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| サミットに参加した9カ国 | ||
| エタノール第三篇 |
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NHKの番組で驚くべき事実が伝えられていた。アメリカのエタノールの新規工場が建設されたばかりで、出荷する農家の玉蜀黍の価格が三倍にもなったため、閉鎖せざるを得なかったというニュースだった。CO・2のモデル排泄の効果を強調するアメリカのエネルギー問題のロッキー・マウンテン研究所によると、コンサルタントのダッタ氏には「石油の終焉に打ち勝つ」Winning the Oil Endgameという著書がある。 |
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栽培する作物を玉蜀黍からスイッチグラス(ロッキー山脈東部のいたるところに生えている多年生植物)に移行すれば、農場経営者は1エーカーあたりの利益は、現在の約400ドル~600ドルに増やせると指摘している。バイオマスからエタノールを製造する技術が更に商業化すれば、国際政治に影響を及ぼすとダッタ氏は話している。 |
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一日に240バレルのエタノールを製造すれば、「年に400億ドルの富が中東から米国の農場経営者に移るという」という言葉を強調していたのだ。その原因は玉蜀黍の価格が3倍になり、ついに閉鎖にまで追い込まれたという内容だった。一時農家は、自分のサイロまで建て、遺伝子組み換えの玉蜀黍に切り替え、エタノール工場へ出荷するという勢いだった。 |
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奢れるものは久しからずという言葉がぴったりの言葉が、アメリカの工場にまで押し寄せてきた現状の報告だった。さて、ブラジルのサンパウロの現状が同時に報告されていた。サトウキビの搾りかすを原料とするエタノールを製造し、サンパウロの市内では、すでにエタノール専門のスタンドが建設され、エタノールを主とした車が、現実に走っている状況が紹介されていた。コストの面では、太刀打ちできないのは当然のことである。 |
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さて、玉蜀黍を主体としたバイオ燃料が、限界にきたから、世界的に食糧不足の深刻な問題が果たして解決できるのかどうか。この見方は世界の穀物を支配しているカーギル社の今後の出方に掛かっているとも云える。 |
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北海道で行われた洞爺湖サミットでは、題名は主として地球温暖化が主として、9ヶ国の首脳が討議を行われたが、アメリカのブッシュ大統領の主張は、中国、インドの両国が参加して、温暖化の問題を共に討議する必要があると主張して、態度が今一つはっきりしなかった印象が強かった。原因はアメリカが玉蜀黍、小麦の穀物類を原料とするエタノールの生産に集中していたのが、その原因だった。 |
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日本の福田首相は、この点には触れず、中国、インド両国が参加して、温暖化の問題を討議したのである。アメリカは早くからエタノールの生産に人間の食糧となる穀物を使用し、エタノールを生産していたのである。このため、世界的に食糧不足を来たし、特にアフリカ地区には食糧不足が危機状態を齎しのである。 |
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| オーストラリアの干ばつ | ブラジルのサトウキビ畑 |
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ウオール街の巨額の投資資金も製油所建設につぎ込まれ、製油所は119ケ所にのぼり、86ケ所が建設中、生産能力は48億㌎が、今年は78億㌎になる見通しだという。エタノールは腐食性が強く、国内の燃料パイプラインを通じて輸送できないため、コストの高いトラックや船の輸送に頼らざるを得ない。 |
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更にエタノール85%、ガソリン15%の比率で混合した燃料{E85}を販売するのは、全米約17万9000スタンドの内約1000しかない。こうした流通インフラの限界が、需要に火がつかない最大の理由のようだ。アメリカ農家は空前の好況を謳歌している。 |
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「我々は食料、バイオ燃料両方の需要に対応できる」と鼻息が荒いが、飼料高に悲鳴を上げた米食肉協会団体は、法案からエタノール増産目標の撤退を求めている。国連食糧農業機関(FAO)によると、大豆の国際価格は一年前から52%、小麦は57%、オーストラリアの記録的な旱魃、中国など新興国の需要増、石油高による燃料コスト増などの要因が重なった。 |
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FAOは10月16日の世界食糧デーに発表した声明で、「バイオ燃料への転換と気候変動による異常気象が、世界の食糧供給に大きな圧力を加え続けている」と警告を発している。 |
| 平成20年7月31日 石 井 立 夫 |