MUSIUM


実は僕は元々、画家を目指していたのです。今は音楽や写真などいろいろなことをやっていますが、小さい頃からずっと憧れていたのは、絵描きになることでした。十代の後半頃は独学で絵の勉強をして、「世界一の画家になるんだ!」、などとかなりたいそうな夢を描いていました(笑)。静物や抽象画より、人や動くものを描くのが好きだったので、友達をモデルに肖像画などを主に描いていました。ある日、思いついて路上で肖像画を売ったらどうだろう、と画板と紙と鉛筆だけ持って、上野公園付近の路上で(肖像画描きます)の看板を出して一枚千円で肖像画描きを始めました。この頃(似顔絵)を描くおじさん達はいましたが、(肖像画)を書く人はほとんどいませんでした。

当時あまり先のことは考えていなかったので(笑)、一日一枚売れればいいや、ぐらいの気持ちでいたのですが、意外に繁盛してしまって、最初は、(あー、これで好きなことやって生きてけるなあ(笑)、なんてのん気な日々が続いたのですが、お金をもらって次から次に絵を描いているうちに、(自分が本当にやりたかったことって、こんなことじゃなかったのでは?)と悩みはじめるようになり、自分の「絵画」そのものに限界を感じて、描くことをやめてしまいました。それからいろいろあって今は画家になるとゆう夢はあきらめたのですが、絵を描くことは好きなので、ふといろんな物をサラサラとスケッチしたり、頼まれて身近な人の肖像を描いたりしています。下に載せたのはそんな何気ないスケッチたちです。

 

 

 

おだやかで、優しい感じの人だったので、そのイメージを崩さぬように描いています。絵を描いているときは常に全体の比率を考えて、空間の奥行きだとかいろんなことを把握していなければいけないので、ものすごく集中します。全体から細部に移行して、絵にリアリティーが出てくるときが一番描いていて楽しい。
髪の細部などを省略することで、顔全体に視線が集まるようにシンプルな描きかたをしてみた。目鼻立ちのはっきりした人だったので、バランスをやわらかく保つように工夫して描いてみました。(顔立ちのはっきりした女性は描きこみすぎると男性的になってしまうことが多いのです)

背が高く、首も長く、全体的にひょろっとした感じの人はあえてそこを強調するような描き方をしてみるときれいにおさまったりします。描いているときに笑顔でなくても、(この人は笑顔の肖像のほうがいい)と判断したら、微笑んでいる肖像に描きます。一瞬笑った顔を覚えていてその記憶を頼りに仕上げていきます。

女性が手を組んで何か思ったり、祈ったりしているような姿はさまになります。この肖像は冬のある日、寒くて手を組んでいるだけなのですが(笑)。ところで僕の好きな画家のひとりに、アンドリュー・ワイエスとゆう写真と見間違うばかりの細密な人物画を描く人がいます。
僕が以前(絵)そのものに限界を感じてやめていたとき、書店でワイエスの絵を見て、そのうまさに衝撃を受けました。しかしもっと衝撃を受けたのは彼の言葉でした。絵画のリアリティーを完全な写実性に求めていた僕は、彼の(実際のモデルや背景を見たらがっかりするよ)とゆう言葉に驚いたのでした。彼が言いたかったのは(これは人にどう見えたかではなく、僕に見えたものを忠実に描いたとゆうことなんだ)とゆうことでした。僕はただ似せようとして描いていた自分を捨てて、また筆を取ることにしたのです。
この肖像も、やはり顔にポイントをおきたかったのでそれ以外の全部を輪郭のみにして、これで完成としました。ここまで書いたら全部細かく描きこんでいきたくなるのですが、あえて途中でやめることで奇妙な訴求力をもった感じにしてみたかったのです。
これは図書館で本を読んでいるおじさんを、ささっと描かせてもらったものです(笑)。かなりくつろいでいて、寝ているのかな?と思ったらちゃんと起きていました(笑)、動き始めないうちに5分くらいで全体を把握しないといけないので、見知らぬ人を描くのはたいへんです。
これは公園をぶらついていたおばあさんを描いてみたものです。柵にかがみこんで、池の中の魚を覗き込んでいるところを猛烈な速さで描ききってみました(笑)、多分自分の肖像の中で最高の1分ちょっとぐらいです。そのぐらい速く描かないと、モデルさんではないのであっとゆうまにまた歩きだしてしまうので、市井の人たちを描くのは早書きの訓練になります。
これは高校生ぐらいのときに、都内にある日比谷公園まで行っていろんな景色をラフに描いた一枚です。噴水とビルの背景を描いていたら、急にサラリーマンのおじさんが疲れた様子でベンチに座ったので、おじさんも一緒に描いてみました(笑)
これも中学か高校のときのデッサン。一応はこうゆう地道な練習もしていたのです。けれど僕は美術部には興味がなかったので、基本的に誰にも教わったことがなく、ひとりでコツコツと描いていました。ある程度写実性のある絵画なら、空間と物体の比率を把握することが一番大事だと気づいたのはこの頃です。
デッサンは以外と難しく、僕は基本的に静物に興味がないこともあってけっこう苦痛だったかも(笑)、しかしそれぞれの物質の描き分け、質感の違いを筆のタッチのみで出してゆくとゆう作業は非常に勉強になります。もし今後趣味で静物を描くとしたら、この絵もそうですが、(オレンジとカメラと腕時計)とかシュールな組み合わせで描こうかな(笑)
水彩色鉛筆とゆう道具を得て、何か淡い色調の人物画を描いてみたいと思うようになり、タッチをいろいろと工夫したりしてこんな絵を描いていたことがありました。色鉛筆はすごく自分の絵の性格にあっていたようで、僕は水を得た魚のようにいろんな淡い絵を描きました。
暗い部屋の窓辺で物思う人。自分でテーマを決めたりして、物語性が漂うような作品も描いていました。水彩色鉛筆は完全に塗りつぶしたいところは水分をつけた筆でなでれば、水彩画のようになるし、すきなところだけ質感を変えてにじませたりもできるすぐれものです。
ラフな鉛筆画の上に、水彩を弱く重ねることではかない感じを出そうとしています。イラストっぽい感じに仕上げてみたくていろんな工夫をしていた時期のものです。自分の画風みたいなものを確立したかった頃。ほとんどの絵は捨ててしまいましたが、何故かこれが残っていた。
これはうってかわって、墨で描いた作品。思いつくことは全部やってみようと作風を模索していたのが、懐かしい。光と影のコントラストだけでどこまで描けるのか、表現できるのか、そんなことを考えながら描いていました。また機会があったら描いてみたい種類の絵です。
これは中学か高校のときの作品。とゆうかいきおいで書きなぐっているような感じですね。僕の中のロマンチストな部分が無意識に出てたりして、単純な絵ほどそうゆう傾向があるみたい。一時期こうゆう単純で抽象的な絵を熱心に描いていた時期があったようです。今見ると純真さがちょっと恥ずかしい(笑)
これは確か中学の時の模写。まだ油絵の道具を持っていなかったのだけど、油絵みたいな絵を描いてみたくなり、水彩絵の具をべとべとにつけて(笑)、苦心して油絵風味を出しています。その後、油絵の道具を手に入れましたが、自分の性格にあっていなかったようでほとんど作品を残してません。
突然、抽象画とゆうものに手をそめてみたくなったのか、今では思い出せませんが、何か衝動的に描いていたようです。中学か高校のときの作品。捨てたとばかり思っていたのですが、物置に残っていてびっくり。今見るとなかなかおかしな感じなので載せてみました。原色を使って大胆に書き上げています。いちおう構成も工夫していたようです。
これは上のシリーズの抽象画。同じようなテーマで何枚か描いています。キュビズムを取り入れたものや、画面構成を工夫しているものばかりです。まだたくさん残っていましたが、2枚載せれば充分なのでこのへんでやめときます(笑)。それにしてもこの当時なんでこんな絵を描いていたのだろう、思い出せない(笑)
これも中学生の頃に描いた作品。水彩に、その当時興味を持って使い出したパステルを重ねて、少し深みを出しています。思春期の性への憧れからか、その頃を思い出して、今見るとかなり赤面してしまう絵なのですが(笑)、冷静に見ると意外によく描けているので思い切って載せてみました。
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