7.景気変動はなぜ起きる
もともと売買には気ままな要素が多くあります。何かのブームによって
突然売れ出したり、先行き不透明とばかりに急に買い控えしたりと、規則
性を見出すのは難しいものです。しかしそれでも、景気は規則性をもって
変動するのはなぜでしょうか。その点についてもう一度経済を基本から考
え直して見ましょう。
経済の大きさは何によって決まるのでしょうか。それは一人一人の労働
力に一人一人の労働効率を掛け、それらを合計(労働人口)したものです。
労働力こそ真の商品ですから当然のことですね。これらの要素は常に変動
しています。しかし労働人口は全体としてみれば景気変動の様に、そんな
に大きく変動することはありませんね。では労働効率はどうでしょう。一
部には画期的な生産性の革新が見られることもありますが大抵は地道な改
善や開発の積み重ねによって右肩上がりに少しずつ上昇していきます。で
すからマイナスの労働効率など考えにくいのです。このことからどちらの
要素も景気変動には直接かかわっていないと考えられます。
ではヒット商品が少ないから景気低迷がおこり、ヒット商品が多いから
景気が上昇するのでしょうか。世間一般ではこの様に受け止められていま
す。しかし自分自身の問題としてよくよく考えてみると違うことが解かり
ます。確かにヒットした商品分野については景気が上昇したでしょう。し
かしその分その他の分野では逆に景気が低迷しているはずです。何故なら
、自分(消費者)の所得が上昇したのでなければヒット商品を買った自分(
消費者)はその分他の商品の購入を抑えざるをえないのですから。つまり
ヒット商品の多少によって景気は左右されるのではなく、消費者や法人の
所得が変動するから景気変動が起きると考えられるのです。もちろんヒッ
ト商品により労働効率が上昇していればその分景気は上昇するのですが景
気悪化が起こる原因はどこにもないのです。
資本主義経済は信用経済(信用資金)により、速く労働効率が向上し、経済波
及効果により、好景気となります。ですから労働効率がより高くなれば、経済波及
効果もより高まり、好景気もよりよいものとなります。
景気悪化の原因はバブル(信用経済)により起こっています。信用経済は
労働効率の向上により保証されているのですが信用経済が実態経済となる
までのタイムラグに原因が隠されているのです。銀行は高い労働効率の向
上を期待して、多くのお金を貸し出します。そしてそのお金によって売買
が発生します。その売買の発生はより労働効率が向上したためと思い込み
、またさらにお金を貸し出してしまうのです。もとより実態の経済は労働
効率の向上分しか拡大しないのですから、それ以上金利を付けて貸し出せ
ば返しきれなくなるのは当然です。要は労働効率の向上分以上に貸し出さ
れてしまうために、見せかけだけ大きくなった経済が発生してしまうので
す。そのため法人や個人の所得は上昇しますがインフレも激しくなるので
す。
やがて企業が金利を返済できなくなると、銀行は労働効率の向上が期待
以下であると気付きます。そこで貸し渋りと、貸し出していたお金の回収
をはじめます。これは貸し出し過ぎたお金が回収できるまで続きます。こ
の結果法人や個人に回るお金が減少します。景気は悪化していくのです。
そのため実際の労働効率を向上できていた企業までがその影響を受け、借
り入れ資金の不足により労働効率の向上が鈍化し、実態経済までが低下し
てしまうことも起きるのです。この現象は期待以上の貸し出した金が多け
れば多いほど、景気の落ち込みも大きくなることになります。
景気変動は信用資金により、速く労働効率を向上させていることと、信
用資金によるタイムラグの発生に惑わされ、労働効率の向上以上にお金を
貸し出してしまうことによって発生するのです。景気対策は労働効率の向
上以上に銀行貸出を実行しないことであり、労働効率の向上自体を高める
ことにあるのです。