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| 湯河原山中 | 湯河原林道 |
| 見 立 て 論 |
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ある特定の人物を見立てる際に見立てと言う言葉がある。広辞林辞書によれば、見て選び定めること、鑑定、医師の鑑定、などが出ている。最近のニュースで大きな話題になった見立てで話題になった人物はなんと言っても、ホリエモンこと堀江貴文氏がいる。小泉純一郎内閣が選挙で自民党の刺客としてホリエモンを選び、結論として地元のボスが、漸く勝ちはしたが、ホリエモンの人気が、ひょっとすると勝つのではないかと思わせたものである。 |
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その後ホリエモンは時代の寵児と言われ、人気はますます揚がり、話題の人物として騒がれていたが、去る一月二十四日、突然逮捕された。目下拘留の身として、厳重な取調べを受けている。未だ(平成18年2月12日現在)容疑を否認し続けているらしが、素人には理解できない不正金融操作の疑いらしい。 |
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この例は日本中の人が見立て損なったサンプルみたいな話である。今日まで、どれほど人物の見立て損ないの例が有ったことか。さて今回は私ごとの見立て失敗論である。良い年をして、誠に恥かしい内容だが、敢えて書いてみたい。 |
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パソコン・ルーム及び書籍保存のため、別居生活をすることになり、同じ町内でありながら、一軒の独立家屋を借りた。五年間を経て契約を解くことになった。借家の際には、当然のことながら契約書を作成し、借りる事になったのだが、家主と直接の契約だった。不動産業を通すと、当然のことながら、手数料を取られる。しかも2年ごとに更新するので、家主は節約のため、通さなかったらしい。 |
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契約書の内容をよく確かめもせず、環境がよく、家主の人柄もよかったし、値段も世間並みだったので、そのまま五年間が過ぎてしまった。契約解除は常識として、一ケ月前に連絡した。途中で家主の奥さんが亡くなり、夫婦で葬式にも出て香典も差し上げ、お世話になった奥さんへの霊へお参りもした。家賃は五年間一度も滞納することなく収め、何の問題も無く過ごしてきたのだが、いざ解約に際し、普通では考えられない問題が起きてしまったのである。 |
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家主はもともと終戦後鳶職(トビ職)をしており、戦後鉄材などを担いで働いたという。現在のような機械化されていない時代だった。収入はサラリーマンの比ではなく、その金でせっせと貯めて土地を購入、貸家を立て、現在は貸家七軒まで立て、私はそのうちの一軒を借りたのである。 |
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| 幕山公園の梅林 |
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それまでの苦労は並大抵のもではなかったと思われる。反面いささか頑固な点があり、隣近所お付き合い、他人を一切信用しない、極端な例として、医者を絶対に信用しない、この様につまるところは、ゼニゼニ本位の性格となったものらしい。五年間貸主の立場上、表面的には挨拶もし、性格もおとなしい人だと思っていた。 |
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解約の話をした時、毎月25日が家賃の引き落しになっていたが、都合により31日ぎりぎりになってしまった。家主は常識がないと言い始めた。25日までに出るのが常識ではないかと言われ、私も驚いて家賃は滞納していないではないかと思わず言ったのである。出る際には、借主は家の汚れなどが出た場合は、借主の負担になっているから、期限が来た際、検査をさせてもらう。 |
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その上で負担額を決めると言うではないか。現在の法律では、借主が全面的に無条件に負担することはない筈だと家主に言ったら、それでは喧嘩になってしまうではないかと言い始めた。私は同じ町内の本宅へ帰るのだから、逃げも隠れもしませんと答え、契約書を改めて読み直したら、敷金欄を見たら、なるほど空欄になっていた。 |
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家主は借りる人が負担にならないように空欄にしておいた。その代わり、最後の方に追加事項として、解約の場合は、借主が負担すると書いてあるのだと言われ、なるほどと納得せざるを得なかった。しかし、借主の負担額を全額持てと言うのは、新築の家を借りたのではなく、あまりにも酷ではないかと、話し合いの結果、敷金を返金しない範囲内で勘弁してほしいと、それに日付をオーバーした分を足して、最後は話し合いがついた。 |
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本職の掃除専門に依頼して、家の汚れを綺麗にして、無事事は終わった。後で聞いた話では、大変な変わり者で、近所との交際は一切無し、自分の息子二人、娘の三人も母の葬式の後は、全然顔を出さないことが分かった。残念ながら彼は遊び心の余裕の無い人だった。遊ぶゼニがあったら,それを貯めていたらしい。 |
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私は彼がそのような極端な人とは思わなかったが、人間として侘しい思いをしている筈だと思い、特に奥さんを亡くした後でもあり、懇ろに話をしてみた。最後に彼は、しんみりと人生の無聊感を話会い、どうやら初めて気を許して人の話を聞いたらしい。おそらく、今までそのような、落ち着いた時間すら持つことが無かったのではないかと思った。 |
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| 真 鶴 海 岸 | 三ッ石海岸 |
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朝は四時半に起床し、一日中自分の畑を見回り、庭の手入れ、など腰を曲げながら、働きどうしの生活だった。夜は七時半には寝ていた。 |
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何もかも問題が生じた場合、法律で解決するようなドライな時代になっているが、年齢の差もあまりない二人の間に妙な友情みたいな雰囲気が生まれたのは事実だ。見立ての間違いを解決すれば、かなりの誤解を溶く世間があるのではないかと思った。例え貴方は人が良すぎるよと言われても・・・・・ |
| 石 井 立 夫 |