ニューヨーク 9.11
明日に架ける橋

 NHKのプレミアム10の番組で、「明日に架ける橋・賛美歌になった愛の歌」を観た。
女性写真家の猪川たまきさんが、アメリカから出発、この歌がついに南アフリカの首都ケープタウンにまで至った旅の記録だった。バックに流れる「明日に架ける橋」Bridge Over Troubled Waterの曲が、静かに流れ、虐げられた人々に愛と生きる勇気、励まし、愛情溢れる美しいメロデイー「サイモン&ガーフアンクル作詞、作曲」になる懐かしの歌声がながれる。

 私も好きだったメロデイーで何気なく聞いていた。この歌の背後にあった歴史があることを、改めて知ったのである。初めはアメリカ・ニューヨークの黒人社会、様々な過程を経て現在は立派に公民権を得て、ニガーという蔑称はまだ白人社会には、使われているようだが黒人社会の人々と共に、白人もこの歌は平等な歌として、続いて唄われている実情を描いていた。

 舞台は南アフリカのケープタウンに移っていた。アパルトヘイト(Apartheid)はアフリカーンス語で分離、隔離の意味を持つ言葉。特に南アフリカ共和国における白人と非白人(黒人、インド、パキスタン、マレーシアなどからのアジア系住民や、カラードと呼ばれる混血民)の諸関係を差別的に規定する人種隔離政策を取っていた。

 1948年に法制化され、以後強力に推進された。1994年に激しい国際非難を浴び貿易禁止などの経済制裁を受け、主に経済的な理由から法律上は廃止された。国際連合に「人類に対する犯罪」とまで言われた。

 (出典;フリー百科事典から引用)この国の人種差別はアパルトヘイトと言われ、差別される黒人は約2.500万人、白人は490万人、就職、賃金、教育、医療、宗教など、日常生活の隅々に渡って非白人を差別する政策が、無数の法と慣行で制度化されていた。
画面では、未だに白人社会の豪華な住居街が写されていた。人の姿が全く見えない街の状況反面遠くに見える山すそ一帯に、数知れない貧民窟が、未だに並んでおり、多少の生活環境が変化したように見えるが、現状は昔のままと言う風景だった。

 しかし多くの唯一の楽しみは、歌を唄い、ダンスを踊りながら、その姿は極めて本能的な姿であり、差別に抵抗して、唄っており、踊っている。しかも、歌は「明日に架ける橋」であり、見るからに、何の屈託もなく、ひたすら踊り、唄っているのだ。

白人高級住宅 黒人の労働姿

 その後時間が過ぎ、アパルトヘイトを知らない次の世代が、立派な制服を身にまとい、昔の蔑視されていた歴史を知っているのかどうか、現在は教育も徹底しており、育ちの良さが映されていた。平和な姿を見ていると、最早そこには、全ての差別は見えてこない。
しかし白人の心の中までは、察しきれないが・・・・・・アメリカ人の優越感は、未だに残っており、イラクでは、あたかも救世主の如き戦争が行われている。

 昨今余りにアメリカ兵の犠牲者が増え続け、中間選挙では民主党がブッシュ政権への批判が出ており、一応勝利を収めているが、後二年間のブッシュ政権はどう動くのか。アメリカの新聞等のメデイアは、最早、イラクの状態は内戦になりつつあるとまで、世論が騒ぎはじめている。第二のベトナム戦争の終結状態のような様相を呈し始めている様だ。やがて、世論の方向が動き始めているようだ。

 そうした状態の中で、All your dream are on their way 夢がすべて実現するんだ
I will ease your mind 君の心に安らぎを与えよう・・・・「明日に架ける橋」が唄われ続けるのだろうか。多分平和の心を期待する善良な人々の心は、この歌を唄い続けられてゆくだろう。

 歌の持つ力関係は、意外と人の優しさを励ましに変えて行くに違いない。
私は、この歌を再び聴きなおし、太平洋戦争に参加した嫌な思い出を払拭したいと、真に思いこんだのである。改めてテープを回し、聞きほれている。

                       石 井 立 夫