オーストラリアの干ばつ

ヴァーチュアル・ウォーター(2)

Virtual water  (仮想水)
 産経新聞の330日付けの記事が印象的だった。
副題はやりタダは高くつくだった。産経新聞の論説副委員長五十嵐徹氏の名前で書かれていた。主題は(ヴァーチャル・ウォータ)仮想水と称される水の問題だ。

 私は328日付けで「地球全体の水問題」というテーマーで偶然書いたばかりである。
一応上記の通り水問題を書いたので、これを(2)にした。

330日の記事の内容について;
  南半球の農業大国オーストラリアが、慢性的な旱魃に悩まされていつ国だということは、日本では意外と知られていない。先ごろも死者2000人以上、山林35㌶を消失する山火事があったが、消火用水の枯渇も被害を広げた一因だったという。

 しかし、日本が世界でもトップクラスの水輸入大国であり、豪州の水不足にも実は無関係といえないこともまた、それ以上に知られていない事実だ。
『安全と水はタダと考えている』と揶揄されるほど水資源に恵まれてきた日本人には即座に納得しがたいが、後に紹介する数字がなにより雄弁に語っている。

 もちろん、ここでいう水資源とはぺットボトルのミネラルウォーターのことではない。
仮想水と称される概念で、「外国からの輸入物資を、もし国内で生産するとすれば必要とされる水資源の量」とでもいえば、少しは理解しやすいだろうか。

 例えばコメ。ある試算だと、精米一㌔を生産するには約8000㍑、重さにして実に8㌧もの水が必要だとされている。同様に、大半を輸入に頼る小麦粉では4・5㌧。大豆が3・4㌧、トウモロコシも2㌧の水が消費されると言う。

 驚くのは肉類だ。同じ一㌔当たりで、鶏肉は4・9㌧、豚肉では11㌧、牛肉にいたってはなんと100㌧もの水を要するという。これは、作物に比べ肥育期間が長く、トウモロコシなどの飼料生産に使用される水も計算に入れているからだ。

 仮想水の輸入先はこれまで米国がトップだった。牛肉の最大の輸入相手国だった事情が大きい。それが例のBSE騒ぎで豪州が米国にとって変わった。豪州からの仮想水輸入量は飛躍的に伸びている。それにしても、ステーキ200㌘の背後には2㍑入りのペットボトルが一万本並んでいるというのだから、考えただけでも気が遠くなりそうだ。

オーストラリアの干ばつの悲劇

 東京大学の沖大乾教授ら同大生産技術研究所グループが2005年のデーターをもとに推計した結果では、食糧自給率が四割にすぎない日本の仮想水輸入量は年間約1000億㌧で、大半は農産物に起因しているという。

 日本国内の水資源消費量が約900億トンというから、それをはるかに上回る量の外国の水を日本人が消費している計算である。もちろん仮想水は日本からも輸出されているが、圧倒的な日本の入超になっている。心配なのは、途上国を中心とした世界の人口急増を背景に水資源の地域格差が急ピッチで拡大していることだ。

 水の惑星といわれている地球ではあるが、その大半は海水だ。人間が有効利用できる淡水は、わずか2・5%にすぎない。水資源の問題は途上国、貧困国ほど深刻であるが、いずれ先進国でも水不足は避けられないだろうと専門家は見ている。

 日本も今のまま仮想水の大量諸費を続けられる保証はなく、いずれ世界相手に大きなトラブルにも発展しかねない。いかにも素人考えだが、鑿井(サクセイ)技術が進んでいる日本の立場だが、地球何処へ行っても、井戸が掘れるのではないか。アフリカでは汚れた水を飲み、子どもが下痢を起こしやすく、衛生状態が悪く、多くの子どもが犠牲になっている現状は既に諸国の知るところである。

 この衛生状態を特に早く取り上げるのは、地球全体の問題にもがるように思う。
1995年、当時の世界銀行副総裁、いスマル・セラゲルデインは、「20世紀の戦争が石油をめぐって起きたものだとするならば、21世紀は水をめぐる戦争だということになろう」と予測した。その見方が現実にならないことを祈るばかりだ。

  平成21年4月9日               石 井 立 夫