研究題目
車の排ガスが環境に及ぼす影響について
私たちは今年から「グローブプログラム」に参加し、毎日大気調査などを、インターネットで、東京のグローブ日本やNASAのグローブUASに送信 しています。その一項目に酸性雨もあります。そこで今年は、車の排ガスや大気汚染について研究することにしました。
(1)これが使用した気体検知管測定器です。二酸化炭素、酸素の他に一酸化炭素、二酸化窒素、窒素酸化物の検知管も新たに買いました。
(2)自動車の排ガスは直接ビニール袋にとって測定しました。
(3)空気の汚れていそうな高速道路やトンネル内を測定しました。
(4)県庁から宮野に抜ける七尾山トンネル内での測定のようすです。トンネル内は暗くて測定値の読みとりに苦労しました。
(5)山口県衛生公害研究センターを訪れました。大気部大気測定科の専門研究員の方からお話を伺いました。
(6)自動車販売の会社も訪問して、排ガスの問題、未来の車、消費者の意識変化などについて伺いました。
(7)調査地点は、マリン平川店前、山大通り徳佐石油交差点、山口中央高校交差点、白石ダイシン交差点、七尾山トンネル内、天花地下道、吉敷洋服の 青山交差点、そして平川中前です。
(8)これがノックスの測定に使ったザルツマン試薬です。24時間張っておきます。
自動車の排ガスは、80,90cmのビニール袋に捕集し、気体検知管で成分を測定した。 大気の成分の内、窒素酸化物は、トリエタノールアミンに24時間吸収させ、ザルツマン試薬によ り発色させ、比色表で測定した。
(表1)これは「環境基準のもうけてある5つの大気汚染物質の発生源と悪影響」です。
5つの大気汚染物質は硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、光化学オキシダントです。発生源は、主に、工場と自動車です。
環境への影響では、硫黄酸化物(ソックス)は酸性雨、窒素酸化物(ノックス)は酸性雨と光化学スモッグ、一酸化炭素は温暖化、光化学オキシダントは光化学
スモッグへつながります。
オキシダントは車の出す窒素酸化物と炭化水素が太陽の紫外線で化学変化してできるようです。
大気を汚染する自動車排ガスの3害成分は、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物であることが分かってきました。
(表2)これは「日本車・ドイツ車の排ガスと呼気・吸気分析」です。
排ガスは80,90cmのビニール袋に捕集してから、気体検知管で調べました。日本車のアイドリングと空ふかしを比べると、各成分濃度にあまり違いはな
く、二酸化炭素、13,14パーセント、酸素、6,7パーセント、二酸化硫黄は両方2ppm以下、一酸化炭素も両方50ppm、窒素酸化物は両方
20ppm以上でした。
ppmはパーセントより小さい濃度の単位で、1ppmは0.0001パーセントに当たります。
ドイツ車は日本車に比べて、二酸化炭素は低めなのに、一酸化炭素は高く出ました。また酸素濃度が高く、完全燃焼されていないのかとも考えられますが、今
後の課題です。
いずれにしても人間の呼気に比べると、車は、二酸化炭素をたくさん吐き出していることが分かります。
窒素酸化物は日本車、ドイツ車とも20ppm以上という高い値でした。
(表3)これは「七尾山トンネル内の大気分析」です。
縦貫道湯田サービスエリアの大気成分と比べました。二酸化炭素は0.5と0.03パーセント、酸素は21と21パーセント、二酸化硫黄は両方2ppm以
下、一酸化炭素も両方25ppm以下、ノックスも両方1ppm以下でした。
縦貫道の回りは松がれがひどく、トンネル内もいやなにおいが立ちこめていました。
ところが、法律で決められた「大気汚染に係る環境基準」と比べてみると二酸化窒素、一酸化炭素、ノックスは環境基準あたりをこの気体検知管では測定でき
ていないことが分かりました。特にノックスにつては、環境基準0.04ppmから0.06ppmあたりを問題にしているのに、1から20ppmしか測定で
きない気体検知管ではまったく役に立たないことが分かり、測定方法の変更に迫られました。
インターネットでも探しました。すると大分県の緒方工業高校のアイディアを改良して学研の「科学」という雑誌7月号にノックスの簡便な測定セットをつけ
ていることを知り、学研から、セットを送ってもらいました。24時間ノックスを吸収させ、ザルツマン試薬で発色させ、比色表と比べ濃度を読みとります。そ
の測定結果がつぎの表です。
(表4)これは「ザルツマン試薬によるノックス測定」です。
学校から市内を一周しました。平川中学校前0.01ppm以下、マリン平川店前0.01ppm、山大通り徳佐石油三差路0.01ppm、山口中央高校交
差点0.02ppm、白石中央ダイシン店交差点0.01ppm、七尾山トンネル内0.02ppm、天花(てんげ)地下道0.01ppm、吉敷洋服の青山店
交差点0.02ppmでした。
中央高交差点、七尾山トンネル内、洋服の青山店交差点は少し高めでした。環境基準の0.04ppmを越えるレベルではありませんが、これらの場所はいや
なにおいを感じるところでした。
(表5)これは「世界と日本の動向と私たちの課題」です。
25年前「国連人間環境会議」が開かれ、日本も参加したそうです。「かけがえのない地球」「オンリー・ワン・アース」「宇宙船地球号」などのキャッチフ
レーズが生まれました。
そして今年の12月、「コップ3」「地球温暖化防止京都会議」が日本で開かれるそうです。「先進国は2010年に、二酸化炭素の排出量を1990年レベ
ルより15パーセントへらす」ことをEC諸国は提案するそうですが、議長国の日本は通産省と環境庁の間で対立しているそうです。日本や私たちは今のままで
いいのでしょうか。
私たち科学部はこれからも大気汚染物質ノックスを継続測定したいと思い、インターネツトで調べて、もっと細かい測定のできる「エコアナライザー」という
測定器を注文しました。
気体検知管が、1から20ppm、ザルツマン試薬は、0.01から0.06ppmの範囲でしたが、エコアナライザーは、0.000から0.400ppm
のオーダーで環境基準あたりをより正確に測定できます。
これからも、ノックス調査やグローブ観測を通して、身近な環境に注意を払う気持ちを持ち続けたいと思います。
・環境白書(環境庁)
・環境白書(山口県)
・トヨタ自動車ホームページ
・山口県衛生公害研究センター
・大分県立緒方工業高校