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「妻、君、妾」へ |
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| 最終更新 2010/12/19 |
| 古意 | 陳 羽 |
01 十三學 羅衣裳
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十三にして羅の衣裳に するを學ぶも、
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| 02 自憐紅袖聞馨香 | 自ら憐む、紅袖の馨香を聞くを。 | |
| 03 人言此是嫁時服 | 人は言う、此れは是れ嫁時の服かと。 | |
| 04 含笑不刺雙鴛鴦 | 含笑するも、雙鴛鴦を刺さず。 | |
| 05 郎年十九髭未生 | 郎の年十九にして、髭の未だ生ざるも、 | |
| 06 拜官天下聞郎名 | 官を拜して、天下は郎の名を聞く。 | |
07 車馬駢 賀門館
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車馬の駢 し、門に館に賀さるも、
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| 08 自然不失為公卿 | 自然として公卿たるを失せず。 | |
| 09 是時妾家猶未貧 | 是の時、妾の家の猶お未だ貧ならざるため、 | |
| 10 兄弟出入雙車輪 | 兄弟、車輪を雙(なら)べて出入す。 | |
| 11 繁華全盛兩相敵 | 繁華は全盛にして兩(ふた)つ相い敵い、 | |
| 12 與郎年少為婚姻 | 郎と年少なれど婚姻を為す。 | |
| 13 郎家居近御溝水 | 郎の家が居すは、御溝水の近く。 | |
| 14 豪門客盡躡珠履 | 豪門の客は、盡く珠履を躡さる。 | |
| 15 雕盤酒器常不乾 | 雕盤の酒器の常に乾かず。 | |
| 16 曉入中廚妾先起 | 曉となりて中廚に入らんとすれば、妾に先んじて起つ。 | |
17 姑 嚴肅有規矩
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姑 は嚴肅にして規矩を有すも、
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18 小姑嬌 意難取
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小姑は嬌 にして意は取り難し。
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| 19 朝參暮拜白玉堂 | 朝に參じ暮に拜す、白玉堂。 | |
20 衣著盡 金縷
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衣著は盡く 金の縷にて さる。
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| 21 妾貌漸衰郎漸薄 | 妾の貌、漸く衰えれば郎は漸く薄く、 | |
| 22 時時強笑意索寞 | 時時に強して笑するも、意は索寞たり。 | |
23 知郎本來無 寒
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郎に本來、 寒の無きを知り、
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24 幾回掩 看花落
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幾回も を掩して、花の落つるを看る。
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| 25 妾年四十絲滿頭 | 妾の年四十にして絲の頭に滿ち、 | |
| 26 郎年五十封公侯 | 郎の年五十にして公侯に封ぜらる。 | |
| 27 男兒全盛日忘舊 | 男兒は全盛なれば、日(ひび)に舊を忘れ、 | |
28 銀床羽帳空![]()
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銀床、羽帳は、空しく![]() たり。
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| 29 庭花紅遍蝴蝶飛 | 庭の花は紅にして遍にして、蝴蝶の飛ぶ。 | |
| 30 看郎佩玉下朝時 | 郎の佩玉して下朝の時を看る。 | |
| 31 歸來略略不相顧 | 歸り來たるも、略略として相い顧みず。 | |
| 32 卻令侍婢生光輝 | 卻って侍婢をして光輝を生じさす。 | |
| 33 郎恨婦人易衰老 | 郎は恨む、婦人の衰老するの易きを。 | |
| 34 妾亦恨深不忍道 | 妾も亦た恨みを深くするは、道に忍ばざるを。 | |
| 35 看郎強健能幾時 | 郎の強健にして幾時に能(た)うるを看るも、 | |
| 36 年過六十還枯槁 | 年の六十還を過ぎて枯槁す。 | |
| 『全唐詩』 3888頁 348卷 11冊 | ||
| 解説語句(数字は句番号) |
馨香 |
(02) |
雙鴛鴦 |
(04) |
駢![]() |
(07) |
門館 |
(07) |
御溝 |
(13) |
躡珠履 |
(14) |
雕盤 |
(15) |
中廚 |
(16) |
姑![]() |
(17) |
嬌![]() |
(18) |
白玉堂 |
(19) |
寒 |
(23) |
公侯 |
(26) |
銀床 |
(28) |
羽帳 |
(28) |
![]() ![]() |
(28) |
略略 |
(31) |
枯槁 |
(36) |
解釈 |
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| 訳 |
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01 十三歳で羅(薄絹)の衣裳に刺繍することを学んだけれども、 02 不安に思っていたのは、この紅袖が馨香を含んでも、それを届ける人に会え るかどうか、と言うこと。 03 ある人が問うてきた。これは嫁入りの時に着る服ですか、と。 04 含み笑いで返したが、雙鴛鴦を刺繍する事は無かった。 05 あの人は年十九になっても、髭が生えきていなかったけれども、 06 早くも拜官したため、天下にあの人の名前が知れ渡る事となりました。 07 その日以来、車馬が列を成すようになり、家の至る所で賀を受けたものの、 08 そんな中でも、公卿としての振る舞いを失う事は無かったと言う事です。 09 この時、私の家はまだ零落してはいなかったため、 10 兄弟は、それぞれがそれぞれの車に乗って出入りするようになりました。 11 互いの家の栄華は全盛で、互いが互いを釣り合う家と認め、 12 私はあの人と、まだ年が若かったながらも、婚姻を結ぶ事となりました。 13 あの人の家は、御苑の堀近く。 14 豪門の食客が皆な珠履を履いて、私が入るのを出迎えました。 15 雕された盤上の酒器は、常に酒が注がれ乾く事が無く、 16 朝方に厨房に入ろうとしたら、私より先に取りに行ってしまう。 17 姑も舅も厳粛で、礼を修めた人でしたが、 18 小姑はよく言えば天真爛漫ですが、何を言っているのか分からない時もあり ました。 19 朝に暮れに白玉堂を参拝するのが日課で、 20 その時の服装には、金縷が刺繍されていました。 21 私の容貌に衰えが見え始めると、あの人も次第次第に離れていきました。 22 時々、無理に笑顔を作ってはいましたが、胸中は索寞たるものでした。 23 ここで知ったのです。あの人には元から歳寒の心が無かった事を。 24 幾度と無く涙を堪えては、花の落ちるのを見ました。 25 私は年四十だと言うのに、白髪になってしまいました。 26 郎は年五十ながら、公侯に封ぜられたのでした。 27 男の人と言うのは、全盛になると日ごとに昔の事を忘れていくでしょうか。 28 この銀床や羽帳で飾られた部屋を、冷たい風が吹き抜けていきました。 29 庭では花が一面に咲き誇り、その間を蝴蝶が飛び回っていました。 30 郎が佩玉してお勤めから帰ってきたのが見えました。 31 帰って来てたと言うのに、一瞥もくれずに通り過ぎ、 32 また、侍婢に明かりを点けさせたのです。 33 あの人は恨んだでしょう、女性の容貌の移ろい易さを。 34 しかし、私もまた、恨みを深くしました。道に適った行動を修めない事に。 35 あの人の強健さは、若い時と変わらる事無く、この先、いつまでもやって いけそうでしたが、 36 年が六十の還暦を過ぎると、見る見るうちに衰えていったのです。 |
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| 語の説明 |
| □句の説明 | ■語句 | ●地名 | ○人名 | ◇特記 |
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■馨香
『文選』「古詩一十九首」 馨香盈懷袖,路遠莫致之.(馨香の懷袖に盈つれども、路遠くして之を致すなし。) |
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■雙鴛鴦
以下がその史料 『文選』「古詩一十九首」 文綵雙鴛鴦,裁為合懽被.著以長相思, 以結不解.
注)鄭玄儀禮注曰:著,謂充之以絮也.鄭玄禮記注曰: ,飾邊也.
文采は雙鴛鴦 裁ちて合歡の被と為す 著するに長相思を以てし とるに結不解を以てす
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■駢 − 猶駢田。
■駢田 − 聚會;連屬。形容多。 以下がその史料 『文選』張衡「西京賦」:「 鹿麌麌,駢田 仄。」薛綜注:「駢田 仄,聚會之意。」劉良注:「駢,謂駢列於田,以相 側。」
『文選』何晏「景福殿賦」:「離背別趣,駢田胥附。」呂向注:「駢填,多貌。」 |
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■門館 − 舊時權貴招待賓客、門客的館舍。
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■御溝 − 流經宮苑的河道。
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■躡珠履 − 「三千珠履」より。
以下がその史料 『史記』春申君列傳:「趙使欲夸楚,為 瑁簪,刀劍室以珠玉飾之,請命春申君客。春申君客三千餘人,其上客皆躡珠履以見趙使,趙使大慙。」後因以「三千珠履」指為数衆多的門客。
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■雕盤 − 刻繪花紋的盤子;精美的盤子。
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■中廚 − 内厨房。
以下がその史料 三国魏・曹植「娯賓賦」:「 中厨之豐膳兮,作齊鄭之妍倡。」趙幼文校注:「中厨即内厨。」
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■姑 − 丈夫的母親與父親。
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■嬌 − 猶嬌癡。
■嬌癡 − 天真可愛而不解事。 |
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■白玉堂 − 神仙所居。亦喩指富貴人家的邸宅。
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■ 寒 − 一年的嚴寒時節。喩困境,亂世。
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■公侯 − 公爵與侯爵。泛指有爵位的貴族與官高位顯的人。
以下がその史料 『後漢書』朱景王杜馬等傳論:「自茲以降,迄于孝武,宰輔五世,莫非公侯。」李賢注:「自高祖至于孝武凡五代也,其中宰輔皆以公侯勳貴為之。」 |
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■銀床 − 銀装之床。
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■羽帳 − 以翠羽為装之帳。
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■![]() − 象聲詞。風雨聲。− 風凛冽貌。 − 指寒氣,寒風。 |
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■略略 − 微微。
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■枯槁 − 消 ,憔悴。− 謂窮困潦倒。 |
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陳羽「古意」の解釈
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