.低賃金と労働効率

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前章で所得は労働効率とその分配できまると述べました。では次に労働
効率を向上させず市場原理を乗り越えようとしたらどうなるかを考えて
みましょう。もう一度先ほどの椅子の例で考えていきますと、輸入によ
り椅子の売価が1万円から5千円に下がったとします。椅子の製造会社
は何らかの手を打たないと販売競争に負けて、倒産してしまいます。し
かし加工機械や運搬機械などの導入をするには先行きが不透明で危険で
あると判断しました。そこで賃下げと労働強化により製造コストを下げ
て売価に対応しました。

この場合労働効率は変化していませんから全体としての所得は変化しな
いと考えられます。この会社の所得と従業員の所得が減少した分、この
会社の椅子を買った人の所得が向上したことになっただけです。つまり
賃下げは経済には何にも影響を与えないことになります。ではこの会社
が外国人労働者を安い賃金で雇った場合はどうなるのでしょうか。

外国人労働者もこの国で生活しているのですから労働人口は増加したこ
とになります。そのため経済はその分大きくなります。しかし労働効率
は変化していないのですから、1人当たりの所得でみると、低賃金労働
(低労働効率)割合が増加したことにより、1人当たりの平均所得は減
少してしまうこととなるのです。全体の経済が膨らんだとしても1人当
たりの所得が向上しないと購入余力が生まれません。生活必需品の買う
量が増えるだけで、新しい市場は生まれてこないのです。そのため経済
は成長するけれども成長率は下がってしまうのです。

かつて米国や欧州で外国人労働者を低賃金で雇い、経済力を伸ばそうと
しましたが結果は経済が停滞したままとなってしまったのです。それは
労働効率が向上しなければ所得は増えないためなのです。所得が増えな
ければ新市場は成長しないのです。経済政策には1人当たりの所得を伸
ばす政策が必要なのです。



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