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2.12.7 横浜物理サークル発行巻頭言 すた 93-94 10月例会の報告 まとめby山本明利 94-99 (1) The Making of SPEED (2) 写真が写せて現像ができるピンホールカメラ (3) 水が跳ねる・自然に広がる表面 (4) ダイソーの銅箔テープ (5) メロディガンと光スピーカー (6) 波の実験アイデア求む (7) 輪ゴムのギター (8) ダイソーの生物教材 (9) 「一様な電界」の実験 (10) 音波シミュレーション入門 (11) 音声の鑑定 (12) 島津のCD-ROM (13) 喜多式剥離帯電実験用缶 (14) 小柴さんの本と科学博物館の色紙 (15) ダイソーのネオジム磁石 本当に写真が撮れる現像までできるピンホールカメラ 山本明利 100-103 表面の性質―水滴が飛び跳ねる表面、水が自然に濡れ広がる表面 岩澤直純 104-107 第9回「神奈川の理科教育を考える集い」のご案内 108 湘南台・科学お楽しみ広場の案内 109 科学博物館の色紙 110-111
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先日、とても嬉しいことがありました。この数年来、一番嬉しいことかもしれません。文化祭の反省会として、同僚と飲みに行ったあとの2次会の終わりの時のことです。学校近隣の駅の居酒屋で飲んだあと、もう帰ろうとみんなで出口に向かったときに、いきなり一人の青年が「ちょっとすいません」とさえぎったのです。それは数年前私のクラスから卒業していった卒業生でした。その学年の中で一番手がかかり、何度も教員と衝突したりして、やっとのことで卒業していった生徒でした。彼の名誉のために補足すると、いろいろ面倒をかけながらも、一対一で接すると素直で最後は話の通じる生徒でした。いろいろ話を聞くと、地元で不動産の営業をやっているというのです。それなら名刺をくれと言ってもらったのですが、その企業名は、地元でよく聞く大手の不動産業者の名前。あぶない世界で生きているのかと心配するような生徒でしたし、卒業後もいろいろ噂は聞いていましたし、何度か学校に来たときも、まだ定職に就いていませんでした。しかし、それが今こんな仕事をしている。顔も在学当時よりおだやかだし、顔もふっくらしていて健康そう。こんなに嬉しいことはありません。
でも、われわれの仕事って何なのでしょう。彼のような生徒を卒業まで持っていく、というのは当然でしょう。しかし、彼が今しっかりとした仕事をしているということに、私が何を貢献したのしょう。いやいや、高校時代の彼とのやりとりが何らかの影響をしているのかもしれない。そう思うしかないのかもしれません。
でも、自分がどういう貢献をしたかどうかは別にして、しっかりとした(何がしっかりとしたものなのかどうかは別にしても、)仕事をしているということは、本当に嬉しいことです。その日の帰り道は、恥ずかしいことですが、涙が出てきました。その涙の半分は、うれしさですが、半分は悔しさからくるものです。今、私はここで意味のあることをしているのだろうか。結局、私はこの学校からそういう悔しさだけを引きずって、(いずれ)出ていくことになるのでしょうか。でも、無力なりにも嬉しいと思える部分があるのが救いなのかもしれません。
すた
日時:2002年11月16日(土)15時〜19時
会場:慶応義塾高校
参加:計16人
内容:
(1) The Making of SPEED 山本の紹介
2000年4月例会で小河原さんがパニック映画「SPEED」のバスのジャンプを解析して教材としていました。例会ではバスの飛び方がおかしいのでクレーンで吊っているのではという結論でした。先日、ブックオフでそのメイキング版LDを百円で入手しました。それによると、この映画では同じ型のバス12台を使って、実際に走行させながら撮影を行っており、件のジャンプシーンも、実際にバスを使ってスタントを行っていることが判明しました。姿勢が不自然なのは、踏切台のようなものをつかって跳び上がったためです。映画では高速道路のとぎれた部分を飛び越えるのですが、そこは映像処理でバスの部分だけを切り抜いて背景と合成しています。
(2) 写真が写せて現像ができるピンホールカメラ 山本の発表
実際に写真が写せて、日中明るいところで現像処理までできる実用的なピンホールカメラです。百円ショップの黒い弁当箱などを利用して作ります。感光剤は白黒印画紙を使います。工夫したのは現像タンクと兼用するしくみで、箱の底に穴をあけてゴム管を接着してあります。ここから現像液や定着液を流し込んで、撮影したその場でカメラ内で現像処理をしてしまいます。印画紙は、事前に暗室や暗箱内でセットしておきます。(装置の写真は、後ろの記事に載せてありますので、重複するのでここでは割愛します。詳しくは後ろの記事をご覧下さい。)
晴天時室内での撮影例。この撮影には、使い捨てカメラから取り出したプラスチックレンズを使用しています。露出15秒。現像1分、定着2分で、5分水洗してできあがり。写真はネガになります。
工作が面倒という向きには、もっと簡単な装置もあります。同じく百円ショップで売っている黒い小物入れの仕切り板を黒マジックで塗りつぶしておきます。底には印画紙を仕込み、上からアルミホイルや黒い紙でふたをしてセロテープで密封します。撮影開始時に針でつついて穴をあけ、終了時には黒ガムテープで閉じます。現像液や定着液は注射器で注ぎ込み、穴はすかさず黒ガムテープでふさぎます。
この簡易装置での撮影例(右写真)。晴天時屋外を0.5mm径のピンホールをあけて撮影しました。露出5秒。
左側の黒い部分は薬液注入時の感光部。黒く塗った仕切り板の効果がわかります。
例会での撮影風景。
「はい、穴をあけますよ。20秒間息を止めて動かないで。」20秒は長い!!
ただし、この写真は、光量不足で、この紙面で紹介できるほどにはなりませんでした。
(3) 水が跳ねる・自然に広がる表面 岩沢さんの発表
塗料会社にお勤めだった岩沢さんが、固体表面の濡れ特性の制御について、さまざまな実例を示して紹介してくれました。
固体の濡れ性は固体全体の組成とは関係なく、表面の化学的性質と物理的形状で決まります。固液間の濡れやすさは接触角という角度(固液界面と気液界面のなす角)で表されます。この角度が小さいことを「濡れる」といい、90度より大きい場合を「はじく」といいます。左の写真は塗料で形成した超撥水膜で、水との接触角は150度にもなります。接触する水は水玉になってころころところがります。このような塗料は、着雪防止や汚れ防止の塗膜として利用されます。
撥水性の評価は動的にも行われなければなりません。次ページの写真のように簡単な装置で「滑り角」を測定することで、滑り性が評価できます。表面上の水滴が動き出すときの斜面の傾きを測ればよい。これなら生徒にもできそうです。
右下写真は超親水性塗膜により極めて濡れやすい表面を形成した例。まるでしみるように水が拡がっていきます。さまざまな方法により、表面に水酸基を多数形成させるのだそうです。固体表面で水和をおこすわけです。このような塗料は曇り止め処理やラジエータのアルミフィン材などに利用されます。
(4) ダイソーの銅箔テープ 山本の発表
ダイソーに登場した「銅箔テープ」なる商品。その名の通り銅箔の裏に粘着剤を施したテープです。アルミやステンレスのキッチンテープとちがって、はんだが使えるのがメリット。木材、紙、ガラス、プラスチックなどの絶縁材料に貼り付けて、はんだ付けで回路を形成することができます。右の写真は塩ビの下敷きの上にテープを貼り、電池ホルダやLEDをはんだ付けした回路。スイッチ部分はハトメで止めて動くようにしてあります。大きな演示用の装置を作るのにもってこい。太さいろいろ、一巻き数メートルで百円。これはGETだ!
右は、角の処理の部分の写真。角を貼り合わせると接触が確実でないので、内側の角をハンダづけします。ハンダが乗るのでこういう処理も簡単です。
(5)
メロディガンと光スピーカー 山本の発表
上記の銅箔テープをつかった作例の一つ。右の「メロディガン」は電子メロディICの出力を高輝度LEDで光信号にして飛ばす光送信機です。レンズで平行光線にして射出します。電池ホルダをグリップにして、ピストル型にしてみました。
左は「光スピーカー」。紙コップに圧電スピーカをはりつけ、フォトトランジスタで駆動する光受信器です。メロディガンの信号を受信するとコップからメロディが聞こえてきます。
回路はいずれも中部大学工学部の岡島茂樹先生から教わったものを採用しています。部品点数が少ない割りに性能がよい優れた回路です。
左写真は送受信のようす。焦点をちゃんと合わせれば、10mぐらい離れても信号を送受信できます。光スピーカのフォトトランジスタは赤外線にも感じるので、赤外線リモコンの信号を音で聞くこともできます。
下に銅箔テープで紙筒や紙コップの上に回路を構成しているようすを示します。

(6)
波の実験アイディア求む 大谷さんの問題提起
波や弦の振動をダイナミックに見せたい大谷さんは、いろいろな材料を物色中。ビニールの縄跳びひもだと、減衰が著しくて弦の振動らしくない。細いつる巻きばねも中央がたるんでしまってイマイチ。何かいい方法はないですか?
(7) 輪ゴムのギター 大谷さん、鈴木亮太郎さんの発表
板目紙にギターの絵を描いて、輪ゴムをかけただけの簡単弦楽器。板目紙をたわませて音程を変えます。右はすずりょうさんが見せてくれた一弦琴。紙コップの共鳴器とつまようじのフレットつき。
(8)
ダイソーの生物教材 大谷さんの発表
百円ショップ「ダイソー」は理科教材の宝庫です。中学の生物分野で裸子植物の例に大きな松ぼっくりのオーナメント。右は立派なプラケースにおさまった葉脈標本。10枚入りで百円ならわざわざ作るより安いかも。
(9)
「一様な電界」の実験 徳永さんの発表
教科書実験の発展型として行った予備実験。目玉クリップと大きさの違う導体紙を使って、一様な電界を作り、デジタルテスターと指針式のテスターで電位差と距離の関係を調べました。
電位差と距離は比例関係になりますが、デジタルテスターの結果と比較すると、指針式のテスターは内部抵抗の影響が出て傾き(電界の強さ)が小さくなりました。特に、導体紙の面積が小さい場合はその影響が効いてくることがわかりました。
(10) 音波シミュレーション入門 山本の紹介
都立戸山高校の吉澤純夫さんがこのほど出版した「音波シミュレーション入門」(CQ出版社)¥2500。VisualBasicで物理がわかる・シリーズの3作目です。前作に続き、物理を題材にしながらVisualBasicのプログラミングを学ぶという趣旨の本ですが、作品のプログラムは付録CDに収録されており、そのままシミュレーションソフトとして使えます。音声のサンプルファイルや、実験のようすを収録した動画ファイルもたっぷりついていて資料的価値もあります。特に日光の本地堂(薬師堂)の「鳴き竜」の取材ムービーは必見。
付録CD-ROMには、吉澤さんのオリジナルソフトの他、YPCでもおなじみの「野津FFT」も収録されています。
(11)
音声の鑑定 鈴木亮太郎さんの発表
上記の「野津FFT」による音声スペクトルの解析例。周波数測定倍音構造の観察などが手軽にできるスグレモノのソフトです。すずりょうさんは、ビンラディン師の声紋分析などの時の話題も取り入れて、生徒の興味を喚起しています。
(12) 島津のCD−ROM 右近さんの発表
右近さんは田中氏のノーベル賞受賞決定の直後に島津製作所の「島津創業記念博物館」(京都)を訪れました。CD-ROM「科学の森」\1000は子供向けの仕立てですが、資料的価値が高い。わが国初の気球有人飛行の記録が興味深かった。熱気球ではなく水素気球だったのです。なお、このCDやパンフ(右)には、まだ田中氏のノーベル賞については一言も触れられていません。
(13)
喜多式剥離帯電実験用缶 徳永さんの発表
剥離帯電の実験で使う器具の工夫です。缶の取っ手をプラスチックものさしで作り、クッション付きの超強力両面テープで上蓋に固定しました。ラップを缶から剥がす時に勢いよく剥がすことができるので、強度的に問題のあるストロー式よりも帯電量が稼げます。
加えて缶の側面を全てラップで包めるので、密着がよくなり成績がアップします。実験の結果は、いずれ報告される予定です。
(14) 小柴さんの本と科学博物館の色紙 徳永さんの紹介
ノーベル賞受賞の直後に出版された本、第一号。小柴昌俊著『ようこそ ニュートリノ天体物理学へ』(海鳴社、520円)2001年度に行われた仁科博士記念科学講演会の講演録をもとに加筆した本のようです。講演に使われたOHP?がカラーで入っていて、高校生以上向け。
また、上野の科学博物館の企画展「ノーベル賞受賞記念コーナー」に置いてあった色紙のコピーをもらってきました。(後ろに掲載しました。)スーパーカミオカンデが出来るまでの様子を撮ったビデオ(東大宇宙線研編集、岩波映画)を会場でみることができます。光電子増倍管の実物や、田中さんの受賞論文が載っている雑誌『質量分析』も置いてありました。

(15) ダイソーのネオジム磁石 小沢さんの発表
百円ショップ「ダイソー」についにネオジム磁石も登場。サイコロ型の「クリアマグネット」や「蓄光マグネット」を分解すると、百円で2個のネオジム磁石が手に入ります。ちょうど、簡易無接触電流計に使えるサイズです。二六製作所で買うより安い!!。