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| 退屈老人日記 |
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定期的に読んでいる雑誌に、この題名が新しく書かれていたので、仲間意識が働いて読みはじめた。生半可の人ではないと思い、著者の略歴を探したら、高島俊男という名の大学者だった。その人の紹介は後ほどにする。何故なら、発行書籍「漢字と日本人」という本を、お書きになられているのを読んで(文芸春秋)尊敬の念を持ったためである。 |
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さて、エッセー風に書かれている内容を紹介することから始めたい。漢字で書く日本語の辞書という題名で始まった。新潮社が改めたような辞書を発行したのである。簡単に言えば漢字で書く日本語の辞書である。長年私たちは漢和辞書を利用してきた。 |
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漢和辞典のほとんどは、古代の中国の言葉を日本で学ぶための辞書だった。(何の不思議もなく利用していた)しかし、中国語は外国語の一つで、{新潮日本語漢字字典}を、その中国語としての漢字ではなく、「日本語としての漢字」を知るための辞典として編纂しました)高島俊夫先生はかねてより、こういう辞書が必要と言い続けてきたそうです。 |
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早速バスに乗って本屋へ駆けつけ購入したそうです。値段は一万円札を出して、おつりがわずか二十五円だったそうです。英語の本を読んでいてわからないことばがあれば英語の辞書を引く。日本語の本を読んでいてわからないことがあれば国語辞典を引く。 |
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フアベットさえわかっていればかならず引ける。ところが国語辞典は、そのわからないことばが漢字で書いてあってよみがわからないと引けない。そこで先生は思いつくままに漢字日本語を二十語リストしておいた。 |
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相撲・大童・改札・家来・下駄・腰巾着・子分・財布・親身・殿方・捕物・友達・値札・吹聴・万引・身柄・役者・夕刊・牢屋・分前・・・・・これらは純然たる日本語。つまり中国語の辞書には出てこないことばです。ふしぎなことに、分前だけは新潮社の辞書には出てこなかったらしい。例えば、大童と書いてある字は、だいどうといふ漢字辞書で引いても出てこない。 |
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この字は、おおわらわ、と読む。例えば、彼はある事件に巻き込まれ、これを取り消すのに、弁護士を雇い、おおわらわになっている、という場合に使われる。これほど漢字字典では、読みが理解できない場合は、辞書はなんの役には立たないのだ。 |
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先生は毎週日曜日、隣町の図書館で、十人内外のお客様を相手に雑談をしている。先日買ったばかりの「新潮日本語辞典」を持って行って見せた。上記の二十語を、黒板に書いて示した。ついで三省堂の「例解新漢字字典にはこれらの語のうちいくつぐらい出ているのでしょう」ときいてみると、三十ぐらいの主婦がけげんな顔をして、「そりゃ全部でている。 |
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でしょう」と言う。[えっ、どうして?]「だって漢字の言葉を引くための辞書なんだから」他の人たちも、うないずいている。今の人たちは、漢和辞典とは、論語や孟子に出てくることばをしらべる辞書、とは思っていないらしいのだ。身のまわりの新聞や本に出てきた漢字ことばのよみかたや、意味をしらべる辞書だと思っている。これはもう、名前はもう、漢和辞典だが、実質は漢字日本語辞典だ。 |
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してみるとこんどの新潮社の辞書は、従来なかった種類のものが新しくあらわれたのではない。従来の漢和辞典がたどってきた趨勢を徹底し、そこにどかっと尻をすえた辞書、と性格づけるのがよいようだ、と思った。 |
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最後に先生のはなはだ厳しいことばを列記しておきたい。(漢字と日本人)から引用。 |
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第二に、漢字をいっぱいつかった文章を書く人が一目おいてくれるんじゃないかというあさはかな虚栄ゆえである。第三に、日本語の本体は漢字で、どんな日本語でもすべて漢字で書くのがほんとうだと信じてこんでいる無知ゆえである。ホラをどう書くのムジナはどう書くのナメクジはどう書くのと言っているのは、かならずこういう程度のひくい連中である。 |
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パソコンが普及してからいよいよこういう何でも漢字を書きたがる手合がふえてきた。 |
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追記・娘の本箱から「ど忘れ漢字字典」平成1年3月10日第31版・(株)全教団という辞典を見つけた。自分の知りたい文字が的確にスピーデイに引けるこの字典こそ、現代人必携の実用字典といえるでしょう。編者これは大変娘の役に立ったと思いました。残念ながらカナつきの字典ですが、解釈は書いてありません。 |
| 平成20年2月15日 石 井 立 夫 |