YPCニュース
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2.7.10 横浜物理サークル発行巻頭言
251-252
6月例会の報告
まとめby山本明利 編集by市江 寛 253-258
(1) ブラウン運動観察器
(2) ダイソーの磁力ゴマ
(3) 立方体の三分割
(4) パスカルの三角形
(5) ビースピ・使い方のコツ
(6) 交流の実効値
(7) 静力学の授業報告
(8) ムックリ
(9) 月のひつじ
(10) @mic GO!GO!
(11) 「UFOと宇宙人の話」質問集
(12) レインボーシート
(13) 3力のつりあい
ビースピによる速度・加速度の測定のノウハウ
山本明利 259-263
『シューティングスター』(プラネタリウム7月の解説話題)
宮崎幸一 264-265
おどる浮沈子で魚つり?!(2002年科学の祭典ガイドブック原稿)市江 寛
266
「キュリー夫人」 石原 純著『偉い科学者』より
徳永恵里子 267-270
「ロード・ラザフォード」 石原 純著『偉い科学者』より
徳永恵里子 271-273
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「10年いた工業高校から伝統100年の進学校へ異動をした。」と、4月会報の巻頭言を書いた金子です。2期制ではありますが、ようやく1学期が過ぎようとしています。いろいろなことがありました。とにかく忙しい毎日が過ぎていきます。
一つには、65分5コマの授業展開があります。朝のHRもゆっくり行えず1時間目はいつも5から10分遅れ、放課後も掃除が終わると3時50分頃、そのあと会議があると、職員は落ち着く暇などありません。結果として、職員間のコミュニケーションが薄くなっているようで、学校が有機的に機能をしていない様に見受けられます。ホッとお茶でも飲みながら、これからの学校の方向性を考える、そんな余裕が全くないため、みんなで協力して新しいことに取り組むなどという挑戦的な姿勢はなくなってしまうようです(管理職にしか、学校の方向付けが出来ない態勢に、職員自らがしてしまっているような、、、)。現任校は、スーパーサイエンススクールの協力校という、神奈川独自のシステムに県教委から指定を受けたのですが、理科でも数学でも、本当に積極的に取り組もうという姿勢は生まれてきていません。おまけに、15年度新カリの内容に至っては、単位数の取り合いの末、提出期限ギリギリの職員会議で「ポリシー?そんな文句は聞けねぇ」調に、利害の調整結果が報告されたという感じです。
これって、戦闘員扱いを受けているような感覚です。「黄色と黒のリゲイン」でパワーアップして、日本のために外貨獲得に奔走する、そんな文系・理系の企業戦士を生み出す理論に支配されているような気がします。この「余裕のなさ」が、職員をしてもっぱら受験指導の方向を向かさせるように思います。少ない労力で生徒への優位を保てるという、安易な取り組みが目に見える気がします。でも学校って、こういう所だったのでしょうか?確か、school、scholarの語源はギリシア語のスコレー
skhole(余暇、ひま)ですよね。「競争と協調をバランスよく組み合わせて、全体としての効率を目指す」という視点を持つことさえ、余裕がなければ出来ないのに、、、、、。有能な人材が経済戦闘にかり出されて、結果として地球を食いつぶしている。そんな構図を変えていこうといううねりが定着しつつある昨今、ではあっても「経済的ゆとりや老後の安定のため自分の子どもに戦闘教育を望んでいる」そんな圧力を、受験校が受け止めているのかもしれないと思います。
さて、話は変わりますが、、、、結果としてよい思い出なのかがハッキリしないのですが、放送部に変わった才能を持った子がいまして、新しくパソコンを買って学校に持っていき、この子にリアルタイムパソコン編集の技術を伝授してやったところ、なんと、創作テレビドラマ部門で県大会1位を獲ってしまいました。県代表作品として、当然全国大会にも出場です。こんな生徒たちにして、自分を卑下し、卑屈になることしきりです。あれが苦手、これが分からないがすぐに言葉にでてきます。中学までの学習が、言ってみれば単純作業のようなもののためか、じっくり考えなければいけない学習になり始めるところでつまずく者もいるし、部活が忙しくて家庭で予習・復習を出来ないため、3年で引退するまで勉強らしい勉強をしない生徒ばかりが目立ちます。多くの生徒がコンプレックスを植え付けられてしまっているのです。このコンプレックスが足かせとなって、伸ばせる才能が充分に伸ばせていない、ジレンマに陥っているようです。本当はもっとやれるのに、、、、。
いま、幸せ教育が必要なのではないでしょうか?
枠にとらわれない新鮮な感覚で、望ましい価値観を自分たちで生み出させるような教育をしたい、そんな気持ちに追いつめられているこのごろです。(→つづく)
金子 英樹 @YPC
日時:2002年6月15日(土)15時〜18時
会場:県立青少年センター
参加:計21人
内容:
(1)ブラウン運動観察器 足立さんの装置の紹介(鈴木)
YPCの通信会員である宮崎県の足立さんの実験装置を、鈴木健夫さんが紹介してくれました。レーザーポインターを光源とし、レンズで集光した場所にスライドグラスを置き、牛乳や、ポスターカラーをうすく溶いた水を一滴置いて、透過光を壁に投影します。すると、右のような「スペックル」と呼ばれる、不規則な模様が現れます。光がコロイド粒子で散乱し、干渉して作るパターンです。コロイドのブラウン運動を反映して、スペックルも不規則にうごめく。矢野淳二先生が「物理教育」で発表されたものと同じ現象ですが、装置がコンパクトで手軽に演示できます。
(2)
ダイソーの磁力ゴマ 山本の発表
おなじみの百円ショップ「ダイソー」で販売されている、YPCでは周知の「ミニバランス」。イルカ、土星、ハート、宇宙飛行士の4モデルがあり、イルカが特に人気です。台座に仕込まれた二重コイルとトランジスタからなる回路が運動部分に取り付けられているフェライト磁石と反応して運動を増幅し、振り子運動や回転運動をします。
この回路は、磁力ゴマ「トップ・シークレット」で用いられているのと同じ回路です。ミニバランスで遊び飽きたら、改造して磁力ゴマを作ってみましょう。
磁力ゴマのフェライト磁石は片面左右二極着磁です。下側の面にNSが並んでいます。ミニバランスからはずしたフェライト磁石は、裏表がそれぞれNSとなる着磁ですから、まず磁石を改造しなければなりません。それにはネオジム磁石を使います。ネオジム磁石の強い磁界はフェライトの抗磁界をおおきく上回るので、ネオジム磁石でフェライトをこすると、簡単に磁極を反転したり、着磁したりできます。
あとは、BB弾や金属球をフェライトの下に、皿ビスをフェライトの上に、瞬間接着剤ではりつけてコマのできあがり。できあがり。時計皿を乗せて、こぼれ落ちないよう工夫すると、うまく回せばコマは24時間以上回り続けることもあります。
(3)立方体の三分割 工藤さんの発表
いつも興味深い折り紙を紹介してくれる工藤さん。今回は「立方体を三分割した立体を作る」のがテーマ。立方体はその正方形の一面を底面とし、これに含まれない1頂点を錐体の頂点とする合同な四角錐によって三分割されます。これを図のように折り紙で折って、3つ組み合わせると、なるほど立方体ができるのだ。錐体の体積が角柱の体積の3分の1であることが実感として納得できます。
(4)パスカルの三角形 工藤さんの発表
これも数学のおもしろ教材です。二項分布の係数を累積した「パスカルの三角形」を偶数・奇数で色分けすると、フラクタルな三角形の模様ができます。各部分が適当に拡大したときもとの図形とまったく同じ形になるという自己相似性を示すものです。これを「シルピンスキー・ガスケット」というのだそうです。3の剰余で塗り分けると相似比が変わってまた面白いとのこと。
車田さん情報によると、セルラオートマトン(例:ライフゲーム)の「ルール90」というシュミレーションでも、「シルピンスキー・ガスケット」があらわれるということです。
工藤さんは、この図形を刺繍したブックカバーを使っている。裏返すと拡大図形が現れるという念の入れようです。
(5)
ビースピ・使い方のコツ 山本の発表
ビースピは玩具メーカーのハドソンが開発した、小型の速度測定器です。1997年1月の発売と同時に、YPCは全国に先駈けて、その物理教材としての有効性を紹介してきました。ビースピはその後製造中止となりましたが、中村理科工業が全在庫を買い取って、理科実験教具として新たに販売を開始したので、安定供給が保証されました。単価は¥2000。新課程の教科書にも採用され、海外向けの販売も始まっています。
この小さな装置で、瞬間の速度やラップタイムが簡単に測定できますが、実験にあたっては、空気抵抗の問題、剛体回転の問題、ビースピの個体差の問題など、意外な注意点やノウハウがあります。詳しくは後の記事を・・・。
(6)交流の実効値 山本の発表
新課程の物理Iでは、冒頭が電気の単元となり、身近な電気器具等を扱いつつ、交流にも言及しなければなりません。もちろん、従来の物理IIのような踏み込んだ扱いはできません。そんな中で√2を用いることなく、「交流の実効値」も説明しなければならなくなります。いったいどんな風に示せばいいのでしょう。
下の実験では、100Wの白熱電球を、直流(右)と、交流(左)でそれぞれともし、電流と電圧を測定し、同時にオシロスコープで交流波形を観察しています。二つの電球の明るさが等しくなるように調節すると、電流計・電圧計は直流・交流とも同じ値を示します。これで電力が同じになるように、交流の電圧や電流を測っていることがわかります。そのとき、オシロの交流波形を見ると、ピーク値は電圧計が示す値の約1.4倍になっています。瞬時値と実効値の違いを視覚的に示すのです。
電球の明るさを等しくするには、右の写真のように透過型スクリーンをかぶせて、境を接するとよいでしょう。接している方が、明暗のコントラストがつき、精密に合わせることができます。
(7)静力学の授業報告 小沢さんの発表
小沢さんが先日行ったばかりの中間テストの問題を皆で検討しました。静力学をていねいに授業したつもりで、授業の中身もさほど悪くはないと小沢さんは思っていたのに、テストの結果はかんばしくなかったとのこと。原因はどこにあるのか?
自分一人では解決できないし、解決しようとしても一人よがりになってしまうので、サークルに持って来たとの事。小沢さんの地道な取り組みのおかげで、YPCでもこうした授業研究が根付いてきたようです。
討論では、基礎的なことを問うたつもりでも、その設問の意図は生徒にはわかりづらいこと、基礎概念だけに生徒が何を勉強してよいのか迷うこと、などの指摘がありました。
こちらは小沢さんオリジナルの、モーメントの実験器具。ダイソーの百円ホワイトボードに穴をあけ釘を刺しただけのもので、釘を軸に回転します。左右につけたマグネットのおもりでつり合いをとった状態で、一方のマグネットを真下にずらしたらどうなるかを問います。力を作用線上で移動させても、モーメントは変わらないことを示すことができます。わずか数百円の材料費で演示でき、よい工夫です。

(8)ムックリ 平松さんの即売会
アイヌの楽器「ムックリ」。ひもをはじいて竹の板を振動させ、口を共鳴器にして音を響かせます。平松さんはいくつか余分に仕入れてきたムックリを、希望者に分けてくれました。
(9)月のひつじ 宮崎さんの発表
映画「月のひつじ」は、アポロ11号による人類初の月着陸のおり、アームストロング船長の月面第一歩の生中継をめぐる実話に基づく感動のドラマです。オーストラリアの田舎町パークスにあるパラボラアンテナがこの大役を担うこととなりますが、本番を前に、トラブルが続発・・・詳しくは7/6封切りの映画を見ましょう。
この映画の前売り券と「月の土地の権利証」をセットにした商品が発売されているというのが宮崎さんの情報です。さて、この権利証の法的有効性はいかに。夢を売る商売なのか、ちゃっかり抜け駆けのお得な話なのか、はたまた・・・??
(10) @mic GO!GO! 水上さんの紹介
水上さんの監修の元にJSTが制作した原子と原子核基礎講座DVD。タイトルは「アトミック・ゴーゴー」と読みます。スタンダードな実験素材を組み合わせて構成してあり、教科傍用の動画素材集として使えそうです。出演している女の子はONSENキッズページの当銀美奈子さんの娘さんだそうです。

(11) 「UFOと宇宙人の話」質問集 鈴木さんの発表
授業の脱線として「UFOと宇宙人」というプリントを配布し、解説した後、質問書による質問を受け付けたところ、興味深い反応があったといいます。鈴木さんは、ふだんの授業でもこの「質問書方式」で、生徒の質問に一つ一つ応答し、興味関心を高めようとしています。
関連して、 「JAPAN SKEPTICS」(『超自然現象』の批判的・科学的に究明する会・会長:安斎育郎教授)が教育分科委員会を設置したことの紹介がありました。鈴木さんを含めて10名の委員で活動を始め、小中高などの教育現場に携わる教員でオカルト・非合理の問題に関心のある人たちが、互いに学び合うと共に、社会的に情報を発信しようとしています。今後、会員を募集していくそうです。「JAPAN SKEPTICS」の会員以外でも参加できます。
(12) レインボーシート 山本の発表
東急ハンズ渋谷店で見つけたきれいな虹色が現れるシート(一枚¥1450)。見る角度を変えたり、曲げたりすると、色の分布が変化して面白い。しかし、回折格子で見えるスペクトルとはちょっと色合いが違うようです。この色の正体は何でしょう。
シートの一部を切り取り、表面のシリンドリカルレンズの部分を削り取って、顕微鏡で観察した写真。ご覧のように、シリンドリカルレンズのピッチに合わせて、赤青黄の帯が平行に印刷されているだけです。見る角度により、このどれかの帯が拡大されて見えるわけです。よくある「動く写真」「立体写真」と同じ原理でした。
どうと言うことはない素材ですが、きれいなことはきれいです。こうやって縦に丸めると虹色の棒になります。これがほんとの「レイン棒」なんちゃって・・・(^^)。ハイ、平野さんに座布団3枚!
(13) 3力のつりあい 山本の発表
「実験で楽しむ物理(1)・ひとりでに回る生卵」Ehrlich著、右近・小野・喜多・広井・山田・湯口共訳(丸善)に載っている、3力のベクトル的つり合いを示す実験。
Ehrlichはアクリル円盤と長いビス・ナットを用いていますが、今なら巷にあふれるCDに太さ15mmの丸棒をさして安く簡単に自作できます。丸棒の下には皿ネジをねじ込んで接触面積を小さくしてあります。
CDの上に円形の紙をのせ、おもりをつるした糸を3本かけて中心に画鋲などでとめます。こうして3本の糸の方向を調節しながら、バランスがとれて自立する位置をさがすのです。
つりあったところで、糸の方向を円形の紙に記録し、それぞれの方向に、おもりの数に比例した長さの矢印を描くと、3本の矢印はちゃんと「平行四辺形の法則」を満たしています。