YPCニュース
180
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3.3.15 横浜物理サークル発行巻頭言
miya 165
2月例会の報告
まとめby山本明利 編集by鈴木・市江 166-172
(1) 公開授業での授業研究
(2) 電気をスプーンですくう
(3) Kineti Card
(4) 3Dイメージング
(5) マジックカラー
(6) モーフィング
(7) 天空の城ラピュタと空想科学の機械達展
(8) スターリングエンジン・ジャンピングミニ
(9) 放射性人間になった話
(10) 英国科学教育教会年会の報告
(11) 新・観察実験大事典「化学編」
(12) アルソミトラ
電気工作・光通信に挑戦!
山本明利 173-180
イギリス見学報告
渡辺泰樹 181-183
SAH(青少年のための科学の祭典ニューズレター)200331より転載
Eネットサークル探訪・もっと楽しい物理の授業を求めて・YPC
184-186
日本教育新聞2003年2月21日号より転載
授業から「高校」を変えよう・生徒に学ぶ意欲を!
神奈川県立柿生西高校 187
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2月28日金曜日、40年間続いた青少年センターのプラネタリウムが幕を閉じました。最後の一ヶ月間は閉館の知らせを聞いたお客さんが、たくさん訪ねてこられました。皆さん去りがたく、写真を撮り、職員に声をかけ、涙を流す方もおられました。「なぜ止めるんだ」と詰め寄られ、対応に困ることもありました。センターのプラネタリウムは、昭和37年に開館し、40年間に288万人以上の方に来ていただきました。
最終日の多くのお客さんの中に、小学校2年生の女の子がいました。この子は3年前から星に興味を持ち、母親と一緒に毎月通っていました。最後のこの日はご両親が、学校を早退させて、皆さんできていただきました。投影が終わった後、彼女の心の中に生まれた「不思議だ」と思う気持ちや宇宙への憧れにどれだけ答えられてきたのだろうかと思いながら、最後の質問に答えました。少年の頃、横浜桜木町のこのプラネタリウムに足繁く通い、科学者・研究者になった方も何人もいます。私の勤務していた4年間の間にも、理系の大学に、また大学院に合格しましたといううれしい報告をいただきました。科学者にならなくても、宇宙へのあこがれを抱いた多くの方がここを愛してくれました。
昭和37年11月にオープンした神奈川県立青少年センターには、展示室、実験室、プラネタリウム、天文台などの科学部門の施設がありました。神奈川で中学時代を過ごした40代前後の人は、1度は青少年センターを訪れたことがあるのではないでしょうか。その当時は、悉皆制の1日青少年センターという事業を行っていました。その青少年センターも40年の歳月でだいぶ老朽化し、この4月から2年間かけて、建物の耐震工事で休館としていますが、再オープンをする際には、天文部門、展示部門は廃止、現在の3つの実験室もなくなり、生徒や児童が気軽に実験をしにくる施設ではなくなってしまいます。県当局は、プラネタリウムの廃止に対して、プラネタリム施設が充実し、県としての使命は終わったと説明しています。37市町村ある神奈川県に現在、ほかに8館のプラネタリウムがあります。これで充実しているといえるのでしょうか。また、今回の指導要領の改訂で、小学校の天文教育が縮小されましたが、そのなかで、社会教育施設の利用の推奨が文言として盛り込まれ、プラネタリムの利用が積極的に行われるようになりました。改悪の中で、唯一の救いかも知れません。昨年、うちのプラネだけで200校の小学校の利用を数えましたが、来年度その学校はどこへいけばいいのでしょうか。横浜市内にもう一つあるプラネの職員は、「横浜市に1つのプラネでは小学校の需要に応じきれない」と、県立のプラネ存続の陳情に加わってくれました。しかし、非公開の委員会で、くわしい審議もなくこの陳情は取り上げられませんでした。取り上げない理由は非常に政治的なものであるとも漏れ聞こえてきます。県議会で文教委員からの「今後の小学校利用の代替案は」との質問に、当局は「パソコンでの学習でお願いしたい」と答え、委員の失笑を買ったとも聞きます。当局はプラネタリウムの教育的な意味も理解しようとせず、リストラのために耐震工事を利用したとしか思えません。今回の機構改革で職員の大幅な削減ができるのです。そこには施策もなく、教育委員会との連携もないため、小学校での必要性の増大も読めず、受け皿の用意もしなかったのです。今から40年も前に全国に先駆けて、体験型の(今風にいえばハンズオンの)科学館を造った自治体とは思えない無定見・哲学のなさです。
差し上げた土星の写真を大事そうに胸に抱えた姿を思い出しながら、あの「小さな科学者」の瞳の中で、宇宙へのあこがれの火が消えることがないよう願います。
追伸 この4月から学校に戻りますが、学校教育のなかで小さな時に抱いた不思議だと思う気持ちやあこがれを壊してこなかったか、これからも壊さずにすむのか自問しています。
miya
日時:2003年2月15日(土)15時〜18時半
会場:川崎市立青少年科学館
参加:計22人
内容:
(1)公開授業での授業研究 鈴木の発表
YPCの例会では、理科教育の原点を取り戻すべく、冒頭に授業研究を取り上げることにしています。去る1/10に行われた鈴木の公開授業には県内外から多数の見学者がありました。仕事と仕事率の単元で、生徒実験を織りまぜての授業展開はVTRで記録され、放課後の研究会で検討されました。
例会で一通りビデオを見てからの例会参加者の意見を箇条書きにまとめます。(→は鈴木の返答)
l やはり、生徒の活動を入れるのが重要。生徒が動き始めると、生徒の表情が明るくなり、目の色が変わる。
l 実験をしてこうわかったという反応はつかんでいないのか? →充分つかんでいない。もっと生徒の反応をつかむ工夫が必要だと思う。
l 「生徒指導」(授業中の生徒の取り組み指導のこと)はしていないのか。私立だと、授業中に携帯を出したりマンガを読んだりアメをなめたりすることは許さない。→その規制を強めることで授業に出られない子が出てきてしまう。生徒に迎合しているわけではないが、そういう実態があるということを理解してもらうしかない。また、それ以前のレベルに対する注意で精一杯だというのが正直なところと言う面がある。
l 「君、さん」づけはどうなのか。私の学校(私立)では呼び捨てにすることで統一している。→いろいろな人(先生)がいていいのではないか。そういうことを統一するのは、おかしいと思う。私の子どもの小学校では、男の子も「さん」で呼ぶように統一しているが、それもおかしいと私は思う。
l 実験の事前準備を放課後などで生徒にやらせたらどうか。
l 仕事率と電力との関連を、どこでつなげるのか。仕事率は力学で、電力は電気の分野で、と切り離すのではなく、連続して話すのがよい。
l 掃除機の消費電力の実例。シャープの「サイクロン式」掃除機のカタログに、消費電力 750〜約300W 吸込仕事率 200 〜 約60W と書かれている。実際の吸引するという仕事率と、電気的な電力との差がよくわかり、その残りの仕事率はどうなってしまうのかを考えさせるいい例だ。
(2)
電気をスプーンですくう 山本の発表
AdvancingPhysicsASに載っていたSensing単元の演示実験群の紹介と追試。日本の教程で言えば、静電気の単元にあたります。
用意するものは直流高圧電源とクーロンメーター、それに絶縁棒をつけたスプーンなどと絶縁糸で吊した軽い導体球です。まず、高圧電源に接続した正負の電極から、絶縁棒つきスプーンで「電荷をすくって」クーロンメーターに運んでみせます。電荷が移動可能なものだと言うことを示す演示です。電源電圧が一定なら「スプーン一杯」の電荷はいつも同じ量になり、クーロンメーターには運んだ回数に比例する電荷がたまっていきます。
この場合のスプーンは単なる孤立導体であり、スプーンである必要はありません。穴があいていようと、スプーンを逆さに使おうと、電荷を運ぶのに支障はありません。糸に吊した導体球でも同じことができます。

次に、糸で吊した導体球を、二つの電極版の間に入れます。電源はYPC特製小型高圧電源を使用したので、極板間の電圧は12000Vです。
導体球は陽極に触れるとはじかれて陰極に向かい、陰極で電子を受け取ると再びはじかれて陽極に引かれます。こうして導体球は自動的に両極間を激しく往復運動します。電荷のshuttlingです。鋭敏な電流計があれば、このときの電流を確認ができるとAPには書いてありますが、100μAの電流計ではちょっとつらいです。
最後に、導体球の役割を自由電荷の運動に置きかえます。ご存知のように炎はプラズマです。炎の中の正負の電荷がそれぞれ逆符号の電極に向かって運動すれば上と同じことが起こっていると言えます。電極板ではさんだロウソクの炎はご覧のように横に細長く伸び、電荷が電界にそって流れるのが観察できます。炭素イオンは陽イオンなので陰極に引かれ、陰極のみがすすで黒く汚れます。
この一連の実験により、静電気→電荷の移動→電流という関連性を理解させることができます。
(3)
Kineti
Card 水野さんの発表
青山の「からくりミュージアム」で入手したアイテムです。格子模様のシートを動かすとジャガーが走っているように見えます。子供の絵本などでも見かけるからくりですが、結構精密にできていて動きが滑らかです。
(4)
3Dイメージング 水野さんの発表
同じく「からくりミュージアム」で入手したアイテム。だれでも見えるレンズビュワーつき立体絵はがき12枚組。立体浮世絵がなかなか面白いです。
(5)マジックカラー 水野さんの発表
これも「からくりミュージアム」アイテム。周りを黄色のタイル模様で囲んだ赤色のタイル模様と、周りを青色のタイル模様で囲んだ赤色のタイル模様が違う色に見えます。この現象は錯視といわれるもので、目から入った情報を脳が間違って判断してしまうことから起こります。穴あきの黒い表紙をかぶせてまわりのタイルを隠すと、実は同じ色だったことがわかります。

(6)モーフィング 水野さんの発表
渦巻き円盤を回して、それを15秒ほど見てから、自分の手をみると手の表面がグラグラ動いて見えます。これも錯視。過去の例会ですでに紹介済みですが、視覚はだまされやすく、何度見ても面白いです。
「からくりミュージアム」HPのURLは以下の通りです。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~karakuri/
(7)天空の城ラピュタと空想科学の機械達展 越さんの発表
「三鷹の森 ジブリ美術館」にて、「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」が開催中です。
ラピュタの背景になった19世紀後半、SF、空想科学小説の祖、ジュール・ヴェルヌが活躍していたころの小説家たちが考えた空想の空飛ぶ機械などが展示されています。他にも、スラッグ峡谷のジオラマ、潜水艦カンブリア号の模型、羽ばたき飛行機アルシオーネの実物大模型など、ジブリファンならずとも、科学や機械が好きな人ならワクワクするような展示です。
ジブリ美術館のホームページは下記URLへ。
http://www.ghibli-museum.jp/index.html
(8)スターリングエンジン・ジャンピングミニ 越さんの発表
越さんは、11月の科教協関東ブロック大会(水戸)で刺激を受け、土浦工業高校の理科研究部の小林義行先生が作られたスターリングエンジンをもとに、針金とストローを用い、さらに簡単に作れるように改良をこころみました。

フリーピストン型、シリンダは試験管、ディスプレーサーとしてスチールウールを用いる基本設計は小林先生のものと同じです。ハンドバーナーで試験管の上部を熱すると、1分間ほど振動を続け、数メートル動きます。このタイプは動力の伝達の機械部分がないので簡単に作れます。
詳しくは以下のページを。色々なタイプが作られていて、見るだけでも面白いです。
小林義行先生のWebページ:http://members.jcom.home.ne.jp/kobysh/
土浦工業高校理科研究部のページ:http://members.jcom.home.ne.jp/rikaken/
(9)放射性人間になった話 山本の発表
「ガリウムシンチ」と呼ばれる医学検査を受ける機会がありました。半減期3.26日の放射性元素ガリウム67(67Ga)をトレーサーとして静脈注射し、3日後に造影検査を受けて、67Gaが体内で放つγ線または特性X線をキャッチして画像化します。これをシンチグラムといいます。下の写真はその撮影に使用されるシンチカメラ(ガンマカメラともいう)です。左は全身撮影用で、センサ部が上下にあり、ベッドを挟み込むようにして移動しながら撮影します。右は特定部位の撮影用。丸い部分がセンサです。
さて、67Gaを投与されて「放射性人間」になるのはめったにないチャンスなので、自分の体を線源として、GMカウンターを使っていろいろな測定をこころみてみました。左は使用したGMカウンターで、標準線源としてユークセン石を測定しているところです。相対値でバックグラウンド10〜20に対し、ユークセン石は至近距離で5000ぐらいのカウントを示します。
医師の話では胸部X線撮影より被曝量は少ないということでしたが、67Ga投与直後に身体が発していたγ線は、10000カウントを楽に越えていました。バックグラウンドの約1000倍という線量には驚きましたが、身体への影響は特になかったようです。
測定を続けると、線量は3.26日という半減期に従って公式通りに減少していきます。距離依存性などでも興味深い結果が得られました。
詳しくは、後ろの記事をご覧下さい。
(10) 英国科学教育協会年会の報告 大谷さんの発表
お正月に英国科学教育協会の年会に参加してきた大谷さんの報告第二弾。パビリオンでもらった教材カタログの中にこんな電気回路の実験キットがありました。
チューターキット・エレクトロニクス・システム ユニットS10(Limrose Electronics 社)価格:60ポンド(約12000円)
15cm×20cmくらいで、厚み4cmくらいの箱型。 ランプの他、ブザー、LED(赤、緑)、モーター、抵抗、可変抵抗、トランジスタなど、教科書にでてくる回路素子や測定器が一つにパッケージされていて、ボード上で配線するだけですぐに教科書通りの測定ができます。
わが国でも、教科書と実験教材を密にリンクさせることにもっと努力が払われるべきだと思います。
(11) 新・観察実験大事典「化学編」 堀さんの発表
東京書籍の同名の本の映像版で、DVD7枚組みのソフトがまもなく発売されます。内容は下記の通りです。
(1)基礎操作、物質の状態、物質の溶解
(2)物質の構造、化学変化、気体の性質
(3)化合と分解、イオン
(4)酸とアルカリ、金属、非金属
(5)有機物質
(6)環境、資料
(7)生活と化学
項目数は7巻合わせて240、実験数は1000近くあります。各ディスクには動画3時間相当と実験道具リスト、薬品情報などの文字情報が載っています。圧倒的な情報量で全分野を網羅した実験動画集の決定版とも言える映像ソフトです。
現在編集作業は最終段階を迎えており、発売は東京書籍の教材代理店を通じ、まず3月に(3)〜(5)が先行発売され、4月に(6)(7)、5月に(1)(2)が発売される予定です。
(12)
アルソミトラ 加藤さんの発表
山梨県立科学館が子供向けの実験教室で使用した教材です。薄い発泡材の梱包シートを型の通り切り抜き、おもりのシールを貼ると、アルソミトラのタネの模型や鳥型グライダーが簡単に作れます。