靖国神社正門 八月十五日・二十万五千人
靖国神社参拝の問題点

 小泉首相が五回目の靖国神社にお参りをした。その参拝ぶりが、やや従来のスタイルと異なり、何を心配して、このようなことになったのか。このたびの参拝問題で、一番騒いだのは日本のマスコミで、あまりにも騒ぎ回るものだから、中国、韓国も、従来の立場上、一応現地の日本の大使を呼んで、クレームをつけざるを得なかった。

 例えば中国では、学生による反対運動を禁止していた。中国の国内事情から、若しこの運動が発展して、国内の不満まで発展しかねない、中国国内の事情まで云々されていた。
何故日本人が反対する人が多いのか、これが私のような老人には理解できないのだ。

 現実に中国は{反日}抑制現実対応に・・・・経済交流の拡大重視、と言う反応が出ている。韓国も同様日本との交流を深めるために重要人物、外相を27日に日本に派遣するというニュースが出ている。韓国大統領の日本訪問もやがて実現するだろう。日本の新聞、テレビ、のマスコミの騒ぎようの実態は誠に恥かしいくらいの事前の騒ぎぶりだった。

 民主党党首と小泉首相の対決討論をテレビで見たが、小泉首相の拝礼姿勢にケチをつけるような非難をしていた。拝礼姿勢の問題ではなく、私人としての拝礼であり、それくらいしか非難する言葉が無いのか、言葉の貧弱さに、驚いたくらいである。

 有名なエッセイストの石井英夫氏の10月24日、「蛙の遠眼鏡」の中に、短歌詩
「桃」を主宰する歌人山川京子さん(84歳)の和歌が紹介されていた。

とつ国のいらぬものいひ何かあるとわが宰相は靖国に詣づ
靖国の雨の参道傘ささず決然として進みたまへり

五月蝿(サバエ)なす言しりぞけてわが首相靖国のみたまに今し額づく
たたかひに斃れしひとの知らざらし栄えの果てのおとろへの世や
うつくしく清きこころのくにたみの満ちゐし日本よいずこへゆきし
はしゃぎて祖国を罵る声聞ゆいづこの国に習はむとするや

平成6年に編まれた{山川京子歌集}は約六千首を収めた大巻だった。やまとうたのみやびな伝統をかたくなまでに守って歩み続けた一すじの途が、遠く白く映って見えている。

小泉首相の拝礼

 彼女の夫君は陸軍少尉で、台湾の飛行場で終戦のあとわずかな八月十一日に戦死し、靖国神社に祀られている。国学院大学卒業された歌人であった。彼はおびただしい詩や歌を遺したが、その一つに「若草の妻の手はなれて出で立てば万葉集の防人の思ほゆ」がある。

 八月十五日靖国の境内は過去最高という二十万五千人の参拝客で埋まったのだ。参道にはリュックサック姿の若者も数多く見受けられたが、このひとびとの熱い思いも首相の背中を強く押したに違いない。(以上石井英夫氏の稿から)曽野綾子さんも有名なエッセイストである。彼女も今回のマスメデイアの騒動、不見識な報道ぶりを憂いておられた。

 小泉総理の靖国参拝のテレビニュースを見ていると、それが個人の参拝の形を取ろうとしたことも、中国や韓国が反対行動を打ち出したことも、すべてをきちんと報道すべきである。しかし、あの日の騒ぎをみていると、さあさあ中国も韓国も、どうぞわが総理にいちゃもんをつけてください、と言わんばかりの煽り方である。

 マスコミは典型的なポピュリズム(populism)迎合主義?で動いた。広報を構成する際の哲学も思想も戦略もほとんど感じられない。日本の国際関係を悪化させた原因の一つは、日本のマスコミだったのだろうと思わせられる。以上曽野綾子さんの稿から・・・・・・
尚10月26日の新聞報道によれば、民主党の野田氏が「靖国問題反対派の論理破綻」という記事が出ていた。

 A級戦犯として有罪判決を受け禁固七年とされた重光葵氏は釈放後、鳩山内閣の副総理・外相となり、勲一等を授与された。この矛盾した事実は「戦犯」の名誉が国内的に回復されてるからこそ生じたと判断できる。と言う趣旨を反対党の民主党議員からも出ている。

 政府側も靖国問題で答弁書決定、「戦犯」は存在せず。公式参拝であっても合憲と言う記事が出ていた。これに関連する内容はいずれ正式に発表される日があると思うが、次の総理が堂々と正式に参拝できる日がやっと見えてきたようだ。日本が普通の国になってきたが、やや遅きに失した感がする。              

                                石 井 立 夫