徒然草 吉田兼好

 

第三段

 

万(ヨロヅ)にいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵(サカヅキ)の当(ソコ)なき心地ぞすべき。

 

露霜(ツユシモ)にしほたれて、所定めずまどひ歩(アリ)き、親の諫(イサ)め、世の謗(ソシ)をつゝむに心の暇(イトマ)なく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしかれ。

 

さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、

あらまほしかるべきわざなれ。

 

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