研究題目

  平成11年度 山口県科学研究発表会で入選   (1999.11.18)

  「自動車の排ガスが環境に及ぼす影響について(3年次)」
     ーー特に山口市の酸性雨とその原因物質NOxについてーー 


動機および目的
 私たちは平成9年には「空気中のNOx調査」、平成10年には「空気中のばいじん量」について取り組んできた。そこで今年は「山口市の酸性雨とNOx濃 度」に取り組んだ。 


説明
 
(1)わたしたちは2年前からアメリカ・ゴア副大統領の提唱した「グローブプログラム」に参加して、毎日の気温、雲の種類・量、雨量、その酸性度、電導度 について測定、東京学芸大を経由して、アメリカのNASAにインターネットで送信してきました。 


(2)これは雨の酸性度を測るpH計と溶けている物質の量を測る導電率計です。微妙な測定器具なのでていねいに測定しました。 


(3)これは2年間の記録つづりです。毎日昼休みに測定し、放課後に送信しています。大変な活動ですが、先輩から引き継がれた活動項目の一つです。


(4)これはNOxを測定する装置です。ザルツマン試薬によりワイン色に変色する濃さを比べて測定します。NTT主催の「こねっと国際環境調査プロジェク ト」に参加した時の測定器です。。 
(5)ザルツマン試薬のプレートを交差点などに張り付け、24時間おきに測定します。


(6)比色計で透過率を求めこの換算表からNOx濃度を求めます。

(7)観測点は交差点だけでなく、職員室、教室、中庭を加えて、夏と冬の比較もしました。

(8)活動の途中では国際環境調査プロジェクトに参加した日本の参加校7校とアメリカの参加校4校によるテレビ会議に も参加しました。 
研究内容(方法・結果)
  (方法)
   酸性雨・電導度などの気象観測は2年前からアメリカ・ゴア副大統領の提唱した「グローブプロ
  グラム」に参加して、毎日測定し東京学芸大を経由してアメリカのNASAにインターネットで送信
  してきた。NOxの測定はザルツマン試薬によりワイン色への変色濃度を比色計で測定した。NTT主
  催の「こねっと国際環境調査プロジェクト」に参加した時の測定器を使用した。 

  (結果)
  ■(表1)「5つの大気汚染物質の発生源と悪影 響」■

   酸性雨の原因はイオウ酸化物と窒素酸化物である。イオウ酸化物については工場の規制が徹底し
  ておよそ解決している。一方で、窒素酸化物は自動車の排ガス処理がまだ十分解決できていないこ
  とが酸性雨につながっている。 

  ■(表2)「雨の月平均観測値」■

   一月ごとの雨の日数、pH5.6以下の酸性雨の日数、総雨量、平均pH、平均電導率をまとめた。今
  年の1月から8月までの243日のうち少しでも雨の降った日が67日。これは28%に相当、1
  週間に2日の割合になる。つぎに酸性雨だった日は46日で、雨の日の70%に当たる。3回のう
  ち2回は酸性雨ということ。総雨量は1150mm、平均pH5.4、平均電導度37.4となった。平均pH5.4
  は平成9年山口市平均pH4.7より酸性度が弱まっており車の排ガスなど多少改善された成果なのか、
  今後見守る必要がある。
   赤の棒グラフは月ごとの降水量で、梅雨の6月以上に8月が多く、今年の夏の特徴である。黒の
  折れ線グラフは月平均酸性度で、赤は月平均電導度である。電導度とは、イオンなど溶けている物
  質の量を表す数字だそうだ。2月で両方の値がが高くなっている。これについては山口県衛生公害
  研究センターの報告書の中に、2月の雨には塩化物とカルシウムが多く含まれていて、冬季の道路
  の凍結防止剤が原因であることが書かれており、このアルカリ物質のために酸性度が弱まり、電導
  度が大きくなることが理解できる。
   月平均酸性度は1月と6月で強く、2月と5月で弱くなっている。月平均電導度は1月と2月が
  高く、5月と6月が低くなっている。空中を漂う物質の種類や量が季節によって違っているからな
  のだろうが、今後の課題である。 

  ■(表3)「雨の酸性度分布」■

   67回の雨をpH3.0からpH7.7までの度数分布でまとめてみた。一番多かったのは5.0から5.4ま
  での雨で21回、全体の雨の31%に当たる。続いて4.5から4.9で14回、21%。あわせて、4.5
  から5.9までの雨が52%を占めていた。最も酸性が強かった雨は6月3日で降水量10mm、pH3.0
  であった。これは料理に使う「お酢」に相当する値である。 

  ■(表4)「雨の酸性度別の平均電導度」■

   電導度が高ければ溶け込んでいる物質が多いことを示している。酸性度が強い3.0から4.4の雨で
  電導度が45.5と大きくなり、反対に酸性度が弱く中性から弱いアルカリ性の7.0から7.7の雨で
  111.8と非常に大きくなっている。本来、二酸化炭素でバランスがとれたpH5.6の雨が窒素酸化物な
  どでいっそう酸性になったり、凍結防止剤の塩化カルシウムなどのアルカリ性物質で中和されたり、
  アルカリ性になったりすると考えられる。 

  ■(表5)「夏、冬のNOx濃度の比較」■

   冬は昨年12月の3日から7日間の平均値、夏は今年9月の2日間の平均値で、期間中は晴で風
  はあまりなかった。山口市の車の比較的多い山大通り出光三差路、中央高校交差点、ダイシン店交
  差点の3つの交差点での比較では、ほぼ同じか夏の方が少し高い測定値であった。
   驚いたのは冬の教室と職員室の濃度が何と交差点と同じか超える値が測定されたことである。こ
  れにはびっくりした。なぜなのか。その原因は石油ストーブらしい。空気中の窒素と酸素がストー
  ブの高熱で反応し二酸化窒素ができるのだそうだ。酸性雨の原因物質(二酸化窒素)の原料は身近な
  空気なのである。だからストーブで化合され、エンジンで化合されるのである。できるだけ燃やさ
  ない工夫、車を使わない努力が必要のようだ。
   冬、ストーブをたいた教室の空気をビニール袋につめザルツマン試薬と反応させると濃い赤色に
  なった。その教室で別のビニール袋に人のはいた空気をつめザルツマン試薬と反応させると薄く反
  応した。つまり人が二酸化窒素を吸収したことになる。人間フィルターである。恐ろしくなった。 
  (まとめ)
   酸性雨やNOx濃度の測定方法、測定値の解釈の仕方など難しい点もいろいろあるが、今後も酸性
  雨などの継続観測をとおして、自然環境について考えてゆきたいと思う。 
参考にした書名・事項
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