多汗症・手のひら多汗症・手掌多汗症の手術
多汗症の治療には手術もあります。 発汗を作用している交感神経をブロックするというものです。手のひらの汗を止める場合、「胸腔鏡下交感神経切除術」(ETS)と言われる胸腔鏡(スコープ)を使って胸部交感神経を遮断する手術を用います。全身麻酔をし、わきの下の皮膚を2〜4ミリほど切って行われます。 傷口も小さく、手術時間も短いため、患者への負担は少なくすみます。 同様に、足の裏の汗を止めるには、腰椎の交感神経をブロックする手術がある。
ただし、どちらの手術も手のひらや足の裏の汗はストップされるものの、 術後、手のひらや足の裏以外の部分から汗が出る代謝性発汗(反射性発汗)が起こることがあります。 しかし、手術の前に代謝性発汗を予測することは難しく、かなり個人差があることなので、 手術をする場合には、医師とよく相談し、心配なことは事前に確認しておくとよいでしょう。
手掌多汗症に対する通常の開胸手術は1920年に初めておこなわれました。 しかし、身体への負担が大きく傷跡も痛くて目立つため、あまり積極的には実施されませんでした。 そこで、身体への負担が少ない胸腔鏡(内視鏡)でこの手術がおこなわれるようになったのが1987年。 それからは導入も活発化しはじめました。
この手術(ETS)は欧米の先進国では半世紀も前から行われてきました。 しかし日本で、 多汗症に対する保険医療として認められたのは1996年からです。 日本はこの治療が認められた最後の先進国なのです。 それ以前は、日本では、 多汗症の人がいることとか、多汗症が治療可能な疾患とは旧厚生省や医師の間でさえ認知されていませんでした。
そのころも胸部交感神経遮断術自体は行われていましたがそれはレイノー病などの四肢末梢の血管閉塞を治療するのが目的でした。 手のひらの発汗を抑制するための治療として日本で認められたのは比較的最近なのです。 海外では学問や心の発育を阻害したり、職業によってはトラブルになる、そして社会的にも適応しにくく、 ハンディキャップそのものというネガティブな方向に強い認識がなされています。