グローバル時代

 世はまさにグローバル時代と言ってもよいだろう。GLOBALとは地球の・全世界的な世界的規模の・という意味だ。朝起きてテレビを看ると、まず世界の天気予報が出てくる。老人には無駄なようにうつるが、世界を飛び廻っている人々には大切な情報なのだ。

 ことほど左様に多忙な人々が忙しく動き回っているらしい。アメリカから新しい飛行機が飛んできた。素人にはさほど違いは分からないが、性能が新しくなっており、わざわざニュースで知らされるから、納得するようになる。世界は日々に忙しくなっているが、この動きを理解するには老人と謂えども、関心を持たざるを得ない。

 漠然と理解しているだけだが、それだけでも大変な仕事になっている現代はテレビが逐一報道してくれるから、老人でもかなり理解できるし、興味を持つことが出来る戦前の話になるが、天気予報すら発表されなかった時代があった。
B29の恰好な情報になるからという理由だったが、相手はそれ以上の情報を駆使して、毎日のように空襲があった。
不思議なことに、まず私の連隊への爆撃は無かった。アメリカ軍の飛行機は連隊へ侵入してくるが、空軍の飛行士は、ただぐるぐる連隊の上を飛び回るだけだった。
しかも彼らの笑い顔まで見えていたのだ。
おそらく我が連隊を利用する目的が有ったらしい。パラシュートが突然舞い降りてきて、何の目的か理由が分からずたが、ままよとばかり開けてみた。

 みかん箱ぐらいの大きさだったが、まず上の段にはチョコレートがびっしり入っており、英語の文章が入っていた。連隊長が私の名前を呼んで、まず翻訳をしてみなさいと言われた

 出来ませんと応えることもならず、最初に日本軍はあけることは出来ないと書いてあったその後は中味を見れば理解出来たのである。チョコレートを先ず連隊長の一枚届けて、後は全員に分けたことまで覚えている。

B29

 中味は女性用の下着だったのだ。B29の飛行機には女性が通信員として乗っていたのだまさかそれを分けるわけにはいかなかったので、チョコレートだけを戴いた覚えがある。
私の連隊は乗馬部隊だったので、まず馬の処理を考えなければならなかった。100頭もいたので、最初に払い下げを行ったのだ。この処理は見事にはかどったのだ。

 一人で三頭も払い下げを受けて帰るものもいた。後の処理はどうなったか知らないが・・・・・・。私は九州まで帰るので、払い下げは受けなかった。併し戦後の処理作業は割合スムースに行われた。しかし中にはちゃっかりした者もいて、トラックまで用意してどさくさまぎれに積んでいた者もいた。

 恐らく自分の庭に運ぶことが出来た人らしい。その人が、まさに我々の教育教官だったので、がっかりした覚えがある。こうしたごたごたが終わり、それぞれ全員が故郷へ復員したのである。グローバル時代という題名が思わぬ先まで飛んでしまったが、とにかく戦争に負けた後の始末が大変なものだったという事だけはしっかり覚えている。

 絶対に勝利を収めるはずの戦争に負けたのだから、ごたごたは当然の賑わいをみせたのだけは忘れ去ることは出来ないのだ。

      平成23年9月29日             石井 立夫