中国東北地方(旧満州)をたずねて

〜みてきた中国の歴史教育施設〜


9.18歴史博物館
"9.18"歴史博物館(瀋陽=シンヨウ)
 中国東北部(満州)の占領をねらう日本の関東軍は、1931年9月18日、柳条湖の南満州鉄道をわざと爆破し、これを中国側のしわざとして直ちに占領行動を起こした。いわゆる「満州事変」で、日本は翌年3月12日、かいらい政権「満州国」を建国するにいたる。博物館はこの「柳条湖事件」跡に建てられ、「屈辱の日」として、江澤民の筆による「勿忘“九・十八”」(忘るなかれ)の大きな金色の文字彫刻が掲げられている。
平頂山惨案遺骨記念館
平頂山惨案遺骨記念館(撫順=ブジュン)
 丘の谷間に「平頂山惨案遺骨記念館」はある。その隣が「平頂山殉難同胞遺骨館」で、1932年9月16日、3千人あまりの村びとが日本軍によって皆殺しにされ埋められた。その遺骨の一部が、なんとそのまま展示されている。私たちは真っ暗な館内の回廊を歩きながら、わずかな窓明かりで地面の惨状を見下ろすのである。特別に撮影が許されたので、遺骨に祈りながら撮影した。多くの日本人に知らせなければならないという責務を感じながら。
731部隊記念館
旧日本軍七三一部隊遺址(哈爾浜=ハルビン)
 ハルビン郊外の平房地区にある「七三一部隊」の跡地は、芝生や木立のある広大な緑地になっている。旧日本軍は敗走するさい証拠隠滅のため多くの建造物を破壊した。残った建物は戦後のどさくさで一部は住まいに占拠され、その他の建造物や遺構は旧日本軍の罪状の証として保存されている。森村誠一氏の『悪魔の飽食』で知られるように、日本軍はここで細菌戦の実験をし、中国人をとらえて生体実験をしていた。旧本部棟はその「罪證陳列館」となっている。
撫順戦犯管理所
撫順戦犯管理所旧址陳列館(撫順=ブジュン)
 日本人の戦犯約1千人を収容していた戦犯管理所が、今は中国の解放闘争の歴史を若い世代に伝える陳列館として使われている。抗日戦争の八路軍の組織や当時の写真など興味深い事実がここでは見ることができる。戦後の日本の民主運動の情報もよく収集しており、展示の基調は中日友好にあると判断された。抗日戦争勝利60周年にあたる今年、管理が省から国に格上げされ、6月には記念式典がおこなわれた。

<私にひとこと言わせて下さい>

 中国で「反日デモ」が盛り上がり、一部で暴徒化していますが、これを「反日教育の行き過ぎだ」と批判するだけで済むのでしょうか。今年、日本は「終戦(無条件降伏)60周年」ですが、中国にとっては「抗日戦争勝利60周年」なのです。日本の侵略から中国を解放した、誇りあるたたかいの歴史を「戦争を知らない世代」に伝えようとするのは当然のことだと思います。

 私は昨年夏(2004年8月23〜28日)、日中友好協会北支部の企画した『小山一郎さんと行く中国東北地方(旧・満州)の旅』に参加し、中国の歴史教育施設を見学してきました。わが国が侵略戦争で犯した犯罪の跡を辿ってきたということになります。短期間ながら、北支部長の小山一郎さんと、旅行手配・案内の井上ときさんのお陰で、濃密な旅ができたことを感謝しています。

 旅をしながら、一番感じたのは、日本にはなぜこんな施設がないのか、なぜ中国にきて学ばねばならないのか、ということでした。日本人と政府が過去の事実をきちんとおさえ記録にとどめることは、決して“自虐的”などというものではありません。

 「傷つけたもの」と「傷つけられ、今なお傷をかかえているもの」が歴史の同じ理解の上にたって和解することからしか、本当の日中友好は始まらないと思います。そのために少しでもお役にたてればと思い、このページを作りました。(2005年11月)


◎小山一郎さん、てどんな人?

 1920(大正9)年、東京・麹町永田町生まれ。1940(昭和15)年徴兵され、59師団53旅団独立歩兵第43大隊に所属。中国山東省に配属され、1945年まで占領軍の一員として華北地方で中国人強制連行などの作戦に関わる。敗戦直後 1945〜50年、シベリアに抑留され、51〜56年、中国の撫順戦犯管理所に勾留される。帰国後、家業の畳業をしながら、中国帰還者連絡会(中帰連)をつくり、元戦犯として戦争体験の証言活動を続け、日中友好のために運動している。元戦犯の方々が高齢化して証言活動に動ける人が少なくなる中で、なお元気で証言活動を続けている同氏は貴重な人材である。昨年の中国東北地方の旅では、撫順戦犯管理所陳列館の侯館長を先頭に大歓迎された。(くわしくは下の『全国商工新聞』2005年元日号を参照)

●中国帰還者連絡会とは:中国侵略の一端を担った元兵士たちが、対中国戦犯容疑者として撫順(969名)と太原(140名)の戦犯管理所に収容され、そこで自らの過ちを反省し、許されて帰国。帰国後1957年に組織を結成し、戦争加害の証言活動を続けている。中帰連として『三光』『天皇の軍隊』『日本は中国で何をしたか』など20数種の出版がある。

小山さんインタビュー

撫順戦犯管理所の問題を、NHKが2008年11月30日、BS放送でとりあげました。 2時間にわたるドキュメンタリー番組『認罪ー中国・撫順戦犯管理所の6年』です。上記の小山さんも取材に応じています。 関心のある方は、DVDがありますのでお貸しします。下記「休憩室」からご連絡下さい。

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