ハリケーン・カトリーナ ジャズ・メンバー
ハリケン・カトリーナ

 私が初めてアメリカへ旅をしたとき、娘が(既に結婚してアメリカに在住)折角来た思い出に,何処か青年時代の思い出の土地があるか?と問われ、直ぐにニューオリンズに行ってみたいと申し出た。ジャズの本場、サッチモの渾名で有名なアーム・ストロングを思い出したからである。彼のトランペットを飾ってある記念館まであった。

 黒人の目立つ街の印象が強く、バーボン・ストリートの奥深い、古びた倉庫のような建物で、黒人ばかりのジャズバンドがあり、満足な椅子席もない、暗い感じの場所で、本物のスタンダード・ナンバーのジャズを聴くことが出来た。5ドルを払えば、希望の曲を演奏してくれるシステムになっていた。

 余程若き日に覚えてナンバーをと考えたが、さすが出来なかった。街の建物は旧フランス風のアパートが多く、いかにも映画にでも出てくるような雰囲気を持った街である。公園の片隅で、聞く人がいようが、いまいが、関係のない一人のジャズマンがトランペットを吹いている姿も印象的だった。

 翌日この街に住んでいる日本人の婦人に依頼し、街を案内してもらった。そのときの説明で、街全体が水位が低いことを知った。その昔伝染病が流行した歴史も聞いた。しかし街全体は、落ち着いた環境で、街には市電が走っていた。余裕たっぷりの公園もあり、リスが人を恐れず木々を渡り歩いていた姿、広い芝生に恵まれた公園では、若い人たちが、種々のスポーツを楽しんでいた姿も良い印象であった。

 葬式には亡くなった人を気持ちよく天国へ送り出そうではないか、と賑々しく「聖者の行進曲」をジャズマンが,街の通りを練り歩いて、送る習慣があると聞いた。いかにもニューオリンズの街を想像できるではないか。

 街案内を依頼した日本人女性が、いきなり女性の脚(人形)が窓から飛び出しているビルの前で、そのビルはストリップ小屋で、このビルに若き日のラフカデイ・ヨハーン(小泉八雲)が新聞記者で住んでいたとの説明を受けた。


 彼は(18501904)後に、パリでの万国博覧会〔1867年〕日本館の担当者となり、記事を書いていたが、その後日本贔屓になり、その縁で来日した経緯を聞いた。
その後来日、ご承知の「耳無芳一,雪女、黒髪、茶碗の中」などの小説を書き、日本人として名を残した。

 不運にも大型のハリケン・カトリーナに、教われたこの街は、低い土地に襲いかかり、町全体が沈んでしまった。国土安全保障省のあり方に、不満が爆発しかかっていると言う,不安な情報も流れ始めた。脆弱な地域が極めて強力なハリケーンに直撃された不運を指摘しながらも、我々はテロと災害の双方への備えを強化しなければならない」と述べ、間接ながら災害対策が不十分であったことを認めた。

 アメリカの現況は、対テロ対策に追われ、確かに手の打ちようが遅れた。ブッシュ大統領が握手を求めた人が、握手を断り、貴方の次回選挙に写真を写されては・・・と断ったシーンもあったらしい。全町がいまだに浸水しており、感染症の患者も出始めており、政府は取り合えず、残留している人々の強制退去も考慮しているとも聞いている。

 緩やかなミッシイピー河の流れに沿った、ジャズの街が現在危機に陥っていることは、誠に残念だ。ミッシシッピー河の緩やかな大河は、昔ながらの大きな輪のついた船が、多くの観光客を乗せて、大いにロマンを感じさせるものだった。

 残念ながら略奪,放火、老人の犠牲者が多く出た。中には老婆が、日ごろ可愛がっているペットと閉じこもり、州兵が立ち退きを迫ったが、ピストルを構えて、反対した話も聞いたさすが、銃社会らしい話題だが、どうやら、水も引いて、落ち着いてきたらしいが、一時は街全体を整理する、つまり無くしてしまう話まで出た。さすが、打撃は大きいながら、立ち直りも徐々に進み始めたようだ。

 伝統のある街を一日も早く回復して欲しいものだ。日本人でさえ、フアンとして思うのだアメリカは大変な災難にあったのだが、大国のメンツに掛けても、何時の日かは立ち直る日を迎えることが出来るはずだ。多くの有名人達が、善意の応援を始め、その点では、案外立ち直りを迎える日が、早くなるだろう。世界中がいろいろな思い出を持っているニュウオリンズの立ち直ることを期待しているはずだ。

 アメリカへの緊急援助のドルによる額は日本は百万ドルと決めた。いささか出遅れ・・・随時追加と新聞に出ていたが、中国政府の2割、最貧国バングラデシュと同じ額だったらしい。選挙の真最中といえ、そこまでの気配りが出来なかったのだろうが、35ケ国が緊急援助を申し入れている。国連も当然の事ながら、援助の方針を打ち出している。

 エネルギーの心配も出てきている。高騰を続けている状況の中で、石油の放出まで申し出ている国もある。日本もその用意をしているようだ。今回のハリケーンの最大の被害者は、ニューオリンズだが、主として黒人が多く、今後の生活が心配だが、広いアメリカの地域に散らばって行く街の人々の、今後の厳しい暮らしを考えると、他人事とは思えないものがある。選挙が終わり次第、日本も真剣に外交の立場から、優先して配慮しなければない問題になるだろう。それにしても、地球が完全におかしくなっている。地球温暖化現象に配慮が足りないと言われているアメリカの今後の歩みも心配だ。

                        石 井 立 夫