篆刻あれこれ雑記帳




目 次






  篆  刻  


  篆刻は、筆の代わりに印刀を持ち、紙のかわりの石に文字を刻る書道の一分野

  です。

  漢字や仮名では、作品を仕上げるとき、100枚近く同じものを書き込みます。

  それに対し、篆刻は、印稿(印の刻りあがりの原稿)を作る段階で、時間をか 

  け、刻るのは、「一個」だけです。人によっては、何個か刻るようですが、多

  くて、せいぜい数個です。漢字や仮名のように100個近くも刻る人は、まず
  
  いないでしょう。
 
  私は、一つの作品に対して、一つの印しか刻りません。

  以前は、刻った印が気に入らず、刻り直したことも何度かありました。刻り直

  した印は、前回の作の気に入らないところ、失敗と思ったところがある程度は

  修正できても、全体的には、出涸らしみたいな作品になってしまいました。

  撰文(刻る文字を選ぶこと)、検字(篆書体を調べる)、印稿での推敲に充分

  に時間をかけます。そして、印を刻ることは、全ての作業のの総仕上げです。

  それまでの作品への思い入れなどを、すべて出し切って、その一つの印を刻り

  ます。

  同じ印稿の印を刻り直しても、そこに込めるべきものが自分自身の中に残って

  いないのでしょう。

  篆刻は漢字や仮名と同じ書道の作品であっても、その点で根本的に違うように

  私は感じています。

  また、それが篆刻の魅力の一つだと思っています。

    
  






  初めて刻った印  


  大学の書道研究会に所属していたとき、展覧会用の書作品に捺す自分の落款印

  を刻りました。それが私と篆刻との出会いでした。  

  一年生が先輩の指導で、落款印を作る日に休んでしまったため、一人の先輩に

  やり方をきき、印材と印刀だけを買い、自分で刻りました。

  それまで、印を自分で刻るなどということは、考えたこともなく、印は、判子

  屋さんに頼んで作るものと思っていました。

  その時先輩に言われたやり方は、印材をに赤鉛筆で、篆書体の文字を入れ、刻る

  という、簡単なと言うべきか、手抜きの方法でしたが、「刻る」と言うことが、

  とても新鮮に感じました。

  二玄社の書道講座「篆刻」を図書館でみつけ、ちゃんとした篆刻の作り方を知り

  ました。(もちろん、クラブでは、きちんとした指導をしていたのですが、その

  先輩が・・・だったのです。)

  「えっ! ちゃんとしたやり方があったのだ!」と、早速にいろいろな道具を手

  に入れ、本に出ていたように、朱と黒の墨で印稿をつくり、石にやはり朱と黒で

  字入れ(印材に刻る文字を書くこと)をし、印を刻りました。

  このころは、印を刻ることが とにかく楽しく、面白く、いくつでも作ってしま

  いました。

  こうして書道講座の本を読み、道具を揃え、本の通りに印を刻っていても、我流

  で、分からないところが沢山あり、いつかは、ちゃんと先生について習いたいと

  思っていました。
  








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