ひらかれしもの 第十話  「ブレイク・タイム」

 

 

・飛鳥蛍一(あすか けいいち)♂:17歳。善部町に越してきた高校二年生。

雛菊と同じクラスに転校してくる。

ちょっとヘタレな、ごく普通の男の子。

雛菊と出会い、【詠姫】の詠唱者の一人となる。

 

・音羽雛菊(おとわ ひなぎく)♀:17歳。善部高校二年。クラスではお嬢様を演じ、

家族と蛍一の前でのみ、態度が急変する。

色魔と呼ばれる霊・妖怪を封じる【詠姫】の三代目。

 

・音羽葉桜(おとわ はざくら)♀:16歳。雛菊の妹。善部高校一年。

活発で男っぽい性格で、一人称は「僕」。

詠唱者の第一人者で、雛菊をサポートするしっかり者。

霊力が高く、相手の属性や霊能度を把握する能力がある。

 

・安部月白(あべ つきしろ)♂:27歳。雛菊・葉桜の母親・沙尭の弟。つまり叔父にあたる。

女の人との色恋話が多く、女遊びが激しい。

その言動から、雛菊・葉桜には相手にされないことが多い。

陰陽道に似た技を使い、相手を翻弄する能力を持つ。

詠唱者の一人。

 

・夏目硝子(なつめ しょうこ)♀:16歳。葉桜の親友で、雛菊とは中学からの後輩。

大人しく礼儀正しいが、小心者のため人見知りが激しい。

言霊に霊気を発し、傷の痛みを留める能力を持つ。

詠唱者の一人。

 

・志賀裕也(しが ゆうや)♂:17歳。善部高校二年生。蛍一の友達。ウワサ好きで好奇心旺盛。

 

・北原名子(きたはら なこ)♀:17歳。善部高校二年生。雛菊の友達。

関西弁を話す、元気で活発なムードメーカー的存在。

 

 

配役比率  ♂3:♀3

※硝子と名子は別でもかまいません。 

 

 

 

 

 

 

―夕刻:音羽神社。境内。

 

雛菊:「・・・どーして、こうなるのよ・・・っ!」

 

蛍一:「ご、ごめん」

 

雛菊:「まったくよ!いくらお父さんが決めたこととはいえ・・・」

 

蛍一:「だってしょうがないだろ;  大喬(ひろたか)さんの指示なんだから・・・」

 

雛菊:「信じらんないわ・・・。硝子ちゃんはいいとしても・・・

なんでアンタまで、ウチに泊まりに来るのよっ!!」

 

蛍一:「はは、あはは・・・。ハァ」

 

 

 

 

蛍一K:先日の一件から、みんなの俺への警護が厳しくなった。

力を使ったことが大きく影響していて、最近夜は一人でいることも少なくなった。

そんな今日、両親が一泊二日の温泉旅行に行き、(しかも俺に黙って、だ)

一人残された俺を心配した大喬さんが、「泊まりに来い」と言ってくれたのだ。

まぁ・・・・目の前の彼女を除いての賛成案だったのだが。

 

 

 

 

雛菊:「ハァ・・・ま、いいわ。お父さんには逆らえないしね」

 

蛍一:「ハハ!確かに、それもそうだ」

 

雛菊:「まったく・・・アンタはのん気ね;」

 

 

 

名子:「あ、ちょうどエエところに!お~い、ひなっ!」

 

(境内入り口から声が聞こえ、名子が走り寄ってくる)

 

雛菊:「へっ? き、北原さん?」

 

名子:「こんにちは~。って、今は『こんばんはー』やろか?

ま、エエか、どっちでも。あっはは!」

 

雛菊:「えっと・・・北原さん?あの、なんでうちに・・・」

 

名子:「あんなー!

あたし、ひなのおとんの占いがよく当たるって聞いて、飛んできてん!」

 

蛍一:「そ、そうなんだ・・・」

 

名子:「で、来てみたら飛鳥くんもおるし。

なんや・・・二人、もうお互いの家行き来してる仲なん?」

 

雛菊:「そ、そういうんじゃ・・・!」

 

名子:「もぉ~、隠さんでも、誰にも言ったりせぇへんよ!

・・・で、今日来たのは、その占いに興味があるってのが半分」

 

雛菊:「は、半分?」

 

名子:「そうや♪」

 

蛍一:「残り半分は?」

 

名子:「・・・アレの付き添いや;」

 

雛菊:「あれ・・・?」

 

(名子が指差す方向・境内入り口にまた人の姿が。)

 

裕也:「ここが音羽さんの家かぁ~!!またコレ、立派な神社だなぁー」

 

蛍一:「し、志賀!?」

 

裕也:「おぉ!蛍一っ!

ま、まさか俺より先に来て調査しているなんて・・・

お前、そんなにウチの部に入りたかったのか!!!」

 

蛍一:「・・・は?」

 

名子:「明らかにちゃうやろ;

二人は付き合ぅてるんやから、一緒におっても不思議ないやん」

 

雛菊:「だ、だから違いますってば!」

 

蛍一:「部ってことは・・・お前、何を調べに来たんだ?」

 

雛菊:「(まさか、【詠姫】(よみひめ)のことがバレたんじゃないでしょうね?)」

 

蛍一:「(それはないと思うけど・・・)」

 

裕也:「今回の噂部(うわさぶ)の調査は、この音羽神社の占いのヒミツだ!

今日は北原名子を使って、本当によく当たるのか、証明しようと思って」

 

蛍一:「・・・また、個人的にか?」

 

裕也:「そうそう♪」

 

雛菊:「あの・・・でも、今日は・・・」

 

蛍一:(雛菊も、こう見えて困ってるしなぁ・・・。

お嬢モードONだから、この二人苦手そうだし。

・・・仕方ない。)

 

蛍一:「悪いけどさ、今日、神主さん具合悪くて寝てるらしいんだよ。

俺も占ってもらおうと思ったんだけどさ」

 

雛菊:「え・・・?」

 

(きょとんとする雛菊に目で話をあわせるように、合図する)

 

名子:「え、そうなん、ひな!?」

 

雛菊:「え、その・・・ええ、そうなんです」

 

裕也:「んー。それは・・・しょうがない、よなぁ

占い師さんだって、自分の具合は予知できねーもんな;」

 

名子:「なんや、残念やわぁ」

 

蛍一:「また出直してもらえるか?」

 

名子:「そやね。

ほんなら今度は、あたしの結婚相手でも占ってもらおかなー♪」

 

裕也:「一生独身じゃね?」

 

名子:「うっさいわ、ボケ!

ほんなら、また来るわ。お父さんにも、よろしゅうな」

 

雛菊:「は、はい」

 

裕也:「音羽さん、さようなら~」

 

雛菊:「ご、ごきげんよう」

 

(階段を下りて帰り去っていく二人)

 

蛍一:「フゥ・・・行ったか」

 

雛菊:「アスカ・・・なんで」

 

蛍一:「・・・お前、困ってると思ったから」

 

雛菊:「・・・。

・・・お、お礼は言わないわよっ!」

 

蛍一:「・・・ハイハイ」

 

蛍一:(もう少し、素直になれば可愛気もあるんだけどなぁ・・・

ま、そこも雛菊らしい・・・か)

 

 

 

 

 

 

 

―音羽家。

 

(突然、廊下を歩いている蛍一の肩を抱き、現れる月白)

 

月白:「お、蛍一。いいところに」

 

蛍一:「わっ! ・・・なんですか?月白さん」

 

月白:「・・・最近どうよ?姫さんとは」

 

蛍一:「・・・ハイ?」

 

月白:「まぁまぁ、詳しい話は向こうで聞こうか。

・・・お前にはしてやりたいことがあったんだよ」

 

蛍一「は、はい?ちょっと月白さん、俺をひっぱって何を・・・!」

 

月白:「ふふ・・・ちょっとした戯れ(たわむれ)さ」

 

 

 

 

 

葉桜:「・・・あれ。姉さん、何してんの?」

 

雛菊:「ひぁっ!」

 

葉桜:「姉さん?」

 

雛菊:「・・・葉桜。その、アスカ見なかった?」

 

葉桜:「蛍(けい)兄さん?見てないけど」

 

雛菊:「そ、そぅ」

 

雛菊:(やっぱり、借りを作っておくのは癪(しゃく)だしね。

一応、助けてもらったんだから、お礼くらい言ってあげても・・・///

 

葉桜:「僕も一緒に探してあげようか?」

 

雛菊:「そ、そうね。見つけたら、声かけて」

 

葉桜:「ん、わかった」

 

 

 

 

 

 

雛菊:「まったく・・・

もう夜になるってのに、アスカの奴どこに行ってんのかしら!

大体、なんでそんな広くもないこの神社で、人一人見つけられないのよっ」

 

<ガタンッ。ボソボソ・・・>

 

(ふと、近くの部屋で物音と声が聞こえる)

 

雛菊:「・・・?人の声? ・・・この部屋から?」

 

(扉に触れたところで、雛菊の手がとまる)

 

 

 

 

(扉の向こう)

 

蛍一:「・・・くっ、月白さ・・・!待った・・・!」

 

月白:「なんだよ・・・・・もう、ギブアップかい・・・?」

 

蛍一:「ぁっ、ちょ・・・!そこは・・・・っ!」

 

月白:「ここ、いいんだ・・・?・・・じゃあ・・・・ここは?」

 

蛍一:「だ、ダメです・・・・!やめっ・・・・」

 

 

 

 

雛菊:(なっ・・・!!!

何やってるの、この人たちっ!!!/////

え、ちょっと・・・ど、どういうことっ!?なんなのっ!?///

一体これ、なんなのよーーーーーっ!!)

 

葉桜:「姉さん?蛍兄さん見つかった?」

 

雛菊:「葉桜っ!!」

 

葉桜:「ど、どうしたの?ドアの前でへたりこんだりして・・・」

 

雛菊:「こっち来ちゃダメよ!あ、あんたにはまだ早・・・」

 

葉桜:「? 何のこと? その部屋に何があんのさ」

 

雛菊:「い、いいから来ないで――」

 

 

 

 

月白:「ちょっと・・・強くするよ?いい?」

 

蛍一:「もう・・・いいですっ・・・やめて・・・・・こ、こんな・・・っ!」

 

月白:「でも、すごく気持ちよさそうな顔、してるけど・・・?」

 

蛍一:「だって・・・・ぁあっ!」

 

月白:「っ、最近たまってたんだろ・・・?

それを俺が癒してあげるって言ってるんだ・・・」

 

蛍一:「ぅ、あっ・・・・」

 

 

 

 

 

葉桜:「・・・!!!」

 

雛菊:「は、葉桜っ・・・」

 

葉桜:「な・・・・なにやってんの、二人っ!!///

 

雛菊:「だから来ちゃダメって・・・!」

 

葉桜:「月白兄さん・・・女にしか興味ないと思ってたのに・・・!

け、蛍兄さんも、もしかしてそっちの気が・・・!?」

 

雛菊:「どういうことなのか、あたしにもわかんないのよっ///

 

 

 

 

蛍一:「月、白さ・・・・もぅ、これ以上は・・・っ!」

 

月白:「限界?」

 

蛍一:「これじゃ俺・・・もう立てなくなります・・・って、あぁ・・・っ!」

 

月白:「ほら・・・がんばれ」

 

蛍一:「も・・・お、俺は・・・・ああっ!!」

 

 

 

 

硝子:「あれ?お二人とも何してるんですか?」

 

雛菊:「しょ、硝子ちゃん!」

 

葉桜:「(マズイよ姉さん!硝子がこんなの聞いたら、気絶しちゃうって!)」

 

雛菊:「(そんなこと言ったって・・・!)」

 

硝子:「あの・・・お二人とも?」

 

葉桜:「あ~・・・えっと、硝子?

ちょっと、あっち行ってお、お菓子でも食べない?」

 

(どもりながら硝子の肩を押す葉桜)

 

雛菊:「そ、そうそう!いい紅茶があるのよね、うん!」

 

硝子:「うん、あとでね♪

私、この部屋に用事あるんです」

 

葉桜:「えっ!?」

 

(コンコン、とノックをする硝子)

 

硝子:「硝子です。入ります」

 

雛菊:「ちょっと!硝子ちゃん!?」

 

葉桜:(あぁ!禁断の扉が・・・っ!!)

 

<ガチャ・・・>

 

月白:「おや、硝子ちゃん。姫さん達もお揃いで」

 

硝子:「月白さん。大喬おじさまがお呼びです。

自分にも指圧して欲しいんだそうです」

 

葉桜:「へ・・・し、指圧?」

 

月白:「分かったよ。すぐ行くって、伝えてもらえるかな?

それから蛍一、すぐ動いたらダメだよ。また筋肉が固まるからね」

 

蛍一:「わ、わかりましたぁ。

すごく気持ちよかったです、ありがとうございます」

 

葉桜:「指圧って・・・」

 

雛菊:「ただの・・・マッサージ?」

 

蛍一:「・・・? 雛菊?」

 

雛菊:「・・・っ。

ま・・・まぎらわしい声出してるんじゃないわよっ!!」(殴る)

 

蛍一:「ぐはぁあっ!!」

 

葉桜:「あ、はは・・・ははは;」

 

月白:「クス。さて・・・お姫様方は何を想像していたのかねぇ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 続