YZF−R6のセッティング


記述    2002年12月
赤字 2003年1月末追加

2002年1月から乗り始めて1年間,’01年型YZF−R6のセッティングについて,自分なりに感じた事をここにまとめます.何かの参考になれば,と思います.なお今年は知ったのは鈴鹿だけですので,内容も鈴鹿の場合に限るかもしれません.

パーツに関する簡単なインプレッションを載せました.
パーツインプレッション


ダイノジェットによるパワー計測からマフラー比較を行いました.
マフラーパワーチェック



総括

市販車のサーキット走行時のセッティングには,TZレーサー−のような推奨セッティング例が無く,どこから手をつければ良いか悩む人も多いと思います.実際私も最初のうちはそうでしたが,私の場合はまだTZでの経験があったので,よく分からないながらもなんとなくセッティングを進めていけましたが,いきなりST600に挑戦する場合などにはけっこう戸惑うんではないでしょうか.

なんにしても,まず最初に決めるべきは2次減速(ファイナル)でしょう.ミッションレシオを変更可能なクラスでも,大まかなファイナルを決め,各コーナーに合わせてミッションとファイナルの微調整をしていきますが,ST600の場合にはミッションレシオの変更は許されておらず,エンジン回転をコースにあわせるにはファイナル調整しかありません.
とりあえずファイナルは周りの人やサーキットに出向いて同じバイクに乗っている人に聞いて来るのが手っ取り早いです.そこから始めて後は自分なりに微調整すれば良いでしょう.
YZF−R6と鈴鹿の場合,15−47が多いですが,ストレート吹け切り気味になるのを嫌って15−46で走っている人もいます.

次はフロントフォークの突き出しとリアの車高調整による車体姿勢の調整でしょう.
市販車の場合,基本的な車体姿勢はOEMタイヤに合わせてあります.サーキット走行時にはもちろん各メーカーのハイグリップタイヤに変更すると思いますが,タイヤ外径の違いによって既に車体姿勢が変わっています. ほとんどの場合においてフロントの外径が大きくなり,前上がり気味になっていると思います.
そこでタイヤによって変わってしまった姿勢を,フロントフォークの突き出しとリアの車高によって元に戻してやります.
これで車両の車体姿勢が基本的には元に戻るので,後はここから自分なりに調整していけば良いと思います.
ちなみにYZF−R6にはリアの車高を調整するすべが無く,フロントの突き出しのみで対応する事になります.

参考.YZF−R6の場合
タイヤ銘柄
タイヤサイズ−F
外径
タイヤサイズ−R
外径
フォーク突き出し
OEM (ダンロップD207)
120/60R17
580 mm
180/55R17
631 mm
-
ダンロップ D208GP
120/70R17
598 mm
180/55R17
640 mm
+4.5 mm
ダンロップ D208GPA
120/70R17
603 mm
180/55R17
640 mm
+7.0 mm
ブリジストン BT001
120/70R17
601 mm
180/55R17
640 mm
+6.0 mm



車体セッティング

ここからはYZF−R6に特化して,思うことを述べていきたいと思います.

まず最初に感じたのは,車体全体が非常に良く動く,と言うことでした.まあ比較対象がTZ125ですから,そう感じるのも当たり前といえば当たり前ですが,前後サスだけでなく,フレームに関しても柔らかさを感じます.

この車体の動きのうち,リアアームの動きはYZFシリーズお得意のロングアームのおかげか,コーナー立ち上がりでのサスの動きがつかみやすく,少々タイヤをスライドさせても気にもなりません.
しかし,ノーマルのバネではペースが上がってくると,イニシャルを最強にしてもコーナー立ち上がりで底付いてしまいせっかくいい動きをするアームが動かなくなってしまいます.このとき,はっきりした底付き感というのはほとんど無いですが,底付きするとタイヤが外へ滑り出すのですぐに分かると思います.
そこで早い段階で標準のレート9.7から10.7へ上げました.

同時にフロント側ですが,夏ごろまでは突き出しを標準+4.5ミリとしていました.タイヤがダンロップD208GPだったからです.ちなみにトップブリッジ上面からインナーチューブ上沿までが25.5ミリ,フォークキャップ上面までが28.5ミリ(キャップ厚さは3ミリ)が標準です.
しかし直立状態では,これで車体姿勢の適正化が図れますが,タイヤ幅はOEMに対してあまり変わらない為,フルバンク時には若干前下がりの姿勢となります.
これに加えて,フロントの伸び減衰を強くかけていた事もあって,私のバイクはコーナリング中に前下がりの強い姿勢となっていました.
まだ乗り始めのうちはこうする事でバイクが曲がるようになるため良かったのですが,慣れて来るとコーナリングスピードが上がり,フロントへ過剰に過重が掛かるようになって来ました.結果アンダーの傾向が強いバイクになってしまいました.
フロントのチャタリングがひどいとき(フロントサスのイニシャルをかけても改善されないとき)も,突き出しが出過ぎている可能性があります.

この状況に気がついたのは,4耐のときペアライダーだった山本Rが私のバイクに乗ったとき,やけにアンダーが強いというコメントを出し,リアのイニシャルを抜きまくったらこの症状が改善されたときでした.

しかしリアのイニシャルを抜いたままではせっかくスプリングレートを上げた意味がなく,事実そのままではリアが下がりっぱなしになってしまいました.そこでフロントの突き出しを3ミリ戻したところ,アンダーの症状が改善され,リアのサスも元の状態に戻す事が出来ました.

この当たりで大まかな車体セッティングが決まりました.あとは細かなイニシャル,減衰の調整です.ここまでのプロセスも結構人それぞれだと思いますが,ここからはさらに一人一人感じ方が変わってくると思います.そのためここからの話は本当に参考程度にして,まずは自分の感じた事を大事にしてもらった方がいいと思います.

まず減衰についてですが,YZF−R6のダンパーは,前後ともサーキット走行にはちょっと効きが弱い方向にある気がします.
大体標準よりも抜いているというのは見かけないし,残りのノッチがほとんどないというところまで絞め込んでいる人も少なからずいます.フロントに関してはRC−SUGOキットのSSダンパーユニットが欲しくなるところですが,STのレギュレーションではそれは許されておらず,何より買う金がない・・・その中でも,伸び側をかけるとコーナー立ち上がりではらみにくくなる傾向があると感じます. ただし伸びをかけすぎると今度はアクセルオン時にパワーアンダーが出始めます.圧側をかけるとエンジンブレーキだけで入っていくコーナー(鈴鹿には多いです)では,案外フロントが動かなくなる気がしますが,詳しいところはまだ良く分かりません. 応急処置としては圧減衰でも良いですが,1コーナーなどで踏ん張りが足りない場合などはフロントのバネレートを上げると良くなるかもしれません.と言うか私はよくなりました.

リアはフロントに比べればまだ明快で,伸び側のノッチを触る事はあまりないでしょう.圧側はダンロップやマッチャンなど,アクセルを開けつつ登るようなコーナーでアウト側へはらんでいくのを抑えてくれます.ダンロップで大きくアウト側まで膨らんでしまうという場合には,2,3ノッチ圧減衰をかけてみると症状が改善されるかもしれません.

私がTZに乗っていたころは,フロントフォークの突き出しを変えることはまずなく,まずリアの車高を調整してバランスを取ってからそのたび調整を行っていたので,YZF−R6に乗り換えたときし車高調整が出来ない事にしばらくとまどいましたが,1年乗ってやっとなんとなく雰囲気がつかめてきました.とはいえまだまだ今後感じ方がさらに変わるかも知れず,足回りはとても奥が深く,自分にあった足回りを決めるというのは至難の業だと思います.レースをやってる間,永久にあーでもないこーでもないと悩んでいるんではないでしょうか.

ちなみに,触っても良く分からないから,という理由でノーマルから何も変えずに18秒ぐらいで走っている人もいるそうです.本当に人それぞれですね・・・



エンジンセッティング

エンジンに関しては,非常に明快です.走るか走らないか,が唯一絶対の指標として存在するので,それを数字化できる目安を用意しておけば判断も容易になります.またジェットニードルの段数は,コースが変わらなければまず変える必要はないと思いますので,調整するのもメインジェットの番数と,パイロットスクリューの開度だけです.
私の場合,エンジンの状態を鈴鹿裏ストレートのどこで6速に入れるかと,同じく裏ストレートの200m看板で何回転回っているかで判断しています.
6速に入れるタイミングとしては西ピット前辺りのコース頭上の渡し看板が,目を上に向けていれば見える,というタイミングで普通,それより早ければ状態は良いし,見えなくなってから6速に入れるようならイマイチですね.
さらに200m看板でエンジン回転数を確認すれば,数字で判断できる為,よりはっきりした指標になります.私の場合14500〜15000回転回っていれば合格,それより高ければ言うことないし,低いとイマイチという事になります.

ただ,4サイクルの場合,2サイクルほどキャブレターセッティングによるエンジンへの影響はなく,むしろ外気温等の影響が大きい為,その状況しだい,たとえば真夏などではキャブレーションが完璧でも案外エンジンは走らないし,真冬では少々外していてもビックリするぐらい走りますので,あまり気にしなくても良いところではあります.
しかしレースをやっている以上,その時々でベストコンディションを保つという事は大事だと思います.

さて,そのキャブレーションですが,下の表に私がセッティングしたときのデータを記しておきます.
これを参考に各自プラグの焼け具合などをチェックしつつ,修正してもらえればいいと思います.
なお,キャブレターには’02RC-SUGOキャブレターキットを組み込んであります.よってジェットニードル,ニードルジェットはNB/NCLAまたはNB/NCLBの組み合わせで,クリップ段数は5段あります.
また,M.AJ.は#110,P.J.は#38,P.AJ.は#100で年中固定しています.

キャブレターセッティングその1
日付,天候
5/6,曇り
5/19,曇り
6/1,晴れ
6/16,晴れ
気温,気圧
21℃,1017hPa
17℃,1004hPa
27℃,1002hPa
27℃,1009hPa
コース
鈴鹿西コース
鈴鹿フルコース
鈴鹿フルコース
鈴鹿フルコース
シリンダー
#1,#4
#2,#3
#1,#4
#2,#3
#1,#4
#2,#3
#1,#4
#2,#3
MJ
140
142
140
142
140
142
138
140
JN段数
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
PS
-2.5
-2.5
-2.5
-2.5
ファイナル
15/47
15/46
15/46
15/46
裏直200m
14500rpm
14500rpm
14200rpm
14000rpm

キャブレターセッティングその2
日付,天候
6/23,曇り
10/18,晴れ
10/26,曇り
11/28,曇り
気温,気圧
27℃,1009hPa
27℃,1020hPa
18℃,1010hPa
11℃,1024hPa
コース
鈴鹿フルコース
鈴鹿西コース
鈴鹿フルコース
鈴鹿フルコース
シリンダー
#1,#4
#2,#3
#1,#4
#2,#3
#1,#4
#2,#3
#1,#4
#2,#3
MJ
135
138
132
135
132
135
135
138
JN段数
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
3.0
PS
-2.0
-1.75
-1.75
-2.0
ファイナル
15/46
15/47
15/47
15/47
裏直200m
14500rpm以上
15000rpm
15000rpm
15200rpm

この表のうち,上段のセッティングはほとんど外している状態です.特に6月はひどかった.しかしこのころはこんなもんだと思いながら走っていました.下段,特に10月以降はかなり良かったです.
しかし山本Rに言わせると,13500rpmあたりに少しパワーの谷があるそうです.4耐のときのコメントですが.
また,ST600では各YZF−R6でほとんど仕様に差はありません(のはずです)が,マフラーの違いで若干ジェットに差が出るようです.またライダーの好みでも違いはあるでしょう.
もっと具体的にエンジンセッティングをしたい場合には,排気ポート出口の色を見るのがいいのですが,なかなかめんどくさくて毎回見る気がしません.そんなときはプラグの焼けを見るか,エキパイの焼け色,サイレンサー手前の集合部の焼け色などでも判断できます. 良い時の色をおぼえておくと良いでしょう.



簡単な内容でしたがいかがでしょう,参考になりましたでしょうか.
この内容は全て私の感覚によるものです.またちょくちょく変わっているかもしれませんし,第一合っているかどうかも分かりません.鵜呑みにする事はせず,あくまで参考程度にしてもらえればと思います.
またこの内容に関して,いろいろあーだこーだアドバイスいただければ幸いです.


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