2003/02/03 訂正
このページの目的は,Pocket Post Pet あるいはカシオペアの シリアルポートを使いH"端末についているモデム機能(九州松下製や最近の三洋製のみ) でダイアルアップ接続してみることです. PC や Zaurus SL-C700 などでもつなぎます.
Pocket Post Pet(以下PPPと略す)にはPDC用の端子が付いていて携帯電話を 通信に利用できます.しかし,PDCの9,600bpsでは遅いとか手持ちのPHSで繋いで みたいなどの要望がありました.IrDAで逃げる手もあるのですが,H"だと適当な 変換機器がありません.PDCのコネクタを汎用のシリアルポートとして 使えないかと何人かの方がトライしたようですが,残念ながらうまく行ったという 報告例はありませんでした.そんなときに,ぱぷりかさんという方がシリアルポート として使う方法を発見したとの発言をBBSで見つけました.そこで,ぱぷりかさんと コンタクトをとり,その方法を伝授していただきました.それを利用した結果が 以下のレポートです.
以下の方法は,ハードウエアの改造が必須ですので機器が故障する可能性が あります.試す場合は,自己責任でお願いします.
PPPはカシオ計算機が製造しているのですが,カシオのCEマシンというと カシオペアがあります.カシオペアでは,20pinのコネクタがありRS-232CやUSB として利用でき PDCやPHS,CdmaOne用のケーブルが販売されておりPHSや携帯電話に接続できます. ケーブルには特別な機能は無くPDA側でモデム機能(プロトコル変換機能)を 持っています.同じ構造をPPPも持っているのではないかとカシオペアのコネクタ やケーブルについて調べました.
Palmで九州松下製のH"端末のモデム機能するためのケーブルでKX-HA10という ものがあります.機能としては,RS-232CとαDATAでの信号のレベル変換程度しか していないようです.αDATA側の12pinコネクタに接続されているピン番号は, 1,2,3,5,6,7,8,10でカシオペアのケーブルと同じです.H"用の電話番号編集 ソフトに付属のケーブルでは,2,6,8,10番ピンを使用していました.
肝心のPPPのケーブルですが,基板に15pinのコネクタがありPDCのコネクタに 繋がっています.コネクタの付いている基板側で電池と反対側から1番ピンと 呼ぶことにします.
| ピン番号 | 入出力 | 線の色 | PDC |
|---|---|---|---|
| 1 | |||
| 2 GND | - | 赤 | 3,9 |
| 3 | |||
| 4 GNDとショート | |||
| 5 | → | 灰 | 14 ユニット有無 |
| 6 | |||
| 7 | ← | 紫 | 10 受信音声信号/TCH受信信号 |
| 8 | ← | 橙 | 4 TCHフレーム |
| 9 | ← | 青 | 7 下りシリアル信号 |
| 10 | |||
| 11 | → | 緑 | 6 上りシリアル信号 |
| 12 | → | 茶 | 2 送信音声信号/TCH送信信号 |
| 13 | ← | 黄 | 5 TCHクロック |
| 14 | |||
| 15 |
DDI-P用のカシオペアの ケーブルを改造することにします.まずCOM1を使うためSEL3-0を設定する必要が あります.これをしないとCOM1としてアクセスしても信号が外に出てきません. 表からSEL3-0=1000とする必要があるので,カシオ20Pinの4番ピンとαDATA 2番ピンの GNDを繋ぎます.
KX-HA10やカシオペアのDDI-P用ケーブルの結線からレベル変換なしで, ほぼ変更なしで使えるのではと判断しました.αDATA側は12Pinのコネクタです. 若干の修正は下記の通りです.
7番ピンのSHDNBは省電力機能用の信号で使用時にHighです. αDATAの6番ピンと繋がっていますが,こちらは使用時Lowで論理が逆です. インバータで反転させるか,カシオ20Pinの7番ピンに繋がっている線を外して GNDに繋ぎ常にLowにしてしまいます.だだし常にLowにすると通話状態が, 自動的に切れません.電話のボタンを押して切ってください.
αDATAの5番ピンはカシオ20Pinの14番ピンDTRに繋がっていますが, ハンドシェイクに利用しているとするとカシオ20Pinの13番ピンRTSを繋いだ 方が良いかもしれません.この場合,αDATAの6番ピンは空いたカシオ20Pinの 14番ピンDTR(Active Low で反転は必要ありませんでした)を利用したほうがよいかもしれません.
まとめると次の表のようになります.
| ピン番号 | 入出力 | RS-232C | DDI-P P1 | DDI-P P2 | DDI-P P3 | DDI-P P4 | DDI-P P5 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 ADPIN | |||||||
| 2 SEL3 | ← | High(Open) | |||||
| 3 GND | 2,6 | 2 | 2 | 2,6 | 2 | ||
| 4 SEL0 | ← | Low(GND) | |||||
| 5 SEL1 | ← | Low(GND) | |||||
| 6 SEL2 | ← | Low(GND) | |||||
| 7 | → | SHDNB | NC | 6 SHDNB | NC | NC | 6 SHDNB |
| 8 | → | ||||||
| 9 | ← | CTS | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
| 10 | ← | DCD | 7 | 7 | 7 | 7 | 7 |
| 11 | ← | RxD | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
| 12 | → | TxD | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
| 13 | → | RTS | NC | NC | 5 | 5 | 5 |
| 14 | → | DTR | 5 | 5 | 6 | NC | NC |
| 15 | ← | DSR | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
| 16 | ← | ||||||
| 17 USB+ | |||||||
| 18 USB- | |||||||
| 19 V3(3.3V) | |||||||
| 20 ADGND |
PDAはE-700とBE-500で,PHSはKX-HS110で動作確認できました. パターン1,パターン3,パターン4で結線してみましたが,どちらでも行けました.パターン3だと通話が自動的に切れますので,これが一番いいと思います.
カシオペアと同じような構成になっているとして,PDCの結線と前節のカシオペアと H"の接続から下記のように接続すればよいのではと考えられます.10番ピンに関しては,改造完了後プログラムから操作して信号を測定したところ,RTSと判明しました.パターン1だと通話が自動的に切れません.パターン2の場合は,10番ピンに線が接続されていませんので,5番ピンの線を付け替える等工夫してください.
| ピン番号 | 入出力 | 線の色 | RS-232C | DDI-P P1 | DDI-P P2 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | |||||
| 2 GND | - | 赤 | GND | 2,6 | 2 |
| 3 | |||||
| 4 GNDとショート | |||||
| 5 | → | 灰 | SHDNB | NC | NC |
| 6 | (→?) | ||||
| 7 | ← | 紫 | CTS | 3 | 3 |
| 8 | ← | 橙 | DCD | 7 | 7 |
| 9 | ← | 青 | RxD | 8 | 8 |
| 10 | → | RTS | NC | 5 | |
| 11 | → | 緑 | TxD | 10 | 10 |
| 12 | → | 茶 | DTR | 5 | 6 |
| 13 | ← | 黄 | DSR | 1 | 1 |
| 14 | (←?) | ||||
| 15 |
ケーブルの作成ですが,PPPに付いているPDCのケーブルをそのまま利用しました. PDCのコネクタ部の半田付けされている部分を外して,αDATAのコネクタに 取り付けました.ちなみに,αDATAのコネクタは要らないケーブルから部品取り しました.入手は楽なんでしょうか? PPPの基板側のコネクタやケーブルも かなり小ぶりのもので入手難かもしれません.
さて,結線してCOM1にアクセスしても案の定信号が外に出ていません. カシオの20pinコネクタのように,SEL3-0の設定が必要なようです.ですが PPPの何処がそれに相当するのか判らなくて,調査が停滞していました.
写真下から赤字の数字がカシオ20pinの2番ピン,6番ピン,5番ピン,4番ピンに 相当します.2番ピンは違う可能性もあるそうです. 写真では,5番ピンと4番ピンはチップ抵抗でプルアップされていて,6番ピンは Vccと未接続で反対側はチップ抵抗でGNDにプルダウンされています. 写真の設定では,SEL3-0=1011となりPDCの設定になっています.チップ抵抗は 1MΩだそうです.RS-232Cの設定に変更するためには,SEL3-0=1000ですので 5番ピンと4番ピンのチップ抵抗をはずし,5番ピンと4番ピンをGNDと繋ぐ必要が あります.直結ではなく抵抗を通したほうが安全とアドバイスされました.
実際見てもらうとわかりますが,かなり神経を使う作業となります. 試す方は,気合を入れてやってください. こて先の小さい半田ごて,極細の半田,細い被覆線を用意してください.
COM1の利用の応用として, GPSとの接続を試してみました.
今までの調査の結果,PHS側で内蔵モデム機能利用時にどうαDATAのピンを利用しているか大体判りました.そこで,それを利用して抽選でもらえた東芝製PHS DL-S300の編集ソフト用のRS-232CのケーブルとP携線のUSBケーブルを使ってKX-HS110の内蔵モデム機能によるPCからのダイアルアップ接続を試してみました.このための専用ケーブルが発売されているので,あんまり意味はありませんが.PCのOSは,Windows XP で試しました.
内蔵モデム機能時のαDATA側ピンアサインの推定は,下表の通りです.
| ピン番号 | 意味 | 入出力 | P携線PHS側 |
|---|---|---|---|
| 1 | DSR? | → | |
| 2 | GND | - | GND |
| 3 | CTS? | → | |
| 4 | |||
| 5 | RTS | ← | |
| 6 | DTR | ← | GND |
| 7 | DCD | → | |
| 8 | RxD | → | RxD |
| 9 | |||
| 10 | TxD | ← | TxD |
| 11 | |||
| 12 |
どちらのケーブルも2番ピンと6番ピンがGNDにつながり,8番ピンと10番ピンがデータ通信用に使われています.ケーブルの回路は,USB-RS232C変換もしくはレベル変換をやっているだけのようです.
PHSをデータ通信モードにした状態でターミナルソフトを使ってみたのですが,通信できませんでした.5番ピンを使ってハンドシェイクしないといけないようです.接続した状態で出力ピン電圧を調べたところ,1番ピンと7番ピンがHighで,3番ピンがLowでした.そこで,3番ピンと5番ピンを繋いでごまかしてみました.この状態だと,内蔵モデムとターミナルソフトで通信できました.通信中も1番ピンと7番ピンはHighのままでした.
次にダイアルアップするモデムの設定ですが,OS付属の標準モデム(ドライバ?)をインストールして使いました.ただし,56Kbpsモデムを選択すると接続時に対応していないコマンドを使うらしく,動きませんでした.28.8Kbpsモデムでは動作しました.HS110なのでDTE速度の上限は38.4Kbpsに設定しました.PRINに接続してみましたが,無事動作しました.6番ピンが常にLowなので,接続を切ってもPHSは通話状態のままですので,手動で切る必要があります.
通話中は7番ピンがLowになるので,DCDと考えて良いかと思います.1番ピンは,常にHighのままで役割が今一つかめません.本来のケーブル使用目的である電話帳のデータの転送で,どんなプロトコルで通信しているのかもわかりません.
今後の展開としては,何とかソフトモデム機能を 動かしモデム機能が無いPHSや CdmaOneでも接続可能にするなどが考えられます.