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最終更新 2010/12/28



江風行 張  潮




01  婿貧如珠玉   婿の貧なるは珠玉の如く、
02  婿富如埃塵   婿の富なるは埃塵の如し。
03  貧時不忘舊   貧時は舊を忘れず、
04  富日多寵新   富日は新を寵すること多し。
 
05  妾本富家女   妾、本は富家の女(娘)、
06  與君為偶匹   君と偶匹と為る。
07  惠好一何深   惠好すること一何(なん)と深く、
08  中門不曾出   中門より曾て出さず。
 
09  妾有衣裳   妾は有す、の衣裳。
10  金縷光   、金縷の光。
11  念君貧且賤   君の貧にして且つ賤なるを念い、
12  易此從遠方   此こ從り遠方に易す。
 
13  遠方三千里   遠方三千里、
14  思君心未已   君を思う心、未だ已まず。
15  日暮情更來   日暮れて情の更に來たりて、
16  空望去時水   空しく望む、時水の去るを。
 
17  孟夏麥始秀   孟夏、麥の秀し始め、
18  江上多南風   江上、南風多し。
19  商賈歸欲盡   商賈は歸りて盡きんと欲するも、
20  君今尚巴東   君は今、巴東を尚す。
 
21  巴東有巫山   巴東、巫山を有し、
22  窈窕神女顏   窈窕たり、神女の顏。
23  常恐遊此方   常に恐るるは、此の方に遊して、
24  果然不知還   果然として、還るを知らざるを。
 
  『全唐詩』 1140頁 111卷 4冊




解説語句(数字は句番号)


 長干 (詩題)
 惠好 (07)
 中門 (08)
  (10)
 金縷 (11)
 未已 (14)
 時水 (16)
 巫山 (21)
 解釈  




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01  夫が貧でいるのは、珠玉のようなことです。
02  夫が富になってしまうのは、埃塵に過ぎません。
03  貧しい時には、昔の事を忘れません。
04  でも、富となれば日を追うごとに、新らたなものに目移りしていきます。

05  私は元々、富家の娘でしたが、
06  あなたと夫婦となりました。
07  あなたの恩愛は深いものがあり、
08  中門から出ていくことすら嫌がりました。

09  私は奇麗な刺繍の施された衣裳を持っていました。
10   羽毛で飾られ、金縷の縫い取りは光を放っていました。
11  あなたが貧だけでなく、身分も低かったので、
12  ここから遠方に移住する事にしたのです。

13  行くは遠方はるか三千里、
14  あなたを思う心は、変わらないと思っていました。
15  しかし、日が暮れると新たに不安が生まれ、
16  空しく時水が去るのを見ていました。

17  夏の初め、麦が穂を出し始め、
18  江の上を渡る風は、南風に変わってきています。
19  商人は帰ってしまうくらいの暗さなのに、
20  あなたは今、巴東に向かおうと言うのですか。

21  巴東には巫山と言う山があり、
22  そこには窈窕たる神女がいると聞きます。
23  あなたが一たびその山に行ってしまったら、
24  もう帰るのを忘れるのではないかと、気が気でなりません。




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語の説明


□句の説明■語句●地名○人名◇特記








 
●長干 − 古建康里巷名。故址在今江蘇省南京市南。


『文選』左思「呉都詩」:「長干延屬,飛甍舛互。」劉逵注:「江東謂山岡闊ラ「干」。建之南有山,其阨ス地,吏民居之,故號為「干」。中有大長干、小長干,皆相屬。」

  詩題が一作に「長干行」とある。

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■惠好 − 恩愛;友好。


語本『詩』「風・北風」:「惠而好我,攜手同行。」毛傳:「惠,愛也。」

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■中門 − 内、外門之間的門。

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− 羽毛飾物貌。


『漢書』司馬相如傳上:「下摩蘭宦C上拂羽蓋;錯翡翠之,繆繞玉綏。」顏師古注:「,羽飾貌。」

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■金縷 − 指金絲。

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■未已 − 不止;未畢。

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■時水 − 應時雨水。

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●巫山 − 山名。在四川、湖北兩省邊境。北與大巴山相連,形如「巫」字,故名。長江穿流其中,形成三峽。



戰國宋玉「高唐詩」序:「昔者先王嘗游高唐,怠而昼寢。夢見一婦人,曰:『妾巫山之女也,為高唐之客。聞君游高唐,願薦枕席。』王因幸之。去而辭曰:「妾在巫山之陽,高丘之阻,旦為朝云,暮為行雨,朝朝暮暮,陽臺之下。」旦朝視之,如言,故為之立廟,號曰朝云。」後遂用為男女幽會的典實。

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張潮「江風行」の解釈

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