| 健康太極拳標準教程 楊進・橋逸郎 2012.4.30 ベースポール・マガジン |
| はじめに 簡化太極拳の欠点として「右膝の故障率」を挙げることができる。師家のもともとの方法(伝統的な足使い)であればそのリスクは最少にできる。楊名時太極拳が変わっていく理由はただひとつ、「健康的である最良の道をいく」ためである。 立禅 手は虎口をあけて体側にそはせる。※前から見ると親指以外の4本の指が見える。 目を半眼にして眺視する。視覚情報を意識的に減らし、視線を動かさずに、耳を澄ませ、空気の流れやもの音、まわりの状況を感じとろう。 もの静かで、集中して思考力を発揮することを目指すもの。けっしてダラッとしているだけではないのが禅的である。 スワイショウ 胴の中心をひねるように回転させ、動きは目が先導する。よく回る人は視線が真後ろを向くぐらい。 楊名時太極拳 予備勢ー十字手 並足立ちから、右足に重心を移して少しだけ体を右にひねると、左ヒザが自然に前に出る。足を開いてから、左足のかかとを降ろすのは右足のゆるみで 額のやや上で交差させ顔前から胸前をとおり、左右に分ける。 1起勢 手首が肩の高さに来たら、手首と肘、股関節、ヒザをををゆっくり沈み込み中腰になる。沈むとき体重はお尻からかかとに乗るよう意識する。 腕が上がるときは、肘、手首、指先と根節に近いとろから順番にとまって位置を決める。沈み込みは足首、ヒザ、股関節、腰、肩、肘、手首とゆるみが流れるように連動する。 2野馬分鬃 ①ボールをかかえるとき、右足かかとを軸に爪先を内に入れやや斜めにする。 ②真横に向かって左足を出し、かかとから着地、左ひざをゆるめて体重を左足に移し弓足となる。 ③初級~足を出す時つま先は正面に向けて置く。外に向かないように注意しよう。 中級~手の動く距離よりも、ヒザの進む距離の方が短い。手と足の協調を練習しよう。 上級~背中の姿勢(腰椎が伸びた姿勢、腰椎が湾曲した姿勢)を意識しよう。 3白鶴亮趐 ①後ろ足を寄せる位置は半分より前。寄せる足をおく方向は斜めに。 ②中級~右足を寄せるとき、右足て゜蹴ってよせない。わずかな身体の左ひねりで右ひざをゆる寄せる。 ③上級~右足を寄せ、右足に重心を戻し、左足を置きなおす歩法の端はしで止まらず滑らかに、区切りが見えないよ うに行う。 4左右ロウ膝拗歩 ①身体のひねりとともに右手を前に出し、弧を描いて顔面から下を通って斜め右後ろに上がる。 ②右手を顔横に寄せ顎前に進め、左手は腹前に押さえる。 ③初級~足を踏み出すとき、前足つま先を進行方向に置く。 中級~手の動作のできあがりと弓足のできあがりを一致させる。 上級~弓足のできあがり、虚歩姿勢で腰椎の向きを意識する。 5手揮琵琶 ①右足を左足に寄せつま先は斜め右に置き、… ②つま先をあげかかとを着地するとき、左手下げ、左手を右に振ってから顔前に。上げた左手の手首と肘を沈め、右 手は左肘の内側に添え手首と肘を鎮める。 ③中級~右足はわずかな身体の左ひねりで右ヒザをゆるめ寄せる 上級~腕の動きは身体の旋回でおこなうように意識する。手首、肘が沈むときは下肢をゆるめて体全体が沈む ようにする。 ※血流を促進し健康法として効能を増していくためには、虚歩姿勢でもつま先を上げすぎず自然がよい。 6左右倒捲ゴン ①右手は腹前を通って右肩のやや左に上げる。視線は真横を見る。 ②右腕は止まらずに顔の脇まで寄り、同時に左足をかるくあげ左足の脇を通って半歩後ろのやや左側につま先を下 す。 ③右手を顎前に下しながら左足のかかとをおろし、ゆっくりと重心を後ろ足にうつすと同時に身体を左にひねりながら 右手を前に出し、左手は手のひらを上に向けて腹前に収める。このとき重心が移るとともに身体を沈め、前の足を 正面に向ける。 7左攬雀尾 ①ボールをかかえ弓足にする。同時に両手をかき分け左手は胸前に払い出し、右手は股関節の斜め前横。指先きは 進行方向。 ②両手を腹前に収めながら、身体の旋回(腰の転動)と重心の移動で時計回りに小さい円を描く。(見えるか見えない かが本質) ③右手は腹前から斜め右後方に上げ、左手は手のひらを内に向けて胸前に水平におく。 ④右手は円を描いて顔の脇ら顎前を通って左手首の内側に合わせる。 ⑤身体をやや左向けにして弓歩とする。両腕は胸前で合わせて重心とともに前に出す。 ⑥手のひらを肩幅ぐらいに開き分け、右足をゆるめ重心を後退させながら胸前から腹前に弧を描いて収める。重心 の移動とともに前足を少し上げる(上げ過ぎない)。両手を胸前上げながらゆっくり弓歩に戻る。 ⑦上級~弓歩が先にでき上がってしまわないように、上下の動きを協調させる。(ゆっくりー) 8右攬雀尾 ①左足のつま先を内に向ける。 7に同じ 9単鞭 ①左ヒザをゆるめ、身体を回して左に向き、右つま先を大きく内に入れる。両手は左に移動する。 ②右足に重心を戻し、左足を右足脇に寄せる。右手は半時計回りに円を描いて鉤手をつくり正面よりやや右に置く。 左手は腹前から円を描いて手のひらを内向きにして右腕に寄せる。 ③身体をやや左にひねりながら左足を前に出す。 ④弓歩となりながら、左手のひらを外に向け回し左手を進行方向(左足の方向)に押し出す。右手の鉤手は真横のや や後ろで動かさない。 10雲手 ①重心を右足に移しながら身体を大きく右にひねる。同時に左つま先を90度内にいれる。左手はゆるみ下がり転体 とともに腹前から右真横で顔の高さに移動し、右手は鉤手をゆるめほどき手のひらを下に向けて円を描いて斜め 右下に降りる。 ②続いて重心を左足に移しながら身体を大きく左にひねり、両手は転体とともに左足が軸となり右足を左足わきに平 行に寄せる。 ③重心を右足に移しながら身体を大きく右にひねる。両手は転体とともに右に移動して、右手は手のひらを下に向け ながら弧を描いて右下に降りる。重心の移動とともに左ひざをゆるるる前に出し左かかとを上げる。 ④左足を真横に一歩踏み出しつま先から着地する。 ⑤重心を左足に移しながら身体を大きく左にひねり、両手は身体とともに左に移動し右手は腹前から左真横に円を 描いて動き手のひらを内に向けて顔の高さに上がる。左手は手のひらを下に向けながら弧を描いて左下に降りる ⑥最後に右足を寄せるときつま先を斜め内に向けておく(次の動作の準備) ⑦初級~視線は上の手の動きを追う。 中級~真横までしっかりと身体をひねり、右股関節と左股関節の2本軸を使い分ける 上級~右足を寄せるとき、身体のひねりとと右脚のゆるみでかかとを浮かしヒザを落とす。 11単鞭 12高探馬~背の高い馬のたてがみに手を伸ばしてつかむ動き ①両手は手のひらを上に向けながら広げる。視線は右横。 ②右手を顔の脇から顎の前に手のひらを下に向けて押さえ、左足は少し前に出し、つま先を着地して虚歩の姿勢とな る。身体を左にひねりながら右手を前に差出、左手は手のひらを上に向けたまま腹前に収める。視線は前方を見る ③身体を右にひねり戻しながら左手を手のひら上向きのまま右手首の上に差し出し交差させ、左手の手のひら下向 きに返しながら再び身体を左にひねのながら両手を分け開く。同時に左足のヒザを持ち上げる。 ④中級~左手を胸前に収めるとき、肘を後ろに引かない。 上級~身体をひねるとき、脚(特に右)のヒザが左右に動かないように。 ※ ヒザはヒザ頭のある方向に前後するのみである。左右に動くのは腰。上下のバネは脚。 13右蹬脚 ①両手を開き分けるように回し下げ、左足をその場につま先をやや開いて降ろす。 ②着地したら左ヒザをゆるめ曲げて重心を移し、両腕を腹前に寄せる。身体は斜め左を向く。 ③右足を寄せながら、両手を右手を外に交差さ胸前に上げる。 ④右のヒザを上げながら両手を分け開く。 ⑤右のかかとを前に蹴りだしながら、両腕を開き手のひらを外に向けがら右手は進行方向(右足を蹴りたした方向)に 左手は斜め後ろに向かって張り出す。張り出した腕は伸ばしきらない ⑥初級~両腕を寄せたとき、腕全体を円く収める。寄せた手は握らない。 中級~手のひらを返しながら腕を開くとき滑らかにする。 上級~寄せ足のとき身体の左旋回をうまく利用する。最後に分け開くとき、左腕と右腕右足のバランスをとるように 意識する。 ※ おもむろに蹴りだすようにするとうまくできることがある。動作に時間をかけて落ち着くことが太極拳的で健 康によい。 14双峰貫耳 ①右足のヒザから下をるめて垂らし、両手は手のひらを上に向けながら顔前寄席ヒザのあたりに降ろす。 ②右足を前に出し、両手は拳をつくりゆっくり回内させながら腰脇から外に回しだす。 ③弓足になりながら、両拳を顔前で挟み込む。両拳の間隔は顔幅くらいで、両拳の峰が正対する。 ④中級~両手の動く軌跡か゜上下左右きれいな螺旋のつながりにしよう。できあがりの姿勢で肩が上がらないこと。 上級~最初に右足のヒザから下をしっかりゆるめること。続く動作(拳を回し出しながら右足を踏み出す)は左足の沈 勢をうまくつかうこと。 腕は沈めて、横に張らない。 15転身左蹬脚 ①左に身体をひねる都ともに右足のつま先を内に入れる。(できれば135度くらい) ②蹴り足の方向は正面。 16左下勢独立 ①身体をやや右にひねりながら右足のつま先を少し開き、右手は鉤手にして左手を円くして右腕に寄せる。 ②右ヒザを曲げてしゃがみこみながら左足を左横に、つま先を横に向けて伸ばして出す。 ③身体を左にひねりながら右手の鉤手をほどいて回し降ろし、同時に左手を進行方向に左足にそって出す。左のつま先を開ヒザを捲曲げてゆっくり重心を左足に移し弓歩となり、身体を立てる。 ④左のつま先をやや開き、しっかり重心をかけて立ち上がり、右ヒザを上げて独立歩となる。右手は身体の脇から顔の前に弧を描いて跳ね上げるように出し、指先を目の高さまで上げる。 ⑤初級:しゃがみこむときお尻を突き出さないように。 中級:しゃがんで出す足と鉤手の手がやじろべえのようにバランをとる。 上級:よどみなく滑らかに。ストロークの切れ目を感じさせないように動こう。 ※ 体が正面向いたり、手の上がりすぎは良くない姿勢 手はヒザより前 17右下勢独立 18左右穿梭 ①つま先からかかとを着地させる。同時に右ひざをゆるめてかかとを少し浮かせる。つま先を置く方向は正面。 ②右足を右斜め前に一歩出し、ボールを反時計回りに回すように4分の1回転ほど両腕を回す。 ③右足にゆっくり重心を移して弓歩となる。同時に左手は顔前に出し、右手はこめかみの斜め上。 ※ 一歩目、左足は真っ直ぐ着地する。 右足はやや斜めに横幅に注意して方向を出す。 抱球の前につま先を内に入れる 抱球しながら左足をよせる 左足を方向に横幅に注意して出す。 19海底針 ①左ヒザをゆるめて右ヒザを寄せる。 ②両腕をゆるめて回し下げながら、右足を足先斜め右に向けて着地し、重心を移す。続いて右手を顔脇まで上げ、同時に左ヒザを持ち上げる。左ヒザから先はゆるめ垂らす。左手は股関節ちかくの座腕位置で待機する。 ③視線は前方の床を見る。身体は極端に前傾させず、お尻を突き出さない。 ④初級:両手を降ろすとき、腕を伸ばさない。 中級:骨盤を正面に向けない。重心が下がるにつれて前足の加重を増す。 上級:右足のヒザを中に入れず、虚歩姿勢を正確に保つ。 ※海底は「気海の底」のこと。 20シャン通臂 ①両手と左足を上げながら、上体をやや右に向ける。 ②両手を胸前に上げながら、左足を前に出す。 ③弓歩になりながら、左右の手を分け開くように、左手は胸前から前方に出し、右手は上にひるがえす。 ④中級:両手の分け開きを簡潔に。 上級:上下肢の協調を正確に ※一般的な7:3の弓歩にしてもよい。 21転身搬欄捶 ①左足のつま先を十分に入れる。 22如封似閉 ①上体をやや右にひねりながら左手を右腕の下に入れ、上体を左に戻しながら左手を右腕に添って前に出し、同時に右の拳を開いて手のひらを上に向ける。 ※もともとは7.8番の後半と同じ技 虚歩のときつま先を上げ過ぎない 23十字手 ①両手を腹前で右手を外側に交差して、胸前に上げる 24収勢 ①腹前で印を組む |