涼宮ハルヒの憂鬱 ライブアライブ ―前編―
配役比率 ♂2:♀4:♂or♀1=七名
キョン:頭の中身が、年中調子はずれな監督兼プロデューサーによる、
間の抜けたシュールレアリズム映画は、徹夜の編集作業で一応の完成をみて、
俺たちSOS団の面々は平和な文化祭初日を迎えていた。
幸いにも、細かい交渉や宣伝活動などは、ハルヒが自ら率先して行っており、
俺は上映を委託している映画研究会に観幕のDVDを渡して以降、
面鏡しすぎの心境で校内を従容しつつ、
祭りの雰囲気を寝不足の頭で楽しんでいた。
・・・とはいえ、一つだけ閑暇できない重要な使命があったわけだが・・・。
キョン:校内アンケートなんぞでお茶を濁す無気力なうちのクラスとは違い・・・
長門と古泉、朝比奈さんはそれぞれクラスの企画に、しっかり従事していた。
~占いの家~
有希:「あなたは、5分15秒後にソフトクリームを買って、5分28秒後にそれを足に落とし、
7分6秒後に看板に頭をぶつける。
その際彼女と交錯していて彼女のバッグから所持品が散乱し、
7分11秒後に・・・」
キョン:長門・・・ほどほどにしとけよ?占いと予言は違うぜ。
~クラス演劇~
古泉:「さてこの世界・・・つまり自然とは、確率に支配されているものです。
にもかかわらず、今この場では確率論が成立しているとは言いがたい・・・。
ならば、こう考えるのがより妥当でしょう。
今我々は、自然からどんどん離れている・・・たとえば――」
キョン:・・・なんだこりゃ。どこで笑えばいいのか教えながら演じてくれ。
谷口:「よ!」
キョン:「収穫はあったか?」
谷口:「期待した程じゃないな。卓球部のピンポンアイスがうまかったぐらいだな」
国木田:「3-3のおでんもよかったねぇ」
谷口:「2-5のチョコバナナ。あれ、チョコレートずいぶんケチってたよなぁ~」
キョン:「なんだ、食ってばっかじゃねえか」
国木田:「今日は食べ歩きだね」
谷口:「さーて。じゃあ本命のコスプレ喫茶に行こうか!」
国木田:「・・・いつぞやのバニーガールにも驚いたけど、
今度はどんな格好をしてるのかなぁー」
谷口:「それにしても・・・映画出演だっつってノーギャラで水中ダイブさせられて、
ずぶぬれの代償が焼きそば30%オフってのは、割に合わねえなぁ」
キョン:「不服なら来るな。とっとと帰れ」
谷口:「いやしかし~、朝比奈さんのコスプレ姿は、一応拝んでおかないとな!」
国木田:「映画の時みたいな、ピチピチミニスカのウェイトレスなのかなぁー」
鶴屋:「やぁぁ~!キョンくんと、その友達たち!こっちこっち~!
いらっしゃ~い♪3名様ご来店まいど!
どうだい?この衣装!めがっさ似合ってると思わないっかな~?どうにょろ?」
谷口:「ほぁ~」(見惚れる)
キョン:「それはもう。・・・盛況ですね」
鶴屋:「はっはっは!入れ食いさ!
格安の材料で作った下手っぴ焼きそばなのに、こんだけ客が集まるんだから、
もうぼろ儲けだよ!笑いが止まんないね!
あ、あそこが最後尾。並んだ並んだ~。
料金先払いでヨロシクぅ!ちなみにメニューは、焼きそばと水だけだからね。
焼きそば一つ300円!水道水はタダで飲み放題!!」
キョン:「じゃあ、これで」
鶴屋:「えーっと3人だよね?
じゃあ全部で・・・500円でいいや!大サービス!」
(鶴屋の手の上に小銭を置く)
鶴屋:「そいじゃあ、ちょろっと待ってて!すぐに順番回ってくるからさ!」
国木田:「・・・すごいテンションだね」
谷口:「あの人もお前と涼宮の一味なのか?」
キョン:「いいや」
谷口:「ところで・・・つり銭ちゃんと分けろよっ」
キョン:「・・・するどい」
キョン:鶴屋さんの言うちょろーん♪というのは約30分程だったらしく、
ずいぶん待たされてようやく店内にたどり着いた。
鶴屋:「さぁ!・・・水3丁!」
みくる:「は~い。・・・あ!いらっしゃいませ~」
谷口:「キターーーーー!!」
キョン:百万ドルの夜景もビックリな、まばゆい極上ウェイトレスの登場だ。
部室で見るのとはまた別の輝きがある。
みくる:「ようこそ。ご来店ありがとうございますv えっと・・・」
谷口(&国木田):「谷口です!(国木田です!)」
みくる:「ふふっ。映画の時はどうも~」
キョン:なるほど。(壁の張り紙を見て)
写真撮影なんて許したらえらい騒ぎだろう。
グッドデザイン賞を差し上げたくなるほどの衣装だ。
それをティーンズファッション誌の表紙を飾りそうな二人が着こなしているんだから、
壮観ここに極まれりだぜ。
みくる:「少々お待ちくださ~い」
鶴屋:「みくるは食券の渡し役なのさ。
あとは皿下げる役と、水注ぐ役ね。
焼きそば持たせたら、蹴躓いてひっくり返しそうだしさ!」
キョン:さすが、よくわかっていらっしゃる。
結局、早すぎる客の回転に煽られて、
焼きそばをものの5分くらいでかきこんだ俺たちは、
食った気もしないまま店を後にした。
国木田:「これからどうする?僕は、キョンたちが作った映画が見たいなぁ。
自分がどう映ってるかも確認したいしさ」
谷口:「あんなもん、別に見たくもねぇ」
キョン:その意見には同感だが・・・お前に言われると無性に腹が立つ。
谷口:「焼きそばだけじゃ全然足りん。次は、化学部のバーベキューパーティだな」
キョン:「まだ食うのかよ」
谷口:「ただその前に・・・フッ。ナンパしようぜ!ナンパ!!」
国木田:「ナンパ?」
谷口:「私服の女が狙い目だ。
三人ぐらいで固まってる連中に声をかけたら、意外にホイホイついてくる。
俺の経験によって知り得た法則だ!」
キョン:成功率はほぼ0の経験則が何の役に立つんだ。
キョン:「遠慮する。お前ら二人でやってろ」
国木田:「あ、僕もよしとくよ。
一人でやってみて、成功したらその相手の友達でも紹介してよ」
谷口:「あ、なんだよお前ら根性ナシだなぁ!」
キョン:「ま、せいぜい文化祭を楽しめ。・・・普通にな」
キョン:さて、と。どこへ行こうか・・・。
女1:「さっきの見た?」
女2:「見た見た!おかしかったよね!」
キョン:講堂で吹奏楽のコンサート。それから軽音楽部と一般参加のバンドか。
ずーっと座ってられるしな。徹夜明けの疲れた体を休めるにはもってこいだろ。
キョン:「・・・ふわぁ~(あくび)」
(人がぞろぞろと集まり始める)
キョン:「・・・ん?」
放送部員:「続いては、軽音楽部ENOZ(エノッズ)の演奏です」
キョン:・・・・・・・・!!!
男子生徒1:「なに?」
男子生徒2:「何であいつらがあそこに?」
キョン:な、なんだありゃ!?
キョン:なにやってんだ、あの野郎!
キョン:「・・・・」
(ハルヒが周りを確認し、演奏が始まる)
挿入歌:【God Knows・・・】
(次第に盛り上がっていく客)
(演奏終了)
ハルヒ:「・・・ふぅ」
キョン:「・・・」
古泉:「上手いですね、涼宮さん。長門さんもですけど」
キョン:「・・・なんだ、その格好は」
古泉:「急いではせ参じたもので。
・・・生徒会で噂になっていたんですよ。涼宮さんが講堂で何かしでかすらしい、と」
キョン:「それが、これか・・・」
古泉:「ん」
ハルヒ:「えー、みな・・・みなさん。ENOZです。
バンドメンバーの苗字、榎本・中西・岡島・財前、
その頭文字をとってENOZってことらしいんだけど・・・
残念ながら事情があって今日このステージには、榎本さんと中西さんはいません。
あたしとそこの有希は代理で、本当のメンバーじゃないってわけ。ごめんね!
・・・じゃあ、正式なメンバーから紹介するね!
ドラムのミズキ!それから、ベースのマイ!
そして、臨時のメンバー・ギターのユキ!そして、臨時ボーカルがあたし。
ギターはほとんど担いでるだけなんだけど、歌の方も代役が務まっているか、自信ないわ。
初めて楽譜見てから、本番まで一時間しかなかったからぶっつけなの。
・・・そうね、代役なんかじゃなくて本物のギターとボーカルがやってる、
本物の曲が聞きたい人は、あとで言ってきて。
あ、MDかなんか持って来てくれたら無料でダビングするってのはどうかしら?・・・どう?」
マイ:(うなずく)
ハルヒ:「うん、決まりね! ・・・じゃあ、もう一曲。
時間がなくて二曲しか用意出来なかったの。だからこれがラスト。
物足りないかもしれないけど、みんな思いっきり演奏するから聴いてね!
じゃあいきます!『Lost my music』」
挿入歌:【Lost my music】
続