレになった。巻頭、松本れいさんのインタビューは貴重だ。平井功の父親、平井成の行状が、いかにも明治の土佐っぽという感じでドラマになりそう。「店番日記」を笑いながら読む。笑えるだけじゃない、文章がしっとりしてきたと思う。http://www.edi-net.com/
中尾さんより出品用の本が届き「アンダーグラウンド・ブック・カフェ 地下室の古書展」(6月13〜15日、東京古書会館)の目録、あとは南陀楼の出品リストだけと思って、メール・ボックスを見たら、ちゃんと届いていました。ごくろうさん。
将棋名人戦第二局、8五飛戦法で森内二連勝。四局先に勝った方がチャンピオンなので、羽生苦しい展開になった。ちなみにスタンリー・キューブリックはチェスの名手だった。不遇時代には賭けチェスで生活していたという。マルセル・デュシャンもチェス好きだったようだが、どの程度の腕前だったのか知りたいものだ。なお羽生名人はチェスも日本代表クラス。
『藤沢桓夫句集』(編集工房ノア、1991年)の序文に司馬遼太郎がおもしろいことを書いている。藤沢が句会を催していたことがあった。そこに詩人の小野十三郎も加わっていたが、途中で抜けた。その理由が《句会にゆくために平素俳句のことばかり考えんならん、あたまが俳句だらけになって詩の邪魔になってかなわんのや》だったという。蘊蓄斎も散歩のときは俳句だらけになっているので同感だ。「かはたれの水明かりして猫柳」桓夫。なお、今日出会った女子七楽坊はおばさんの集まりだった。
『ユリイカ詩と批評』5月号を図書カードで買う。細馬宏通氏の新連載「絵はがきの時代」を立ち読みして。特集は「鬱」だったが、まあ、ノーテンキな蘊蓄斎には読むところはあまりない。ただベンヤミンとヴァールブルクの肖像写真が出ていて、二人とも左右の違いはあれ、片手を顔面にあてている。たしかに憂鬱そうである。そういえば、漱石や芥川にも顔に手をあてたポートレートがあった。この決めポーズが流行った時代があったようだ。
2004年4月25日(日)船を出し車を止める神渡り
松尾神社の御輿が桂川を渡る祭礼の日。御輿を洗うというか、水を渡るというのは、祇園祭でも行われるし、日本各地でも見られる。豊穣儀礼の一種だろう。昼過ぎ、モスバーガーの帰りに通りかかると、ちょうど御輿を載せた船が流れを横切っているところに出会った。http://kyopics.convi.ne.jp/toppr/kmt029x-m.htm
版下の仕上を終了。つづいて「アンダーグラウンド・ブック・カフェ 地下室の古書展」(6月13〜15日、東京古書会館)の目録のために「sumus」12号特集「小出版社の冒険」の要約を始める。「小出版社の冒険」展出品リストなどを10ページにまとめる予定。http://underg.cocolog-nifty.com/tikasitu/
「[本]のメルマガ」2004年4月25日号。特別寄稿「ひとり出版社はひとりじゃない」(内浦亨→京都の個人経営出版社「冬弓舎」の代表が語る、設立秘話)。秘話ってほどじゃないが、今でもやっぱり出版とはこういうものなんだなあと思える、いい話。
一段落したので、夜は画業にいそしむ。今年になってから、かなり久し振りに、緑の風景を描いている。
2004年4月24日(土)枝豆のみどり数えてみる一膳目
今日は四天王寺の古本祭初日である。残念ながら、今月の燃料が切れたのでパス。版下を仕上げなければいけないし、1日からは勧業館(春の古書即売会)があるし。
中尾務さんより『詩遊』2号(詩遊社、2004年4月25日、tokami@gaia.eonet.jp)と『幻燈』5号(北冬書房、2004年4月28日)掲載の「うらたじゅんの中之島図書館」コピー、届く。前者には映画「美しい夏キリシマ」(黒木和雄監督、2002)の感想を寄稿しておられる。『幻燈』5号の紹介が右にあります。http://plaza.rakuten.co.jp/accesshanjoe/
昨日、恵文社でもらったチラシのなかに貸本喫茶ちょうちょぼっこの「おとなの古書市」(5月3日、4日)があった。高橋鐵、宇能鴻一郎、林静一・・・なるほどそういうジャンルですか、考えましたね。http://www.nk.rim.or.jp/~apricot/chochobocko.html
「sumus」12号、ようやく最後の仕上げにかかる。月曜入稿をめざす。
妻が録画していたスタンリー・キューブリックについての番組(第1回)を見る。7月26日生まれとは、蘊蓄斎と同じだ(パスワードには使ってませんので、ご心配なく)。雑誌カメラマンからスタートしている。
2004年4月23日(金)ホオズキとキンギョソウを食べた午後
資源ゴミの日。新聞を出しに行くと、岩波文庫が数冊、新書といっしょに束ねて置いてある。マックス・ヴェーバーが2冊と和辻哲郎の『風土』(1992年、24刷)を引き抜いて持ち帰る。やれやれ、どうしようもない本なのだが。
ミカンと妻を乗せ、車で恵文社一乗寺店へ。『Pennant Japan ペナント・ジャパン』(PARCO出版、2004年)出版記念展。壁面いっぱいにズラリとペナントのうろこ。ここの壁はけっこう広いのだが、きれいにぴったり納まっている。壮観だ。その後、ギャラリーの小物や新刊書をいろいろ見たりして、結局は、古本コーナーで『三田文学』49巻10号(三田文学会、1959年11月)を買う。植草甚一が《ためしにマイルス・デヴィスがトランペットを吹いている「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」の曲を、ひとりぼっちで聴いてみたまえ。そこには小説にも絵画にも描かれたことがない真夜中ごろの人間の情感と空気と色彩があることを発見するだろう》などと書いている。《デヴィス》だよ。
上賀茂の「トラットリア・ルーコラ」(電話075-706-8530)でランチ。北山通りから北三筋目。周辺に畑が目立つ住宅地。近所で採れた野菜を使っているというイタリアン。たしかに前菜の野菜がおいしい。メインも悪くない。しかもデザートがかなりのものだ。今日は、ヨーグルトのシャーベットに苺、キンギョソウ、ほおずき、ミント。そしてエスプレッソ。これで1,575円(メインがパスタのピッコロの場合)。315円プラスでデザートを三種盛り合わせにできる。
京大農学部そば(進々堂の東隣)のシサム工房(エスニック民芸店)をのぞき、山崎書店へ。「第1回手作りArtbook展」http://www.artbooks.jp/に出品する本(らしきもの)を持参。受け付けは25日まで(ちょっとぐらい遅れても可だそうなので、その趣味のある方はぜひ出品を)。山崎夫妻留守につき、忘れた傘はまたもや所在不明で持ち帰れず。
寺町二条上ルの紙司柿本へ。『ミカン ア・ラ・モード』用の紙「印字上手IJ」を注文。そのまんまのネーミング。それともインジージョーンズ?
帰宅すると、郵便物がたくさん届いている。『Pennant Japan ペナント・ジャパン』も扉野より。赤目四十八瀧は「あかめしじゅうやたき」じゃなかったかな? などと思うが、ささいなこと。楽しい一冊になっている。で、ふと「ペナント」の語源を調べてみると、penna(羽、翼)のようなのだ。これはpenna(ペン)やpennello(刷毛、筆)の語源でもある。それがpennon(槍につける長い三角旗)になり(大正時代、パノンというキャバレーが道頓堀にあったが、これは「旗のバー」とも呼ばれ、要するに居酒屋を「旗亭」というところから名付けられた、ということを思い出した)、おもに海軍が使う三角旗(pennant)になり、スポーツの優勝旗(ペナント・レースって言うじゃありませんか)になり、まあ日本の観光地で売っているアレになったのである。
花田書房(池田市槻木町1-14-302)より『海浪』60号、特別記念号。岡崎が林芙美子の「めし」について書いている。この号で休止だそうだ。川崎彰彦さんの「ぼくの早稲田時代」も完。ちょっとさびしいです。
『彷書月刊』5月号。すむーす堂広告掲載誌。特集は「嬉嬉会会」、過去現在のいろんなサークルを取り上げている。均一小僧岡崎は「パラダイス展」の報告、うまいもんだ。
夏目美知子さんの詩集『朗読の日』(編集工房ノア、2004年)。とうとう出来ました。我ながらちょっとすごいカバーです。堂島のジュンク堂にはノア・コーナーがあるので、ぜひ。詩もとってもいい。「なにがなしということ」など新境地という感じがする。《坂本さんは、バスを降りると、道路の中程に埋もれた/白いタイルを、ちょっと踏む。タイルは欠けていて真/四角ではない。坂本さんは、そのタイルをつま先で踏/んでから駅に向かう。バスが定位置より前の方に止ま/った時も、後戻りをしてそのタイルを踏む。》以下略でもうしわけない。古書店シール省略ゴメン。
2004年4月22日(木)空きありの札かくすほど三味線草
終日、図版の指定。写真分解を印刷所に依頼するものがおよそ40点あるので、縮小・拡大の計算など、けっこうな手間がかかる。これをきちんと指定しておかないと、あとで泣きを見る。なにしろ、校正を取らない一発印刷なのである。あとは、プリンターのトナーと光学体ユニットを新しいものに交換して刷り出し、版下として図版原稿とともに印刷所に送るだけ。
ピカソが1940年にフランス警察(第三共和制下)によって帰化申請を却下されていたことが最近判明したそうだ。この「自称現代画家」には「アナーキストの疑いがある」というのが理由だった。スペイン内戦に関する活動が疑惑を招いた原因のひとつだったようだが、このことをピカソは誰にも語っていなかったので、これまで知られていなかった。当時の外国人登録関係の書類はナチスが持ち去り、さらに赤軍がモスクワへ運び、1992年になってやっとフランスに戻されたという。その調査から判ったらしい。http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3208,36-361884,0.htm
TV、沢口靖子主演「新・科捜研の女」に「仮面ライダー555(ファイズ)」(前作シリーズ、今は「仮面ライダー剣(ブレイド)」)に出ていた青年たちが3人まとめて出演しているといって妻が騒ぐ。たしかに「仮面ライダー555」はヴィジュアルがとてもよくできていた。ストーリーもかなり複雑で子供番組とは思えなかった。さすがにちょっと複雑すぎたかも。
先日、日録の読者の方から「俳句が好きです」というメールをいただいた。初めてほめられたので素直にうれしい。そのカエさんも一句添えてくださった。「柳の芽 モリスの壁紙そのままに」。なるほど、そうくるか。返句「豆のつる無可有郷へと伸びゆくか」。ちょうど豆のつるが今どんどん伸びているので、こうしてみたが、薔薇のつるでもよかったかなあ。無可有郷はユートピア、モリスにかけた。
アッチャ〜、一本、原稿を飛ばしてました(誰のとは言いません)。慌ててはめ込む。当然、ページ数が増える。112になりそう。
松本八郎より電話あり。『サンパン』III期7号、来週には出来上がるそうだ。目次をスタッフの藤城さんに送ってもらう。《扉野良人「松本れいさんインタビュー―平井功の父、平井成の風貌姿勢」/南陀楼綾繁「〈聞き書き〉作家・小沢信男一代記その5―青春と敗戦が同時にやってきた」/春日井ひとし「生田葵山の「和蘭皿」ほか」/矢部登「木版画の詩人清宮質文」/中尾務「富士正晴、島尾敏雄」/島良作「独逸古書日記(その三)」/盛厚三「木下杢太郎『和泉屋染物店』」/河野三男「ナンサッチ・プレス(その二)」/向井透史「早稲田古本屋店番日記」/菅野俊之「書評:『福島県詩史年表』」/林哲夫「小野松二と作品社(その六)」/他》。とくに松本れいさんインタビューは楽しみだ。
澤井繁男さんより、著書『時計台前仲通り』(編集工房ノア、2004年)をいただく。澤井さんはイタリア・ルネサンスや魔術、錬金術に関する書物を多数著されているが、私小説家というもうひとつの顔をもっておられる。『旅道』(編集工房ノア、1994年)を刊行されたときに表紙画を添えさせていただいてからのお付き合い。新著は、札幌の少年時代を回想する短編と中編で構成されており、重いものを引きずりながらも、小説を書く愉しみが伝わってくる佳作群である。
昨日、京阪書房の50円ボックスで中村真一郎『頼山陽とその時代 上』(中公文庫、1976年)を拾った。今朝、近所のシャクヤクが雨に打たれてみじめな姿になっていた。どっちも癪だ。
やはり昨日、古書現世さんより『ある出版人の肖像 矢部良策と創元社』が届いた。いい本を出している。南蛮美術コレクター池長孟の『邦彩蛮華大宝鑑』(1933年)はいかにもすごそうだ。中原中也『在りし日の歌』(1938年)、川端康成『雪国』(1937年、48年)、織田作之助『夫婦善哉』(1940年)、小出楢重『めでたき風景』(1930年)などなど、粒よりの名作が創元社から出ている。
なかで気になったエピソードをひとつ。昭和23年、小林秀雄が雑誌『創元』の第1輯を編集していたとき、編集者のひとりが苦労してもらってきた渡辺一夫の原稿を一読、「これはうちの雑誌に合わんといって返してこい」と命じたという。二人は同門(東大仏文)の先輩後輩だ(むろん小林が後輩)。小林の雑誌にかける意気込みを感じさせる(ただ意気込みすぎて第2輯で終わった)。その原稿は『中央公論』に回ったそうだが、『創元』の気風、ある種の反動性を示しているように思われる。当時、多少なりとも反動であることは生半可なことではなかったろう。おそらく小林としては戦前戦後を一貫したいという気持が強かったのではなかろうか。渡辺はユマニスムで一貫していた希有な知識人だったにしても、戦後の論調は多少鼻につくところもある。
「sumus」12号、ページ付け。これをちゃんとやっておかないと、あとで悲劇になる。一昨日のフィルムをスピード・プリントに出す。まずまず。あとは指定を書き込み、清刷りにかかるのみ。あ、表紙のデザインが残っていた。
昨夜来、何も内容のないジャンク・メールが大量に届いて閉口する。なかにまじって扉野より《二十日から恵文社でペナント展(ユトレヒトでも同時開催)。パルコ出版からの谷本研君の編著『ペナント・ジャパン』の刊行を記念してのイベントです。時間があれば観てください》とのメールあり。ペナントっていうのがなつかしく、おもしろい。
http://www.keibunsha-books.com/gallery/index.html
http://www.utrecht.jp/flo/index.php#pennant
今日も湯川書房で山本、扉野と待ち合わせ。某テレビ局のディレクター氏との顔合わせ。古本も含めた京都の書物状況を伝える番組を作りたいそうだ。それは悪くないが、出版も、新刊も、古書もいっしょくたにするのでは、いい番組はできない(敢えて言わなかったが)。古本の魅力については主に山本が語る。ディレクター氏は古本屋巡りに何か意味をもたせたいらしいが、意味らしい意味はないので、ちょっと困る。「何冊本を買うか?」と問われる。この手の質問はあまり意味がない。それでも山本は一ケ月に100冊、扉野も50冊は買っているという。蘊蓄斎は30冊がいいところ、もっと少ない月の方が多いだろう。
さらに「買った本を全部読むのか?」という愚問中の愚問が出る。本は読むものという先入観を捨てることを説く。本にはさまざまな情報が集積されている。手に取ったときの感触でさえ、重要な情報のひとつである。山本は読む方だというが、とうてい買った本を全部読むわけにはいかないだろう。また、読みに読んで、梗概だけを本にしている人もいて、まあそれはそれでいいのだが、アンタは読むだけでいいんじゃないの、と言いたくなるようなときもある。
南陀楼綾繁より『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版、近刊)の目次届く。いよいよ5月には出るらしい。近刊告知のページをつくる。http://www.mumyosha.co.jp/index.shtml
「少林サッカー」(チャウ・シンチー+リー・リクチー監督、2001)を録画で見る。息子が劇場で観て、面白いと奨めていたのだが、くだらない。くだらないのは好きなほうだが、これはくだらなさすぎる。同じ女優のヴィッキー・チャオ(香港の菅野美穂)が出ている「クローサー」(コリー・ユン監督、2002)の方が楽しめた。
さっそくマン・レイ石原さんよりご教示あり。墓碑銘はマン・レイの口癖だったとのことで、石原さんは「呑気にしているけれど、無関心ではいられない」と訳しておられる。マン・レイらしい世間(女性に限らず)に対する興味と距離の取り方を表しているように思われる。
朝から、第一芸文社、書肆季節社、三島書房、高桐書院の本を次々にセッティングして撮影する。ニコマートEL(自動露出付き一眼レフのはしりである)を学生時代からずっと使っていた。機械にはあまり凝らない。ところが昨年、露出計がイカれてしまい、修繕もできないと言われたので、同型の後継機FM3を買った。ニッコール45mm付き。室内の自然光で、反射板だけ使う。仕上がりはやや暗くなるけれども、人工照明では出ないニュアンスが好きだ。
山本原稿校正、メールで届く。南陀楼からも再校、ファックスで。やっとこれでページ配分が決定できる。104ページになりそう。
午前11時に湯川書房へ。山本と待ち合わせ。写真を撮るため第一芸文社の本を受け取る。なかなかどれも造りがいい。原稿は今朝届いていたのでレイアウトして持参した。校正は明日までとする。「sumus」12号、これでようやくほとんど全部そろった。それらの本をさかなに三人で書物、出版談義をしばらく。ケララで山本とランチを食べ(ゴチになりました、原稿遅延のため)、尚学堂平台を覗く。山本、雑誌『百味』をパッと手に取り、パラパラッとめくって「文痴庵が書いてますよ。河上くん知ってるやろな、でも買うとこか」、さすが。ここで別れて帰宅。
マン・レイ石原さんより「マン・レイ展―まなざしの贈り物」展チラシ届いていた。石原さんの日録(../manrayist/daybook2004-4.html)を見て送付をお願いしたもの。銀座7丁目の本社ビルに開館したハウス・オブ・シセイドウで6月3日〜7月18日まで。6月初めに上京する予定なので見られるだろう。http://www.shiseido.co.jp/house-of-shiseido/html/
『愛の墓』、ちょっと昨日は感情的になりすぎた。55ページに(ノンブルがまた見にくい)マン・レイの墓が載っている。これは収穫。妻ジュリエットも同じところに葬られ、ふたり並んだ写真がはめ込まれている。マン・レイには何人もの女友だちがいたが(いわゆる「アミamie」ですな、みんな脱がしてます・・・あたり前か)、最後を看取ったのがジュリエット。この墓から「わたしのものよ」という彼女の声が聞こえそう。墓参者が置いたのか、40個以上のフィルムのケースが捧げられているのが、なんともいい。
マン・レイの丸い墓には「unconcerned / but not indifferent / MAN RAY /
1890-1976 / love juliet 」、そしてそこにくっついた四角いジュリエットの墓標には「JULIET MAN
RAY / 1911-1991 / TOGETHER AGAIN 」とある。マン・レイの方は彼自身の言葉のようだが、ちょっと訳しにくい。ジュリエットがこの言葉を選んだのだろうから、たとえば、「好きにしていいよ、でも気にしてないわけじゃないからね」という訳はどうだろう、ロマンチックすぎるかな? いずれにせよ『愛の墓』、この写真だけで許す。
『春の古書大即売会目録』(京都市勧業館、5月1日〜5日)が斜陽館より届いている。斜陽館さん、最近目録もらってないけど、大丈夫ですかね。以前、心細いこと書いてたから心配。7730『あまカラ』197冊、10,500円は安いでしょう。欠号が埋まるけどなあ・・・。
西東三鬼(さいとう・さんき)に「水枕ガバリと寒い海がある」という傑作があるので、ちょっといただき。鯉も恋のシーズン。空には気の早い鯉のぼり。虎は鯉に三タテ喰らった。偶然にも三タテで人質解放。よかったよ。
古書現世のもくろく『逍遥』60号届く。ウソのような本当の店番日記、快調。大谷晃一『ある出版人の肖像 矢部良策と創元社』(私家本、1988年)速攻メール注文。この本、案外と見ない。真偽は知らないが、何やら遺族ともめたという噂。
海文堂書店に注文しておいた和田州生[写真]・岸エミ香[構成]『愛の墓』(PIE BOOKS、2003年)が忘れたころに届く。墓が好きで、墓に関する情報をひそかに集めているが、はっきり言って、この本にはがっかりした。墓の写真はまあいい。しかし、そこに墓主の略歴を入れるとは、なんたること。略歴ぐらい人名辞典でもネット検索ででも簡単に入手できる、超有名人の墓ばっかなんだから、生没年と生没地だけで十分(巻末の参考文献に人名辞典類をずらっと挙げるなんて・・・ひどすぎ)。墓碑銘、墓誌、墓を作ったデザイナーとか設計者とか石工とか施工者、どこの墓地のどこに所在しているのか、墓にまつわるエピソードなどなど、分かる範囲内で、ちゃんと記述しないとだめでしょ、墓の本なんだから。それなら、倍の値段でも買います。ああ、これがネット購入の辛いところだ。
ま、それはともかく、海文堂書店の『海会(カイエ)』9号が同封されていたのがうれしい(books@kaibundo.co.jp)。風来舎が山口砂代里さんの句集『そうねという』、歌集『仕方のない人』、散文集『普通の日』をまとめて出版したそうだ。風来舎は『林哲夫作品集』(1992年)の版元である。伊原さん元気?
吉行淳之介、小説はヘタだが、エッセイには絶品がある。『目玉』(新潮社、1989年)を読んでそう思った。『吉行淳之介エッセイ・コレクション3』にこう書いてあった。《人生がおろしたてのセビロのように、しっかり身に合う人間にとっては、文学は必要ではないし、必要でないことは、むしろ自慢してよいことだ》(自叙伝)。やっぱり、編者の荻原魚雷が好きそうな人だね。
昨日もらった『未来』、「編集者が推す絶版・品切・未刊本」と題した巻頭アンケートがなかなかだ。17人の編集者が答えている。推すんだったら自分で復刊しろよ、という話になるわけだけれども、そうもいかないのが世のならい、かな。
昨日、京都駅、近鉄百貨店の古書展初日だったそうだ。知らなかった。すぐそばまで行ってたのに。残念。
京都駅伊勢丹内の美術館「えき」へ。高畠華宵展。モノセックスな感じが特徴的だ。生涯独身だったとか。感心したのは大正〜昭和初期にかけての印刷技術、展示されていた原色図版など、なかなかの上出来。それにしても、深みも何にもないこの軽薄美こそがその時代の最大公約数なのだろうか。
四条に戻って、ジュンク堂で荻原魚雷編『吉行淳之介エッセイ・コレクション3』(ちくま文庫、2004年)を買い、『未来』4月号をもらい(内澤さんの本棚探検隊最終回・杉浦康平)、坪内日記を立ち読み。東京堂書店ふくろう店に坪内さんの古本棚ができたんだそうだ。新刊書店大手が軒並み古本屋開業だ(だって神保町だもん)。錦小路を通って、大丸で紅茶(レピシエ)を買う。味禅でそばランチ。
帰途、西院で降りて、久し振りにかわい書房をのぞく。とくになし。ブニュエル『映画、わが自由の幻想』(早川書房、1984年)が500円だったのが救い。ぐるっとまわって駅に向かっている途中、米屋で古本を売っているのを発見。これはこれは、奥まで入って点検点検。オッと思う本にはそれなりの値段が。仕方ないから表紙が汚れている『季刊みづゑ』(美術出版社、1987年秋)を300円で。尾崎秀樹の連載「現代挿絵考3
小村雪岱」が目当て。レジ横には『彷書月刊』がずらり、有名古書目録もずらり、これじゃ抜けないです。
帰宅してPCを開くと、ちょうど届いた「[本]のメルマガ」2004年4月15日号に、南陀楼が東京堂書店ふくろう店について《坪内祐三さんセレクションの棚で購入。先日から古本も置くようになった(坪内さんがこれらをどこで仕入れたかのルポが、『en-taxi』第5号に載っている)》と書いている。
さらに「[書評]のメルマガ」2004年4月15日号もボリューム満点。蘊蓄斎もウンチクを傾けてフーコーを論じておるが、長谷川洋子(古書上々堂)さんの「下連雀しゃんしゃん日録」は初々しいなあ。《★4月2日(金)はれ 岡崎武志さんの詩集『風来坊』を買って行く若い男性に「岡崎さんのファンですか?」と聞いたらば「はい。」と。まじめそうな好青年。前途に幸あれ。》、けっこうけっこう。メルマガの購読手続きは
http://www.mag2.com/ より。
雨なので出かける予定を変更し、朝から「sumus」12号の図版レイアウトにかかりきり。
古書現世の向井さんよりスムース文庫追加注文のメールあり(早稲田近辺の方はぜひこちらでお求めください、新宿区西早稲田2-16-17 TEL・FAX03-3208-3144)。追伸にいわく《今月の『編集会議』の読者からの質問コーナーみたいなところに、花田紀凱編集長が今月のオススメ本として山本さんの『関西赤貧古本道』をあげてました。3行くらいだけど。情熱が伝わったそうです》。
ずっとディスプレーに向かっていると目がチカチカしてくる。午後二時過ぎ、雨も上がったようなので、ミカン散歩。河原の緑が目にしみる。消防車が集まって救難訓練をやっている。「消防の草もえる日に特訓ぞ」。帰りに「場」へ。大岡昇平『中原中也』(講談社文芸文庫、1989年)だけ。
帰宅すると郵便受けに『日本古書通信』897号あり。スムース文庫の紹介も掲載されている。篠弘さんの「さだめなく校正つづけ迎へたる夕暮どきを古書店にゐつ」はまったく共感の一首。目録ページに目を走らせると、上ノ橋書房(岩手県)に野田英夫の小さな素描が80,000円で出ている。図柄にもよるが、安いかも。やっぱり、お金がほしい。
ニルヴァーナのカート・コバーンが自殺してちょうど10年だとか。パリあたりでは人気再燃しているようだ。昔、買って、一度しか聴いていなかったライブCDをかけてみる、・・・わからん。
昨日から将棋名人戦が始まった。羽生名人に絶好調の森内竜王がリターンマッチを挑む。羽生、苦しいと見たが、第一局の結果はいかに?(と思っていたら、毎日新聞サイトで速報が出た。穴熊で森内の圧勝だ)
そろそろ大詰め。河内さんより図版資料、山本より泣き笑いの図版資料、南陀楼より校正紙続々届く。山本より「第一芸文社」原稿、まだ出来ないと泣きの電話あり。
『モクローくん通信』15号(kawakami@honco.net)届く。モク妻、かなりモクローくん状態になってます。大丈夫?
矢野書房よりネット注文した『サーカス誕生』(阿久根巌、ありな書房、1988年)届く。いやあ、参考になった。郷里の高松市に「ライオン館」という映画館があったが、これはライオンの巡回動物園で大もうけした矢野岩太が大正10年に建てたものだそうだ。わりあい最近まで営業しており、高校生のころには何度か通った。その映画館のあった商店街をライオン通りという。どうしてライオンなのか昔から不思議に思ってました。
同じ包みに『矢野書房古書だより』(2003年冬)という目録が同封されていた。とてもいい目録だ。絵葉書・旅行特集も興味深く眺めた。昨年末発行なので、落ち着いてページを繰ることができた。ただ、某大先生のエッセイが巻頭を飾って御成敗式目を絶賛しているのが・・・。
山本より「古本泣き笑い日記」の原稿届く。あと一息。扉野より校正紙戻る。
古書現世さんより『新宿古書店マップ』(http://www.w-furuhon.net/)。地図・イラスト=内澤旬子さん。当然、モクロー大増殖! ニュー・キャラ(?)も登場している。
『アイ・フィール読書風景』28号「特集・アンソロジーを愉しむ」(紀伊國屋書店)届く。巻頭で種村季弘氏と池内紀氏が対談している。種村氏の発言は示唆に富む。氏自身がアンソロジーのかたまりですな。
内田光子「Mitsuko Uchida - Perspectives」(PHLIPS、2004再)を知人より贈られる。1985年から2001年までの録音が2枚に収められている。ごはん粒が立っている、そんなかんじの演奏だ。同じ人からフジ子・ヘミングももらったが、較べモノにならない(好き嫌いは別としても)。圧倒的な迫力。ただ、ドビュッシーはちょっとちがうかも・・・。
2004年4月11日(日)春闇に字引燃やして宴のあと
「アンダーグラウンド・ブック・カフェ 地下室の古書展」(6月13〜15日、東京古書会館)のサイトに蘊蓄斎の口上がアップされた。ちょっと読んでみてくだされ。
『文藝別冊 田中小実昌』を拾い読んでいると、野坂昭如が田中小実昌との対談でおもしろいことを言っている。《ぼくは皇国史観は徹底的に教え込まれちゃったほうですからアメリカ人は鬼畜っていう気持が残ってるんですよ》《彼奴らは世界制覇をねらっているんだから黄色人種は必ず滅亡されるに違いない》《じつにあの頃読んだことは正しかったなんて思ったり》。対談は昭和48年(1973)だから、米軍がベトナムから完全撤退した直後である。ちなみに「鬼畜」ていうのは《残酷な行いをするもの。恩義を知らぬもの》(広辞苑)です。
『早稲田古本村通信』28号、配信される(問い合わせ、info@kosho-mori.co.jp)。濱野奈美子「古本バイト道」、八子博行「通天閣の見える街から」、浅生ハルミン「目まいのする古本相談室」連載あり。八子さんの取り上げている藤森良蔵と「考え方研究社」がみょうに気になってくる。
2004年4月10日(土)杏花、トオストの焦げ、古書のツカ
『文藝別冊 田中小実昌』(河出書房新社、2004年4月20日)を散歩の帰りに買ってくる。南陀楼・内澤コンビも書いている。南陀楼くん、コミさん気分に浸ってバスツアーだ。それにしても18ページの写真、スゴすぎ。田中小実昌、色川武大、殿山泰司が寄り添って笑ってる。昔、コミさんを地下鉄丸ノ内線内で見かけたことがある。暗いかんじでした。
『蕪村俳句集』(岩波文庫、昭和19年14版)を久し振りに取り出す。二十年ぐらい前に付けた丸印がなつかしい。「花に暮て我家遠き野道かな」「けふのみの春をあるひて仕舞けり」。背が取れそうになっているので、モスバーガーのトレーに敷いてあった紙でカバーを作る。文庫本にぴったりの大きさなのだ。
古書方方から新着商品情報。これはEasySeekから自動的に送られてくるもの。けっこうわずらわしいけれども、ついのぞいてしまう。久し振りに日記が更新されていた。山村暮鳥、いいねえ。《十三にある第七藝術劇場にて『赤目四十八瀧心中未遂』を見る》ですか、小説の方は上手なエンタテインメントだった。
http://www.easyseek.net/seller_itemlist.php3?s_no=7494 おもしろいからもっと頻繁に更新してチョーダイ。
レンタルヴィデオ「ロリータ」(キューブリック監督、1962)見る。ナボコフのコミカルな脚本が冗長。ピーター・セラーズがちょうど竹中直人みたいに上手すぎて目障り。脇には向かない。ストレインジラブ博士(「博士の異常な愛情」1963)でしょ、やっぱり。
2004年4月9日(金)石ノ神語らずして花降るのみ
人質事件、三連敗、どうしようもないだけに重苦しい。
南陀楼より文痴庵の原稿届く。《十四個ものある紙箱を順番に開けていくと、そこには、森永製菓の歴史のみならず、文痴菴の個人史や近代の広告・デザイン史に関する、貴重な資料・図版が大量に収まっていた。これらの資料に拠りつつ、戦中・戦後の文痴菴の動きを追ってみる》。乞御期待。あとは山本を残すのみ。
扉野は東京へ行っていたそうだ。月の輪書林を訪ねて、高橋さんと焼き鳥を喰ったそうだ。目録、遅くとも五月中には発行できるそうだ。
2004年4月8日(木)帯広は雪と聞く花吹雪
『出版ニュース』4月中旬号(実業之日本社)届く。http://www.snews.net/。「情報区」欄でスムース文庫を紹介してくれている。ありがとうございます。『関西赤貧古本道』の書評もありました。
また、大島なえさんより、『関西赤貧古本道』の書評が海文堂書店のサイトに出ているとのメール。ありがとうございます。店長福岡さんが書いたそうだ。http://www.kaibundo.co.jp/osusume/osusume.htm
『萬巻』14号、おもしろそうな古雑誌がいろいろ出ている。『鮟鱇』創刊号(立命館詩人クラブ、1948年)気になる。他に写真集で、佐野繁次郎装幀の土門拳『ヒロシマ』(研光社、1958年)もお金があったらほしい。
『書架』66号。いつもながら立派な、えびな書店の古書目録だ(ebina@tky2.3web.ne.jp)。カラーページは画廊のように肉筆モノが並んでいる。おっ、瀧口修造の作品(佐谷画廊シール付)が3点ある! 3点で126万円。お金がほしい。玉村方久斗の雑誌『エポック』1〜5号(エポック社、1922〜23年)115万円は珍品だなあ。ひつこいようだが、お金がほしい。眺めるだけに終わりそう。
2004年4月7日(水)木のベンチ並んでいる校庭、花降る日
「アンダーグラウンド・ブック・カフェ 地下の古書展」(6月13〜15日、東京古書会館)案内用パンフの台割が届く。去年の様子はこちら、http://www1.ocn.ne.jp/~nishiaki/newinfo/UBC/ubc-info000.htm。「sumus」12号の紹介記事を書かせてもらえるとのこと。他に同会場で上映予定の石井輝男「盲獣vs一寸法師」(石井プロ、2001)のチラシとフリーペーパー『pagenation』vol.1(pagenation、2003年10月1日)同封されていた。http://www.datemagazine.com/pagenation/
好天にて、昼は桂離宮前の河原でサンドイッチ。しきりに花びらが降ってきてパンの上に。むしゃむしゃ、かぶりつく。
河内さんインタビュー決定稿、南陀楼より届く。文痴庵はもう二日ほど待ってほしいそうだ。待ちますよ。生田より電話あり、公私にわたって超多忙ゆえに今回はパスとのこと。仕方ないです。
2004年4月6日(火)運ばれてノドに花びらそっと閉じる
朝イチで京都府立図書館へ。岡崎公園は花見客でいっぱい。高桐書院の本を全部出してもらって奥付をチェック。その後、山崎書店。パラダイス展のときに忘れた傘をもらうつもりが、すっかり忘れてそのまま出てきてしまう。近代美術館の周辺を櫻を眺めながらぐるっと回って二条通に出、水明洞の前を通るとトラック一台分の本類がどっと入荷しているところだった。さらに尚学堂の平台をのぞいて京阪書房の表だけペラッと見て湯川書房へ。湯川さんと雑談。古本コーナーで三笠新書の瀧口修造『近代芸術』(1956年)を発見。今日の収穫だ。
丸善へ。『関西赤貧古本道』は『バカの壁』とくっつけて平積みだ。チラシ、内容見本を取り、文具を少し物色。街は春休みのせいか若者であふれている。錦小路も観光客が多い。ジュンク堂4階で「カイトランド」をもらおうと思ったら、もうなかった。
帰宅するとサンケイ新聞が届いている。昨日から始まった「絵ハガキ・珍列館」連載第一回掲載紙。帝塚山学院大の山田俊幸先生と小川知子さん(大阪近代美術館建設準備室学芸員)と蘊蓄斎の三人で交替に書く。それでこのところハガキを買っていたのである(はっきり言って付け焼き刃です)。また甲府の深澤さんよりつげ義春映画関係のチラシなど。木村威夫第一回監督作品「夢幻彷徨」マスコミ試写会の招待ハガキ入り。プレミアロードショーは6月下旬、美術監督作品回顧展(31作品)内にて、ポレポレ東中野で。
扉野より原稿届く。「蜘蛛出版社ノート」《蜘蛛出版という奇妙な名の出版社を知ったのは、六年前に神戸三宮の古書店で『永田助太郎詩集』(近藤東、君本昌久編/一九七九年)を手にしたときである。そのころ古い『詩学』に再録された永田助太郎のわずか数篇の詩―たしか近藤東が解説していた―を読んでいっぺんに好きになったこともあり、この戦前のマイナー・ポエットのまとまった詩集が二十年ほど前に刊行されていることに驚いた》以下、「sumus」12号をお楽しみに。
2004年4月5日(月)西行の望んだ月は花に冷えて
亀和田武さんの「マガジンウオッチ」(朝日連載)、これでなきゃ。
中尾務さんより初校の直しと図版資料届く。岡崎より初校の直しとイラスト届く。中尾さんにいただいたコピーで三島書房の原稿を手直しする。『CV』創刊準備号(2004年3月29日、太田出版)の“「イナガキ・タルホの夢についてゆけない」杉山平一、友人・花森安治を語る”(取材・文=市川正春)も入れてくださっている。花森のハガキがおもしろい。
山本に電話。格闘中とのこと。先日の朝日新聞の取材のときに、あの尚学堂書店の平台(200円均一)で木村毅のサイン本を見つけたそうだ(!)。それであんなにうれしそうだったのか。記者に自慢したら、ピンときてなかったらしいが、まあそれが普通です。
『扶桑書房古書目録』69号。甲文社の雑誌『手帖』全5冊、45,000円というのが目に止まった。5冊出ていたことを知る。
2004年4月4日(日)犬がふるえて春雷、耳すます
『Strange Fruit』というビリー・ホリディの名曲がある。「奇妙な果実」と訳されたりしているが、これは要するに、ゴヤやジャック・カロの版画に見られるのと同じような、または「旅芸人の記録」(テオ・アンゲロプロス監督、1975)にも印象的に描かれていた、樹木に吊された死体のことである。南部で1930年代の終わりまで行われていたという黒人に対するリンチを歌っている。ビリー・ホリディは1939年にグリニッジ・ヴィレッジのカフェ・ソサエティで初めてこの曲を歌った。24歳だった。これがプロテスト・ソングのはしりであったという。拙い訳ながら、最後のフレーズはおおよそこんな歌詞である。
果実がある、カラスがはぎ取り
雨が洗い、風がもてあそび
太陽が腐らせ、木は落とす
熟さない苦々しい実りがある
なお、作詞者はニューヨークのユダヤ人教師A.Meeropol。それにしても、いまもどこかで同じようなことが行われていると思うと、やりきれない。
高桐書院の原稿を書き上げてしまう。特集3本に、BOOKiSH、書評のメルマガが重なったのでさすがに重かった。ほっとする。
2004年4月3日(土)一昨日のマグノリア、ページのまぶしさ
『ちくま』3月号の表紙はレッサーパンダが病院のベッドで本を読んでいる絵だった。関係はないと思うが、京都市動物園のレッサーパンダ「桃桃(タオタオ)」が一昨日死んだ。17歳11ヶ月。中国の西安より1994年来日とか。客死(かくし)である。
月の輪書林より次号目録の表紙校正が届く。問題なし。例の「2003」は省くことにする。270ページ前後になる予定だそうだ。いよいよいだなあ。
岩田さんより『gui』71号(101-0051神田神保町3-1-6日建神保町ビル11F 田村デザイン事務所
tamura.yu@r3.dion.ne.jp)届く。岩田さんの連載「気まぐれ読書ノート」、今回は新宿とサンフランシスコと、やっぱりエノケン。萩原健次郎さんの「かまあげ滑り」という詩がとてもおもしろい(最近お会いしてないですが、お元気ですか)。奥成達さんの「北園克衛『郷土詩論』を読む」連載は、まさしく読んだ文献の引用が原稿のほとんどを占める。これが案外、時代を浮き彫りにする手法としてインパクトがある。今回は西脇の「PROFANUS」全文、他。
夕方、扉野来宅。原稿持参、と書きたいところだが、図版資料だけ。雑誌『蜘蛛』(蜘蛛出版社、1960年創刊)など。長岡天神まで出張していたそうだ。駅近くのヨドニカ文庫で『世界大衆文学全集』(改造社、昭和2〜6年)の内容見本を買ったといって見せてくれる。状態がとてもいい。映画になった作品が多いので図版としてスチール写真がたくさん入っている。
2004年4月2日(金)捨てられた文庫本、末黒(すぐろ)な川辺
『ちくま』(筑摩書房)4月号。青山光二の聞き書きがおもしろい。ちょうど織田作之助の年譜を読んだところだったので、なおさらだ。織田の最後を看取った女性輪島昭子が、その後、石浜恒夫と結婚したと書いてある。貧乏だった石浜夫妻を林芙美子が援助したのだそうだ。芙美子と昭子を結びつけたのは太宰治の一言だったとか。石浜は今年の1月9日に肺ガンで死亡。司馬遼太郎、寺内大吉らの『近代説話』(創刊1957年5月)に参加している。藤沢桓夫と従兄弟になる。
「黄泉がえり」(TBS他、2003)の録画を見た妻が一言、「お盆の映画ね」。(・・)。この間までやっていたTV「仮面ライダー555」のスマートブレインの社長になっていた俳優が出ていたといって騒ぐ(おまえは中学生か)。
ナイター、阪神・巨人の開幕戦を気にしながら高桐書院の原稿を書く。「いいところだよ」と階下から呼ばれ、タタタと降りる。2-3で負けているが、上原は降板してマウンド上は前田。もう勝ったも同然だな、こりゃ。案の定、矢野が同点にしたと思ったらアッというまに8-3になる。最後はウィリアムスが締めて快勝。それにしても巨人のリリーフ陣はなさけない。上原完投しかなかったよ。
2004年4月1日(木)地図を読む足元に花びらが舞う
昨夜、南陀楼綾繁から河内紀さんインタビューのテキストが届いた。ご本人のチェックがまだだという。とにかく一本は滑り込み。こちらも三島書房についてほぼ仕上げる。あとまだ高桐書院が残っている。例によって、山本より「いつごろがほんとうの締切ですか?」という電話あり。今回はこちらも全部書き上がっていないので、強くも言えない。扉野からは何も音沙汰がない。催促のメールを送る。
夕方、松本八郎より完全版下が届く。特集用が「牧野書店の牧野邦夫」8p、連載は「スタンリー・モリスン(その3)」7pである。これでぐっと特集らしくなった。メモによれば読売新聞に山本のエッセイが載ったそうだ。ウチは朝日なので知らなかった、と思っていたら今日の夕刊、「テーブル・トーク」に登場しているではないか。平台を漁る写真入りですよ(尚学堂書店ですな)。じつを言えば、まだ未定だが、NHKからも取材の話がきているのだ。新潮新書おそるべし。
原稿料の払いが悪いともっぱら評判の雑誌SNAから近日中に払いますというお詫びの手紙くる。ご丁寧にどうも。今どきですから、大変でしょうね、払ってもらえれば、少々(といっても丸一年になるが)遅れても気にしません。G出版なんか踏み倒しだ、というか倒れちゃいました。
池上さんより『出島生活』という冊子が送られてくる。長崎出島についての様子が面白く分かりやすくまとめられている。深謝。http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima/news/book/003.html
そうそう、カフェ・アピエより「岡田由紀子陶展」の案内状が昨日届いていた。近頃、温泉が出たと評判の京都大原三千院近く。詳細はこちら。http://kyoto.cool.ne.jp/apied/
そうそう西のモクローくんこと「にとべさん」がスクラップのコーナーで大阪府立中央図書館をレポートしています。http://nitobesan.fc2web.com/