涼宮ハルヒの憂鬱 射手座の日 後編
配役比率 ♂3:♀2=五名
(教練一日目)
ハルヒ:「全軍突撃!」
キョン:「ふぉ!」
(教練二日目)
ハルヒ:「全軍突撃!」
みくる:「ぉお~!」
(教練三日目)
ハルヒ:「全軍突撃!」
キョン:「ふぉおーっ」
(教練四日目)
ハルヒ:「全軍突撃!」
みくる:「うわぁ~!」
(教練五日目)
ハルヒ:「うわぁ、またやられた!!
キョン、なんか腹たつわよ、このゲーム!」
キョン:「突撃ばかりだからだ。戦術がそもそも間違っている」
ハルヒ:「もう、ああっ!めんどいったらないわね!
あたしはもっとわかりやすいのが好きなのに!」
(無言でタイピングをする有希)
キョン:「気のせいかもしれんが、楽しそうだな。
念を押しておくが、今回はインチキ技はなしだからな?」
(有希:うなずく)
(決戦当日)
ハルヒ:「本日、天気晴朗なれども波高し!皇国の興(こう)は一戦にあり!
この戦いははじまりに過ぎないの!
あらゆる邪魔者の蹴散らして、SOS団は宇宙の彼方までその名を轟かせるのよ!
そのうち、教育委員会に掛け合って、全ての公立校にSOS団支部を作るつもりよ!
勝って当然とはいえ、手抜きは絶対に禁止!
徹底的にたたきのめすのよ!!」
キョン:・・・この自信の原材料は何なんだろう?
2ミリグラムでもいいから俺に分けてほしいねぇ。
ハルヒ:「そう?ちょっぴり注入してあげよっか?」
ハルヒ:「(じー)」
キョン:「あ・・・」
ハルヒ:「どう?少しは効いたでしょ?」
キョン:「このにらめっこにどんな効能があるんだ?」
ハルヒ:「エネルギーを視線に込めて送ってあげたじゃないの!
体がぽかぽかしてくるとか、発汗作用が促進させるとか、
そんなのをあんたは感じたでしょ?」
キョン:いや・・・身の危険なら感じたが。
古泉:「そろそろスタートです」
みくる:「・・・」
キョン:「はぁ」
(一六○○時 開戦)
ハルヒ:「全軍前進!」
キョン:というわけでゲームは始まり・・・
つい今しがた敵艦隊を発見したわけなのだが・・・
長門のおかげでどうにか敵の一部の動きがつかめている状態だ。
索敵をしながら戦闘もこなして、獅子奮迅の働きだなぁ。
ゲームオンチの朝比奈さんと、突撃バカのハルヒは役に立たないし、
すでに5対3、完璧に劣勢だ。
古泉:「敵は鶴翼陣形(かくよくじんけい)で我々を誘いこむつもりのようです。
防御に徹するのが得策かと」
キョン:「そうはいってもなぁ。
俺はいいけど、ハルヒはどう言うか・・・っ!何?
別の敵から砲撃されてる?いつの間に接近されたんだ!」
古泉:「おっと、こちらもです。どうやって我々の位置をつかんだのでしょうね」
ハルヒ:「何やってんのよ!ちゃっちゃと反撃しなさいっ!」
キョン:「言われんでもそうするさ!右舷に90度回頭!全砲門開け!」
古泉:「なかなかやる気になってるじゃないですか」
キョン:「目標、敵艦隊!全ビーム砲発射!
って、アレ!?・・・くそ、逃げやがった」
古泉:「こちらもです。打たれるだけ打たれて雲隠れされますか・・・」
キョン:「一撃離脱作戦か・・・」
古泉:「っと、また来ました。側面から」
キョン:「ええい、ちくしょー」
ハルヒ:「何モタモタしてんのよ!敵が逃げちゃうじゃない!」
キョン:「わかってるがどうにもならないんだ!神出鬼没に右から左から・・・」
ハルヒ:「じゃあ、ガン●●でも発進させなさーい!」
キョン:「いきまーっす!無理っ!!」
みくる:「あの、あのぉ・・・あたし今どこにいるんですかぁー!!」
ハルヒ:「・・・もう我慢できないわ!全艦全速前進よ!
あたしが敵の親玉を見つけだして、タコ殴りにしてくるわ!!」
キョン:「前に出るなって言っただろ!」
古泉:「ここは我々にお任せください」
ハルヒ:「いいからどきなさい!偉いもの同士、サシでドンパチやるわ!」
キョン:「その敵がどこにいるのかわからないんだろうが!」
ハルヒ:「あたしが発見してやるわよ!」
キョン:「バカ、やめろって!」
古泉:「まず落ち着いてはいかがでしょう?それから、敵の迎撃を」
みくる:「みなさん、どこに行っちゃったんですかぁ~!」
ハルヒ:「どきなさぁ~い!!」
キョン:「どきたくても動けねー!・・・こりゃ負けたな」
(突然、画面に敵の位置が全表示される)
キョン:「うお!何だこりゃ!」
古泉:「なるほど・・・分艦隊ですか」
キョン:「分艦隊?」
古泉:「取説の最後に書いてありましたよ。
艦隊を20まで分散させて、捜査できるみたいですね。
ただ、こんな数を同時捜査するなど、
人間技では不可能なので誰もやらなかっただけです」
キョン:人間技では・・・ね。
みくる:「あ、あの・・・そんなに力を入れると壊れるんじゃ・・・?」
ハルヒ:「敗北主義者は校庭10周の刑よ!しかも素っ裸で!
『緑色の火星人が追いかけてくる~!』って叫びながら10周!
弱音は許さないんだからっ!!」
キョン:「えっとだなぁ・・・
ん?えっと、長門さん?あなたは一体何をしておいでなのでしょうか?
・・・おい長門」
有希:「・・・何」
キョン:「俺はインチキすんなって言っておいたはずだぞ」
有希:「・・・していない。
特別な情報操作を行っているわけではない。課せられたルールを遵守している」
キョン:「そ、そうなのか?」
有希:「『インチキ』と呼ばれる行為をしているのは、コンピュータ研のほう」
キョン:「奴らが?どういうことだ」
有希:「彼らの索敵モードがオフになっている。
マップ全域の全てが、我々の位置を含めて最初から丸見え」
キョン:「長門にしてはわかりやすい説明だ!
こちらからは敵が見えないのに、向こうからは見えてるってことか・・・
道理で勝てないわけだ」
有希:「・・・そう。
我々には敗北以外の選択肢はなかった。それを是正(ぜせい)した」
キョン:「・・・連中がズルしてるのはわかったよ。
でもさ、だからといってこっちがさらにインチキな魔法使って対抗したら、
結局は連中と同じになっちまうぜ。いやそれ以下だ」
有希:「あなたの指示に違反することはない。
地球の現代技術レベルにのっとって、プログラムの修正を施したいと思った。
条件を対等にするだけ。
・・・許可を」
キョン:「・・・。ひょっとして、勝ちたいのか?」
有希:「・・・」
キョン:「ふっ・・・。よし、やっちまえっ」
有希:「・・・そう」
部長:「よーしよし!
分艦隊で索敵されたときは肝を冷やしたが、まだこちらが優勢だ。
なにしろ敵は丸見えなんだから。
そろそろ仕上げだ!各個撃破!SOS団を血祭りにあげろ!
・・・え?」
部員:「索敵モードがオンになってます!敵艦隊を・・・ロスト!!
攻撃を受けています!敵の動きがつかめませーん!」
部長:「な、何をやっているんだ!すぐに索敵モードをオフにしろぉ!」
部員:「オンのままロックされていて・・・アクセスも拒否されますぅ!」
部長:「ば、バカな・・・!!」
ハルヒ:「敵見っけ!撃て撃て撃てぇーっ!!」
キョン:「落ちろ、蚊ども!!」
ハルヒ:「こら、キョン!それはあたしの獲物よ!!」
古泉:「敵艦隊の二つが壊滅しました。他の艦隊も混乱中。
長門さんの分艦隊がかく乱しているおかげで、一気に形勢が逆転しましたね」
キョン:「だが、まだ大将が健在だぞ?どうやってしとめるか・・・」
有希:「・・・問題ない。そちらに追い込む」
部長:「うわぁっ!」
キョン:「おお。いい具合に飛び込んできた」
古泉:「袋のねずみですね」
みくる:「あの・・・これ撃てるんですか?」
ハルヒ:「なんかよくわかんないけど、でかしたわ!
全艦全力射撃!
敵の大将を地獄の業火で焼いてあげなさぁーいっ!!」
(逃げようとする部長氏艦隊)
ハルヒ:「逃がすかっ!」
部長:「こ、コンピュータ研に栄光あれぇぇぇーっっ!!!!」
(爆発)
ハルヒ:「ふっふふ~♪」
部長:「負けたよ・・・完全にうちの負けだ・・・潔く認める。
すまない、謝る。
でもまさか、プレイの最中にゲームの中身を書き換えられるとは・・・信じられん」
ハルヒ:「何ブツブツ言ってんの?
あ、でさ!約束は覚えてるわよね?
このパソコンは全部あたし達のもの!忘れたとは言わせないわよ!」
部長:「なあ、君」
キョン:「?」
部長:「アレをやったのは誰なんだい?
世界でも通用しそうな凄腕ハッカーは。
・・・や、まぁ、大体想像はつくんだが・・・。(有希に向かい)
ものは相談だが、君が暇な時でいい!
コンピュータ研の部活に参加してみないかっ?是非!」
キョン:なんか勧誘し始めやがったぞ・・・
ハルヒ:「ちょっとちょっと!勝手に有希をレンタルしちゃダメよ!
いい?この子はSOS団に不可欠な無口キャラなの!
あたしが最初に目をつけたんだからねっ!」
キョン:「まあ待て」
ハルヒ:「?」
キョン:長門だって、興味をひかれるものが少なからずある。
俺にはキーボードをたたくこいつの姿が、なぜか楽しそうに見えた。
いつまでもハルヒの監視だけでは、長門だって疲れるに違いない。
宇宙人製有機ヒューマノイド・インターフェースにだって、たまには気晴らしが必要だ。
キョン:「お前の好きにしろ。
気が向いた時にでも、お隣さんに行ってパソコンをいじらせてもらえばいい」
有希:「・・・・・・そう。・・・・・・たまになら」
部長:「本当かい!?いやぁ~ありがたい!!」
キョン:「だそうだ」
ハルヒ:「まぁ、有希がいいならいいけど・・・。あ、それから!」
部長:「え」
ハルヒ:「あんた達は敗残兵。
勝者の言うことは何でも素直に聞かないといけないの!
あんた達全員、今後あたしに絶対的な忠誠を誓いなさい!
悪いようにはしないわ。
がんばりようによっては、正式な団員にしてあげてもいいわよ?
古泉くんっ、さっそく調印書を作ってちょーだい!」
古泉:「かしこまりました、閣下」
終