4月4日(金)

会社を休み、愛車にファルト、パドル、テント、寝袋、その他諸々の装備を積み、いざ和歌山へ。

東名→名古屋高速→東名阪と乗り継ぎ、東名阪の伊勢多紀から国道42号をひたすら南下した。
この日、西日本を覆った低気圧の影響で生憎の雨。
尾鷲を過ぎ、黒潮が通う七里御浜を通っても海も荒れ模様。
目的の紀伊半島の南端、古座川町へ着くのに6時間以上かかった。
既に日は暮れかかっていたが、雨は上がる気配は無かった。
さすがにこの状況で野宿する気になれず、仕方なしにホテルで一泊した。


4月5日(土)

朝起きても雨はやんでいなかった。
天気予報を聞くと夕方から雨がやむみたいだった。
何とかモチベーションを取り戻し、スタート地点を決めるべく車で偵察に出かけた。
当初の予定ではゴール地点に車を置き、ヒッチハイクでスタート地点に向かう予定だったがこの雨の中、何時間も乗せてくれる車を待つ気力も無く、古座川駅に車を止め、タクシーでスタート地点である一枚岩を目指す。
古座川駅の観光案内所に入ってみると、野田友祐のサイン色紙を発見した。
日付を見ると今年の2月14日だった。こうして自分がカヌーを始めるきっかけを与えた人物が下った川を下る事ができると知って、なんだか感慨深い気がした。
そこでタクシーをチャーターし、スタート地点へ向かう。

18KM上流の一枚岩に到着。車ではたった30分の距離を2日かけて下る。
ファルトを組み立て、持ってきたパドリングギアを全て着込み、正午過ぎ篠つく雨の中出発した。
一枚岩 一枚岩を横目に、出発

雨は降っていたが風は無かった。
所々に点々とする満開の桜に目を奪われながら、ただゆるい流れに船をまかせながら下流に流れていく。
しかし3時間も雨に打たれていたらさすがに体が冷えてきた。
桜の木の下に平らな土地を見つけたので、その日はそこに野宿することに決めた。
雨の中そそくさとテントを張り、乾いた服を着てテントにもぐりこむ。
ポツポツとテントを打つ雨の音を聞きながら横になり、本を読みながらうとうとした。
桜の木の下でキャンプ

空腹で目が覚めると雨が上がっていた。
のそのそと外に出て薪を探すが、雨で湿っていて焚き火はできそうもなかった。仕方なく焚き火はあきらめ、ガスで湯を沸かしてウドンの乾麺をぶち込む。
ウドンを茹でながらぼんやり山の方を見やると空に虹がかかっていた。

適当に腹ごしらえをし寒くなってきた所でテントの中に潜り込み再び本を読み始めるも、すぐに睡眠に突入してしまった。

4月6日(日)

テントの中に日が差し、じんわり中が暖かくなってようやく寝袋から外に出た。

夕べは本当に寒かった。寒さで何度も目が覚めた。
用を足しに外へ出たら風が出ており、暗闇の中でも桜の花が散っているのが見えた。
空を見上げると雲ひとつ無いのか、星が無数に見え、天の川も見える程だったが、あまりの寒さに外に留まる事ができない。
せっかくの絶景なのにゆっくり眺められないのが残念だった。

とりあえず、テントから出てタバコを吸う。
昨日とは打って変わって雲ひとつ無い青空が広がっていた。
真っ青な空に、ピンク色の桜が良く映え、風が吹くと花びらが散る。
春、爛漫といった感じだ。
朝飯の支度に取り掛かる。昨日の晩と代わり映えの無いメニューだが、腹がふくれればそれでよい。
食後のコーヒーを飲んだ後に湿った物を干し、散歩に出かける。

再び道具一式全て船に積み、ゴールに向かい船を出す。

パドルが水をかく音以外は、ウグイス、鳶の鳴き声くらいだ。
意気も洋々。口笛を引きながら、2時間ほど漕ぐと潮の香りがし、遠くに見覚えのある橋が見えた。
そこはもうゴールだった。