涼宮ハルヒの憂鬱  笹の葉ラプソディ 後編

 

 

配役比率 ♂2:♀3=5名

ハルヒは一言なのでかぶり可です。

 

 

 

 

 

 

 

キョン:「朝比奈さん」

 

(みくるの肩をたたいて起こす)

 

みくる:「みぅ~・・・。ん・・・ん?ひゃっ!

なななな、なんですかココ!

なにが、どうして、今のいつです・・・ひゃあっ!」

 

キョン:「あの・・・」

 

みくる「あ・・・・う・・・え・・・TPDDがありません・・・」

 

キョン:「え?」

 

みくる:「ないよぉ~!・・・うぇぇ~~んっ!」(泣き出す)

 

キョン:「どうしたんです?TPDDってなんですか?」

 

みくる:「禁則に該当しますけどっ・・・

タイムマシンみたいなやつです・・・うっう・・」

 

キョン:「なんで無いんでしょうか?」

 

みくる:「うっぅ・・・わかりませ・・・・

なくなるはずがないのに、なくしちゃった・・・」

 

キョン:「誰か、助けに来てくれたりは・・・」

 

みくる:「ありえません・・・っ」

 

キョン:「つまり、俺たちはどうなるんですか?」

 

みくる:「このままです・・・

私たちは、この3年前の時間平面上に取り残されて・・・

もとの時空に戻れませぇんっ!」

 

キョン:「そりゃ一大事ですねぇ」

 

みくる:「一大事です・・・ひうぅぅ~~~っっ」

 

キョン:しかし俺は、今一つ緊迫感に欠けていた。

TPDDとやらをかすめ取ったのは、おそらく大人の朝比奈さんだ。

あの人はたぶん、そのために過去に来たのだ。

なぜなら、自分がこの時、TPDDをなくすという体験を・・・

 

キョン:「!!」

 

(左ポケットを探り、中にあった紙を取り出す)

 

みくる:「うっぅう・・えぇん・・・」

 

キョン:「・・・・なんとかなるかもしれません」

 

みくる:「えっ??」

 

 

 

 

 

(とあるマンションに訪れ、インターホンの番号を押すキョン)

 

キョン:「・・・長門有希さんのお宅でしょうか?

・・・あー・・・なんと言っていいか、俺にもわからんのだが・・・・・

涼宮ハルヒの知り合いの者だ。って言ったらわかるか?」

 

(マンションの入口ドアが開く)

 

みくる(&キョン):「!」

 

(チャイムを鳴らして、ドアが開く)

 

キョン:「・・・よう。入れてもらっていいか?」

 

 

 

キョン:「俺たちの素性と、ここにいる理由のあらましは以上だ。

で、三年後のお前はこんなものをくれたんだ」

 

(長門からもらった紙を渡す)

 

有希:「・・・・・理解した」

 

キョン:「お前からすれば、

俺たちと出会うのはこれが初めてなんだよな?」

 

有希:「そう。異時間同位体の当該メモリーへアクセス許可申請。

時間年月平面体の可逆性一強情報をダウンロードした。

現時点から3年後の時間平面上に存在する私と、

現時点にいるこの私は同一人物。記憶を共有した」

 

キョン:「どうやって?」

 

有希:「同期した」

 

キョン:「いや、わからんけど・・・」

 

(有希がメガネをはずす)

 

キョン:「!

・・・なんで北高の制服着てんだ?もう入学してるのか?」

 

有希:「してない。今の私は待機モード」

 

キョン:「待機って・・・あと3年近くも待機してるつもりなのか?」

 

有希:「そう」

 

キョン:「そりゃまたえらく気の長い話だな」

 

有希:「役目だから」

 

(紙を置く)

 

有希:「・・・時間を移動する方法は一つではない。

TPDDは時空制御の1デバイスでしかない。不確かで原始的」

 

みくる:「あのぉ・・・それはどういう・・・?」

 

有希:「TPDDを用いた有機生命体には、許容範囲ではあるノイズが発生する。

我々にとってそれは完全なものではない」

 

キョン:「我々ってのは、情報思念体のことか?」

 

みくる:「長門さんは完全な形で時間跳躍できるの?」

 

有希:「形は必要ではない。

同一の情報が行き来できれば十分」

 

(立ち上がり、奥の部屋へ行く有希)

 

キョン(&みくる):「・・・?」

 

 

 

 

(ついていくと、有希が2組の布団を用意している)

 

みくる(&キョン):「ひっ!!」

 

キョン:「まさかとは思うが、ここで寝ろっていうのか?」

 

有希:「そう」

 

キョン:「朝比奈さんと二人で?」

 

有希:「そう」

 

キョン:「!」

 

みくる:「ぁわわ・・・」

 

有希:「寝て」

 

キョン:「単刀直入!?」

 

有希:「寝るだけ」

 

キョン:「まぁ・・・そのつもりではあるが・・・・

あ、くっ・・・!と、言うとおりにするしかないでしょう・・・」

 

みくる:「ええ・・・。

・・・っ!」

 

(電気を消し、ふすまを閉める有希)

 

キョン:「!」

 

(すぐに電気がつく)

 

キョン:「はっ・・・あれ?」

 

(起き上がる二人)

 

キョン:「??」

 

みくる:「えっ!ほんとに!?」

 

キョン:「えっ・・・どうしました?それが、TPDDなんですか?」

 

みくる:「あ、違います。これはただの電波時計です。

よかった、帰ってこれました。

私たちが出発した7月7日の9時半過ぎです。・・・はぁ~」

 

キョン:「・・・どうやったんだ?」

 

有希:「選択時空間内の流体情報を凍結。

着つ時空連続体の該当ポイントを待って凍結を解除した」

 

みくる:「!!時間を止めたってことですか!?」

 

キョン:「は?」

 

みくる:「長門さんは、この部屋ごと時間を止めたんです。3年間。

そして、今日になって時間凍結を解いた・・・のね?」

 

有希:「そう」

 

みくる:「信じられません・・・」

 

キョン:「ということはつまり・・・

お前から初めて宇宙人とかなんとかという話を聞いた時、

隣のこの部屋では、俺と朝比奈さんが寝てたってことか!?」

 

有希:「そう」

 

キョン:「・・・!!

いつも器用な真似ばっかりすると思ってたが、

無敵じゃないか?これって」

 

有希:「そうでもない。

今回のは特別。エマージェンシーモード。

滅多にない。よほどのことがないと・・・」

 

キョン:「・・・」

 

(長門宅を出る二人)

 

キョン:「ありがとよ」

 

有希:「別にいい」

 

(紙を渡す)

 

キョン(&みくる):「?」

 

キョン:「・・・これ、なんて書いてあるか読めるか?」

 

有希:「私はここにいる。そう書いてある」

 

キョン:「・・・ひょっとしてだが、それ、

どっかの宇宙人が使っている言語になってるんじゃないだろうな?」

 

有希:「・・・・・・」

 

キョン:長門は何も答えなかった。

 

 

 

 

 

みくる:「ごめんなさい・・・私、そのぅ・・・

実は、よくわかっていないんです。

私は下っぱ。いえ、末端。いえっ、研修生みたいなものですから・・・」

 

キョン:「その割には、ハルヒの近くにいるようですが・・・」

 

みくる:「だって!

涼宮さんに捕まってしまうなんて、考えてもみなかったもの・・・。

・・・私は上司というか、上の人というか・・・

その人の指令に従って動いているだけなの。

だから自分でも、している事の意味がわからなかったりするんです」

 

キョン:その上司というのは、大人版朝比奈さんではないだろうか。

あの大人バージョンの朝比奈さんは、

俺たちがどうなるか知っていたはずだ。

だが、この今の朝比奈さんには何も教えてやっていないようだ。

でもまぁ、未来人にも未来人なりの規則や法則があるのだろう。

いつか誰かが教えてくれるさ。すべてのオチがつく時に。

 

 

 

 

 

キョン:翌日、つまり7月8日。

俺の意識ではちゃんと翌日なのだが、

肉体的には3年と1日ぶりの登校ということになるらしい。

 

キョン:「!」

 

(教室に入るキョン。窓の外を眺めているハルヒに声をかける)

 

キョン:「どうした?毒キノコでも広い食いしたのか?」

 

ハルヒ:「別に。思い出し憂鬱よ。

七夕の季節は、ちょっと思い出があるのよ」

 

キョン:「・・・・そうかい」

 

 

 

 

 

(部室。キョンと古泉がチェスをしている)

 

キョン:「なぁ長門。

朝比奈さんは、ちゃんと未来人なんだよな?」

 

有希:「そう」

 

キョン:「それにしては、過去や未来を行き来するプロセスに、

つじつまが合ってないような気がするんだが・・・」

 

古泉:「と、おっしゃいますと?」

 

キョン:「以前朝比奈さんは、過去と未来には連続性がないと言っていた。

だが3年前に戻った俺は、

結果としてハルヒに要らぬ知恵をつけてしまって・・・

どうやらその知恵が、ハルヒを北高に呼んだり、

ただの人間じゃない奴らを探させてしまった・・・可能性がある。

・・・過去と未来には明らかな連続性があるんだ。

朝比奈さんの説明と矛盾するだろ?」

 

有希:「無矛盾の効率期集合論は、

自己そのものの無矛盾性を証明できないから」

 

キョン:「・・・お前はそれで説明できたつもりなのかもしれないが・・・」

 

有希:「そのうちわかる」

 

(席に座り、本を読み始める)

 

古泉:「こういうことですよ。

今、僕のキングはあなたのルークによって王手をかけられています。

困りましたね~どこへ逃げましょうか・・・」

 

(キングの駒を胸ポケットに隠す)

 

古泉:「さぁ。

この僕の行動のどこに矛盾があったでしょうか?」

 

キョン:「・・・」

 

古泉:「もっとも、我々の場合、キングに大した値打ちはないのですよ。

より重要性があるのは、あくまでクイーンなのでね」

 

キョン:「ああそうかい。

次に何が起こるかは知らんが、

もっと頭を使わずに済みそうな事が起きて欲しいもんだな」

 

古泉:「無事平穏が一番だと思いますが・・・

あなたは何か起きたほうがいいですか?」

 

キョン:「!

・・・ふんっ!・・・こんにゃろっ」

 

(盤上のクイーンを指で弾く)