楊名時八段錦 健康太極拳標準教程 
 
   第一段錦
1両手のひらを上向きにして指を交叉させ、ボールの表面を撫でるように手のひらを返しながら胸まで上げ、息吐きながら手のひらを下に向けて下腹前まで降ろす。
2息を吸いながら両手を持ち上げ、手のひらを返して上に向け頭上に上げる。
3頭上で交叉した指を静かにほどき、息を吐きながら両側に広げ降ろし、準備姿勢に戻る。
※指をほどくとき、指のつけ根を開くようにする。
 ストレッチを目指すためには上げた手を真上に向け肘を伸ばすのが有効。無理をしない。慣れたらすこしづつ伸ばしてゆけばいい。
※経絡解説
・ 働きとしての三焦~命の炎としていらえる考え方。身体から発する熱や光とも考えられる。
・ 臓腑としての三焦~上丹田(百会あたり)を上焦、中丹田(膻中、みぞおち、横隔膜あたり)を中焦、下丹田(臍下丹田、気海)を下焦とするものや、胸腔を上焦、腹腔を中焦、骨盤内を下焦とする考え方がある。
・ 動作の意識
 ①両手を組んだとき、臍下丹田の気を意識し、練る
 ②その気を下→中→上→中→下とまわし、動作とともに頭上まで持ち上げ、身体を伸ばすとともに上中下の三焦すべてに行きわたらせる意識を持つ。
 ③両手をゆっくり開いて降ろすとき、気を沈め丹田に戻す意識でおこなう。

  第二段錦
1左足を肩幅の2倍ぐらいに広げ、息を吸いながら両腕を広げ、息を吐き沈みながら両腕を正面におろして馬歩とする。
2両手を軽く握り、息を吸いながら胸の高さまで持ち上げる。左手を剣訣にして、息を吐きながら右肘を横に引き右こぶし右肩によせ、左手を左前方に伸ばしながら剣訣を立て、左横方向に押し出す。呼吸に合わせて身体はやや沈む。視線は遠くを見る。
※経絡解説
・ 腕の開合によって経絡的にも肺経大腸経を意識して肺臓にアプローチする。「血海穴」が心臓の血液循環を補完する動作としても優れる。馬歩姿勢の上下がミルキングアクションに優れ血流促進に有効である。
※馬歩の効能
血流促進と血圧をコントロール 血圧の上昇を抑えるもっとも簡単なのは腹式呼吸であるが、さらに深い効果をうるために馬歩を役立てよう。
つま先を正面に向ける(少々辛いが健康効果が高い)~ふくらはぎ内部の動脈を効果的に圧迫する。呼吸に合わせて身体を上下させることで動脈と静脈へのマッサージ効果。
②ヒザを前に出さないように
③呼吸に合わせて身体を上下させる。

  第三段錦

①息を吸いながら両手のひらを徐々に上に向け、胸の高さに上げる。
②小さなボールをなでるようにみぞおちまで降ろす。左手を、手のひらが外に向くように肘からあげ、頭上に持ち上げる。同時に右手はとまらず下降を続け、股関節右斜め前あたりを押さえる。上げた手と下げた手は、腰を中心にバランスをとる。
※経絡解説
胃腸に影響をあたえる動きである。
腕を上げていくとき、前腕の親指側の大腸経と小指側後面の小腸経を意識する。体幹の前面は、胃経の肩井穴~乳中穴~股関節を意識する。背面は、胃兪、脾兪あたりに意識を置く。

  第四段錦

首をひねる動きで内臓の慢性疾患を予防する。
①息を吸いながら両手を徐々に上向きでまで上げる。
②小さなボールをなでるように手を返し、、息を吐きながら手のひらを下に向け腕を降ろす。同時に首をゆっくり左に回し斜め後ろを向く。意識は丹田から右脚を伝わって右足の裏に通す。
③息を吸いながら両手を胸の高さまで上げ、右足の裏に通した意識を丹田に戻す。
ポイント 足裏を良く意識するとともに、足裏から足全体もゆるめて立ちながら動きたい。

  
第六段錦

股関節を折って内臓をマッサージし、腰の強化と老廃物の排出を促す運動。
①息を吸いながら両腕を前に上げ、息を吐きながら腹前に降ろす。息を吸いながら両腕を前から上に向かって頭上まで上げる。
腰から背筋、腕を交互に伸ばしてから、上体を右から左へ三回ほど旋回…
③もう一度息を吸いながら身体全体を上に伸ばす。
④胴と腕を伸ばしたまま、息を吐きながら股関節軸に前に折るようにして倒していき、両手でかかとを掴んで、自然呼吸でしばらく留まる。
※旋回は楊名時師家が加えた動作。つまり胴体を伸ばしてたたむ動作であったのを、伸ばして、ほぐして、折りたたむ動作にしたわけだ。
※経絡解説
腎を意識する動作。腰=腎ととらえてよい。腎を強固にすることで全身の骨を強化する効果がある。
・たまった疲れをとる=伸ばすのみでよい
・軽い疲れをとる=伸ばして曲げる
・腰を鍛錬する=伸ばして、回して、鍛錬する。

  第八段錦

つま先立ちからかかとをおろしたとき身体を上に抜けていく振動で身体を整える。
つま先は正面に向ける。
②この動作を3回以上繰り返す。
※経絡解説
背中には膀胱経の上にすべての臓腑に対する重要なツボがならんでいる。かかとを上げて落とし、振動を与えることで、これらのツボの緊張を落とす動作である。
・最後にしゃがみ込むことで、起立筋と膀胱経をストレッチさせることで、全体のバランスわとることができる。
※ヒザが前に出過ぎないことで、ヒザの負担は軽くなる。