脳脊髄液減少症という病

4章 6.再入院が決まる

 

麻子は外来を重ね、経過を診てもらったが、再検査のため再入院が決まる。

再入院が決まった後、

(ただ、またあれをするのか)と麻子はRI検査を思い出していたが、

それでも、検査で今の状態をはっきりさせたほうが良いだろうと思った。

RI脳槽シンチグラフィーでの腰椎穿刺も、患者にとってはやはり負担だ。

侵襲的という言葉は、本当にぴったりの表現である。

そして、ブラッドパッチはもっと侵襲的治療だ。

それでも再検査や治療が、必要ならば致し方ない。

このままでは過ごしていけない。

 

RI脳槽シンチグラフィーやMRミエロなどの検査をしたおかげで、

麻子には治療の経過がよく分かった。

治療前、治療中、治療後の検査結果がはっきりした。

自分の変化がよく分かり、原因がよく分かり、

治療による画像変化もはっきり現れた。

自分の画像とその変化を自分で確認できることは良かった、

と後に麻子は実感した。

 

もし不調でも何とか我慢できた体調であるならどうだろうか。

不調だがなんとかなっている人の場合や、

また何とかなるくらいの状態になったがまだ不調である場合、

何処まで検査して、何処までブラッドパッチ治療に進むべきなのだろうか。

耐えられない状況ならば決心しやすい。

しかし、なんとかやっている場合や、

継続した不調を感じながらやり過ごせている場合は、

判断が難しい気がする。

何処までどうするのか、だからこそ経過観察が要るのだろう。

 

何処までの治療をすることになるのだろう、と麻子は思った。

自分がどこまで回復できるのだろうかと。

そう、「どこまで」か。

どの状態にまでなるのか。

麻子には、先はまだまだ分からない。

 

 麻子は診察室を出た。

次の患者らしき人が呼ばれ、

その人は長椅子から立ち上がっているのが麻子には見えた。

横になっていたその患者が苦しそうに歩いて、診察室に入っていく。

(長山さんだ)

麻子は振り返って診察室に入っていく患者をもう一度見た。

長山は麻子と最初の入院時に同室だった患者である。

ブラッドパッチをしてから具合悪そうにしていた。

長山の歩いている姿を見て、

(腰をかばって歩いている?)と麻子は思った。

何があったんだろう。具合が悪そうだ。

麻子は長山の後ろ姿を見ていた。

診察室の扉が閉まった。

来院する患者は多く、麻子は入院中知り合った患者と外来で出会うことがほとんどなかった。

他の患者がどうなっていったのか、患者同士ほとんど知らない。


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