恐怖の糖尿病第三篇

 同じ命題で第二編を前に書いたが、糖尿病が悪化し、左脚を切断するまでの、友人の苦しみ、恐怖の度合い、などその経過を書いた。切断後、むしろ彼の元気な声が電話を通じ、リハビリー生活に入り、車椅子での生活が始った。もともと元気な男だったので、切断後も、少しは余命を伸ばすことが出来るかなとの期待をもっていた。

 老人の切断後の余命はせいぜい半年持てばよいほうだと言われていたが、退院後一ケ月目に突然の訃報を受けた。あまりにも早い訃報だったので、息子さんへ再確認の電話を入れた娘さんの話では、ベッドから起き上がろうとするとき、不自然な状態だったので、急いで脈拍を測ったら、少し動きが鈍い感じがしたので、急遽救急車に電話して、退院した病院へ運び、蘇生の手当てを受けたが、既に血流は脳まで達していないで、最後は脳死ということになったらしい。死に顔は誠に静かなもので、大往生だったと言う家族の話だった。

 左脚切断は、気丈夫な老人であっても、ショックは想像以上に厳しいものだったようだ。
まさに恐怖の糖尿病の悲しい結末だった。人事ではなく、私の家内が帯状疱疹で痛みを訴え入院した。その際簡単な器具で血糖値を計ったところ、意外にも340の数値が出た。日本での血糖値の安全地帯は最低120ぐらいと聞いていたので、いささかショックを受けたが本人は別に意識は少なく、簡単な電話での報告であった。

 案外別段の自意識はなく、いざ図ってみると、血糖値が高い場合があるらしい。幸い翌朝再度計ってみたら、半分になっていた。担当の医者に見てもらったら、先生が不思議に思い当分の間、食物でコントロールし、様子を見ることになった。

 しかし、コントロールすると言うことは、よほど本人の自覚が必要な条件で、油断が生じやすい。現在の状態では心配ないにしても、徐々に進むケースが多いので、油断は出来ない夫婦は老齢の域に達しているので、お互い食料から配慮してゆかないと危ないので、お互い充分に気をつけて行かねばならいと注意してゆくつもりだ。

 慈恵大医大教授田嶼尚子(糖尿病学)の論文から。世界的な見地から、現在の病気の状態を調べてみると、驚くべき事実が分かった。先進国だけではなく、発展途上国でも深刻化しているようだ。国連総会が昨年12月20日採択した、世界糖尿病連盟(IDF)のマーチン・シリング会長は「感染症と同様に深刻な脅威であることを各国政府が認識した」と表明。

 糖尿病が関係する病気により、世界では約10秒に1人の割合で死亡している現状の打開につながれば、と期待しているとのことだった。IDFはベルギーに本部を置き、日本を含む150以上の国、地域の学会や団体で構成する。IDF西太平洋地域理事を務める田嶼尚子(糖尿病学)のキャンペーンのきっかけは、米国の糖尿病患者クレア・ローゼンヅエルドさんだった。

 17歳だった夏にバングラデッシュなどを旅して、糖尿病に苦しむ人々の現状を日記にして出版。05年2月に田嶼尚子教授も出席したIDFの会合に招かれたクレアさんは「全ての人が治療を受けられるように」と訴え、IDFが各国へ決議を働き掛けることになった。

 05年12月初めにケープタウンで開いたIDF総会。約130の途上国でつくる「77カ国グループ(G77)が支援を表明し、07年11月を目指していた決議が一気に実現したという。

日本のノウハウを途上国に
 糖尿病は贅沢病という誤解もあるが、患者が最も多いのは中国で、次いでインド。食事の欧米化で患者が増える一方、貧困のためインスリン注射などの治療が受けられない人も多く「年間300万人以上が、心筋梗塞や脳卒中など糖尿病に関連した病気で死亡しているという。(田嶼尚子教授)

 日本では、糖尿病が強く疑われる人は740万人、可能性が否定出来ない“予備軍”は880万人と推計されている。田嶼尚子教授は「キャンペーンの次の段階は行動。既に国内対策を進めるとともに、日本のノウハウを途上国に提供するなどの国際協力が必要だと話している。

 最近私が心配しているのは、テレビや新聞でやたらと若い人を採用したCMに、酒の宣伝を激しくやっているが、若い人ほど、暴飲暴食しがちなので、そちらの方が心配だと思っている。それと、この病気にかかる費用は恐るべき政府の負担がかかるらしい。

 若くして、透析を受けているが(71歳)仕事は出来なくなり、政府の負担は大きいので申し訳ない気持ちがすると本人は言っていたが、若い日の無茶な生活を振り返っても、時既に遅しと思う。

                            石 井 立 夫