国際生物学オリンピック(IBO)について
国際数学オリンピックは有名ですが、生物学のオリンピックも毎年開催されています。国際生物学オリンピック(International Biology Olympiad: IBOと略す)は、中学3年〜高校2年生を対象として、生物学の理論問題および実験問題への取り組みをテストします。生物学への興味、発明の才能、創造性、忍耐力が必要とされます。各加盟国は、国内コンテストで受賞した4人の学生と2人のチームリーダーを国の代表として参加させています。18年度も4名の高校生が7月9日〜16日にアルゼンチンでの世界大会に臨みました。
20年度日本代表の第1次予選の熊本地区会場は熊本大学理学部、期日は11月23日(金)です。日本事務局のHP に過去問や詳細が載っていますので、受験料無料ですし、是非挑戦して欲しいと思います。
 
過去問
国際生物学オリンピックは、本年度より「第1回全国生物学コンテスト 生物チャレンジ2008」に変わり、実施時期も7月20日と、早まりました(08/5/21)。

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高校生の皆さん
ようこそ、植物生理の小部屋へ!
高校生や学部1・2年生の皆さんのために、小部屋を作ってみました。私達の研究室について、簡単に説明します。
私達が知りたいこと
 植物には何万という種類のポリフェノール化合物が含まれており、それらは病気の予防や治療に役立つと考えられています。しかしながら、なぜポリフェノール類が植物で合成され蓄積されるのか、つまり存在意義についてはよく分かっていません。生物は無駄なことはしないので、植物にとって何らかの重要な役割があるはずと考えて、研究を行っています。
ハッショウマメ(Stizolobium hassjoo)の花 ハッショウマメの鞘(さや)
 ハッショウマメは南方原産の1年草マメ科植物(Mucuna属)で、一粒まくと八升(しょう)採れるというのが語源です。サヤ表面には無数の柔毛が生えていることから、英語ではYokohama velvet beanとも呼ばれています。ちなみに、熊本県菊鹿町のアイラトビカズラ (Mucuna japonica)は近縁種です。ところで、ハッショウマメは花弁や鞘、根茎葉といったあらゆる部分にDOPA(ジヒドロキシフェニルアラニン)というアミノ酸を大量に蓄積しています。このDOPAはパーキンソン病の治療薬として重宝されていますが、ハッショウマメにとってはそんなに蓄積して、いったい何の意味があるのでしょうか? このような謎を解くため、物質がどのような仕組みで作られているのかを調べています。


私達が調べていること
私達はポリフェノール化合物の中でも、ベタシアニンという赤色色素に着目しています。私達が通常目にする赤色色素は、バラやチューリップの赤色花弁や紅葉などに含まれるアントシアニンとよばれるものです。これに対してベタシアニンは、マツバボタン・ヨウシュヤマゴボウ・ビート、オシロイバナ・サボテンなど、ある一群の植物(ナデシコ目)の花弁や茎などに存在する赤色色素です。しかしながら、ベタシアニンの研究はアントシアニンと比べて大きく遅れています。
 そこで私達は、ベタシアニンの生合成される推定経路のうち、チロシン(アミノ酸の一種)からジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)への水酸化反応を中心に、関連する酵素の発見や生合成の仕組みを調べています。

ほとんどの植物にはポリフェノール類をキノン類へと酸化するポリフェノールオキシダーゼ(PPO)という酵素が含まれています。バナナやソラマメなどが傷つくと黒や褐色に変色しますが、これはポリフェノールがこのPPOによってメラニンなどに酸化された結果です。PPOによるこの褐変化が起こると作物の商品価値が一気に落ちるので、園芸や果樹の分野では大問題です。したがって、国内でも農学・園芸学の多くの専門家によって、PPOは詳しく研究され多くのことが分かってきました。しかしながら、依然として未解明な事は、なぜPPOが植物に存在するのかと言うことです。
 そこで私達は、通常は酵素活性を示さない、いわば眠らされているPPO(不活性型PPO)について調べています。つまり、不活性型PPOの活性が発現される特別な場合が分かれば、その時こそがPPOの存在理由を示しているからです。

ハッショウマメにおけるDOPA生成の制御機構 


卒論生の一日
 4年生は毎朝9:30までに登校し、器具片付けやピペット洗浄など研究室内の整理整頓を行って、実験開始に備えます。午前中の部が終われば、お昼休みは学食や学生部屋で昼食を取り、1時間半ほど休憩します。午後は4時頃のコーヒーブレイクを挟んで19時頃まで実験を行い、その後は夕食を取って実験続行の人、夕食抜きでがんばる人、バイトに抜ける人、帰宅する人・・・その日の実験や個人の予定によってマチマチです。実験終了後は器具洗いをして、実験日誌に必要事項を記入し、データー整理を行って終了です。このように、3年生までと違って時間の使い方はかなり自由となりますが、その分だけ自覚と責任が卒論生には求めれます。
 講義や実習は、いわば受け身の教育。これに対して卒業研究は、自ら動かなければ全く進みません。正直言ってそんなに楽ではないかもしれませんが、受動的な教育では身に付かない広い視野や物事の考え方・進め方、そして一年頑張ったという大きな自信を得ることが出来ると私は確信しています。


研究室の一年
 (旧)生物学科系の生体機能学と生体調節学講座の卒業研究は、12月1日から始まります。とは言っても、当年度の学生・院生が最後の追い込みをやっていますので、研究室に実際に入って研究開始となるのは2月下旬からです(※研究室によって開始時期は異なる)。
 教員免許を希望する人は6月に教育実習、就職希望の人は3年次冬から4年次の初夏までに就職試験、公務員試験は6−7月に行われます。大学院へ進学希望の人は、本学の場合は8月に博士前期課程(修士)の推薦と一般入試および博士後期課程(博士)が実施されます。このように、学生の進路によって年間スケジュールに多少の違いはありますが、基本的にはお盆休みと正月休みを除いて2月初旬までの約1年間の研究生活を送ります。卒業試験はありませんが、2月初旬に論文を提出し、卒論発表会・修論発表会を行って、4年生の卒業や院生の修了判定を行います。


皆さんに期待すること
 高校3年生の段階で明確な自分の進路を決めることは、なかなか難しいことかもしれません。特に理学部の場合、同じ学部でも数学と生物学という分野は全く異なります(※私感)。その点では、熊本大学理学部は一学科制なので、入学後にじっくり進路選択が可能です。また、高校で「生物T、U」を履修していなで、志願時や入学後に生物を強く希望する人も多いと思いますが、心配は無用です。「やる気」「根気」「好奇心」のYKKで、これまでも同じ状況の多くの先輩達は、立派にやってきました。また、リーダーシップを大いに発揮できる人材も求めます。

大学に見学に来ませんか?
 熊本大学では、高校生対象に8月の第1週の平日、オープンキャンパスを実施しています。理学部では、全体説明会の後、午前と午後の部に分かれて、各分野の研究室を実際に自由に見学することが出来ます。各研究室の説明時間はおよそ20分、体験実験を行う場合もあります。実験説明や指導は、各研究室の院生や卒論生が中心なので、直接、学生から大学の様子を聞くことが出来ます。

 毎年12月の第1週の土曜日には、理学部と工学部キャンパスで「夢科学探検200X」が開催されます。各研究室を直接覗くことは出来ませんが、各自の得意分野に基づいて、小中学生でも理解できるようなテーマ設定とデモ実験が行われます。
 
 生物関係では、6月と8月に「遺伝子を見てみよう」という高校生対象の公開実習が開催されています。分子生物学を専門とする理学部理学科の先生方や補助の院生の指導で、実習1「自分のDNAを見てみよう」や実習2「DNAを電子顕微鏡で見てみよう」,実習3「PCRを用いたDNAによる個人識別(DNA鑑定)」などが行われています。なお、参加費は無料ですので、生命科学に興味のある高校生の参加を期待しています。
 その他、知のフロンテイア、数学への誘いなど、色んな公開講座・講演会が開催されています。



(写真:大分ビッグアイ、伊墨戦、02/6/13)