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2002年にドリームキャストで発売されて以来、いろいろなところで評判だったらしい。プレイしたきっかけも、ネットでの評判。最後の謎で「やられた」と思うらしいとの情報があったため、「最後の謎」を解明すべく注意深く進んだところ、途中であっさりと全貌が見えてしまった…。詳しい話は後述するが、やっぱり歳をとると驚きが少なくなってしまうのだろうか。
しかし、最初の1〜2時間は辛かった。タヌキの着ぐるみを着ていたつぐみ、ハイテンションであまりにも幼すぎるココ、ご都合主義の記憶喪失…。こんなイントロを見て「こんなゲームのどこが面白いんだ?」と正直思った。それでもネットでのレビュー記事を読めば読むほど、「ストーリーが面白い」と書いてあったので、我慢してゲームを続けた。確かに、プレイを進めていけば、面白くはなるのだが、当初は最後まで行ける自信がなかった。
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主人公1:倉成武
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20歳の大学生。まあ、どこにでもいる、ちょっとした偽善が正しいと信じている兄ちゃん。彼のストーリーで進めると、攻略対象になるヒロインは『つぐみ』と『空』。
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主人公2:少年
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16歳。記憶喪失のため、自分がどこの誰だかわからない。この物語の本当のキーマンであり、すべての登場人物と何かしらの接点がある。本名ホクトまたはブリック・ヴィンケル。
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小町つぐみ
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24歳。社交的ゼロで、他者に対して心を閉ざしているキツイ女性。まあ、主人公と接触していくうちに、うち解けていくというのは、普通のヒロインと同じ。但し、キュレイウイルスキャリアで、正確には人間の亜種。倉成武の子供を生み、それがホクトと沙羅というのは、めちゃくちゃ驚いた。
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茜ヶ崎空
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型番(?):LM-RSDS-4913A。LeMUのメインコンピュータ『レミ』が作るAI(人工知能)プログラム。実体はなくRSD(レーザーを使い網膜に直接映像を書き込む方法)を使うことで、人間の目に見えるようになる。まあ、主人公と接触するうちに、AIが恋心が芽生えるというのも、よくある話。後述するが、人工知能に恋が芽生えるプロセスはなかなか面白かった。
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田中優
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本名:田中優美清春香菜。大学一年でで考古学専攻。長い名前だが、私がこのゲームの根底の謎に気づくためのきっかけになった名前だ。行方不明になった、父親を捜すため、LeMUでバイトを始め、今回の事故に巻き込まれる。重い心臓病で余命幾ばくもなく、自分のクローンを妊娠し、出産する。つぐみも大概に苦労人だが、この人の方が苦労人だと思う。結局、幸せになれたのだろうか…。
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松永沙羅
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16歳。鳩鳴館高校2年で篤志貢献奉仕派遣のため、LeMUに来る。スーパーハッカーで赤外線探知能力もある。武とつぐみの娘で、ホクトとは二卵性双生児の兄妹。幼い頃からライプリヒの研究所みたいなところで研究対象になっており、現在も監視が付いているようだ。
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八神ココ
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14歳。にしては、あまりにも幼い。今時の中学2年生があんな行動とるか?あまりにもアホくさかったため、途中で止めようかとも思った。最終的には、ご都合主義的な超能力を持っていることが判明するが、結局なんだったんだろう、この子は。ココ編で、謎がすべて判明するが、『14歳で幼い女の子』である必然性はほとんど無い。対ロリ、対妹属性用に用意されたキャラクターなのだろう。
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●茜ヶ崎空について
人工知能は人を愛せるか…。不確定世界の探偵紳士 Hard core!でも触れたが、いろいろな見解がある、SFの王道の1つだろう。ミント、マルチ、空をそれぞれ比較すると次の様になると思う。
最初から「愛」がプログラム上でインプットされていた『ミント』
ミントは愛というものの存在は当初から知っており、それを探求することも目的としてプログラミングされている。制作者(御剣修一)や管理者(神あやめ)もそれを充分に承知しているため、愛についての教育は充分になされていたと思われる。
人を愛する可能性のみをプログラミングされていた『マルチ』
経験を元に自己のデータベースを更新していくタイプ(と思われる)マルチは、恋心に近い感情がDB上に登録されたとしても、自己矛盾を起こさないように、プログラムされていたのだろう。制作者も『そちらの方が面白いから』という理由であったにせよ、「人を愛する可能性」をも含んでいることは重々承知だったようだ。非常に柔軟性に富んだプログラムだ。
自己の思考をアップデートしていく『空』
もともと、ある程度の思考プロセス(プライオリティ決定権)を自分で決定できるプログラムを装備している空は、上の二人よりも人間の思考に近いといえるだろう。武との接触で新しい自分の可能性を感じた空は、「恋ができるプログラム」を自分で作り始める。最も、制作者側は、こんな空の行動は予定外だったため、思考ノイズとして扱う…。まあ、LeMUのガイドAIには不要な感情だから、当然か…。
実は、制作者の能力を超える可能性を持つAIは空だけだ。ミント、マルチ共にある程度のカオス的な計算を行っているだろうが、自分の思考プロセスまで書き換える機能は持っていなさそうだ(ゲーム内での説明と私の想像による)。恋をすることを義務づけられたミント、恋をしちゃったマルチ、自分で恋をしたいと望んだ空。人工知能の恋(愛)へのアプローチの仕方は、いろいろあるんだな。今後もこの問題は、いろいろと考え行きたい。まあ、思考ゲームの一環にしか過ぎないけどね。
人工知能:茜ヶ崎空にはもう一つの大きな特徴がある。コイツ、人間を脅迫しやがる(空編ラスト)ことを考えると、ロボット三原則がインプットされていない。自己思考のアップデート可能なプログラムで、ロボット三原則がインプットされていないのは、めちゃ危険。この世界、ゆくゆくは『ターミネーター』か『マトリックス』的な未来が待っているような気がする…。
ロボット工学三原則
第1条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第2条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。
第3条
ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
●4次元ついて私的見解
3次元を知覚するには、4次元的存在でなければならない。うん、確かにこれは正しい。しかし、この4次元がミンコフスキー時空となると、話は別だ。だって、『x軸、y軸、z軸、ct軸が独立している』とする4次元「時空」思想がミンコフスキー時空であって、『x軸、y軸、z軸、w軸が独立している空間』の4次元「空間」とは全然違うのだ。「3次元を知覚するには、4次元的存在でなければならない」これは4次元「空間」の話で、4軸がユークリッド幾何学に沿って存在しうることが大前提。3軸のみがユークリッド幾何学に沿っている4次元時空では、この命題は成立しない(と思う)。すなわち、「3次元空間を知覚できる知性体」⇔「4次元時空に存在している知性体」というのは、少なくとも成立しないハズである。なので、空の説明は非常にトンチンカンな感じを受けた。
3番目の目を持ち、虚数時間の存在が当たり前である「4次元空間人」がタイムトラベルができる、というくらいならSFだし、甘受しよう。最も、タイムトラベルができることと、虚数時間(=虚数空間)が存在することとは全然違うと思うけどね。なぜかというと、タイムトラベルという発想自体が、時間は連続しているもの、すなわちユークリッド幾何学の時間への応用だ。しかし、虚数というものは、ユークリッド幾何学の範疇外の存在なため、虚数をユークリッド幾何学的議論の上に持ってくること自体、非常に無理があるのだ。なので、虚数時間が存在する(=ミンコフスキー時空)からといって、タイムトラベルができるかどうかは全くの別問題なのだ。
こう考えてみると、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』における、時間の考え方って非常に面白い。プレイヤーが複数ヒロインを攻略すること、その攻略手順が前回と異なってしまう矛盾、パラレルワールドは存在するもののプレイヤーには知覚ができないということ、タイムパラドックス…。すべて、説明が付いてしまっている。一方、『Ever17』では、ココ編における武の最期は、あくまでもつぐみ編をたたき台にしたもの。それでは、空編の武(パラレルワールドね)は一体なんだったの?となってしまう。ここまでシビアに世界観を構築しているのだから、YU-NOのように些末なところまで説明をしてもらいたかった。
●謎について
最後にどんでん返しがある、とわかっている以上、謎について考えるのも遊び方の1つ。ということで、ゲーム開始当初から、この謎について、いろいろと考えていた。ただ、SF的なご都合主義がどこまで許されるのか?というのは、結局ゲーム制作者にゆだねられているのだから、最終的な正解なんて分かる訳ないんだよね。だって、名探偵コナンあたりで、密室殺人が起きたとしても、誰も超能力による殺人だとは思わないし、もしそうだったら避難囂々だしね。すなわち、名探偵コナンの世界観では、超能力殺人は絶対に認められていないんだけど、SFをベースにした『Ever17』では最終的には何でもありなんだよね。ココと少年(ホクト/ブリック・ヴィンケル)がコンタクトとれることなんて、なんの説明も無かったから、唐突感ありあり。それってご都合主義(広げた風呂敷が畳めなくなってしまったため)じゃないの?と疑ってしまう。それなりに世界観を構築しようとしているのだから、こういうご都合主義(だと疑われる要素)は、マイナスポイントだ。
私は、つぐみ編→空編→優編→沙羅編→ココ編という順番でクリアした。そして、優編で私が考えた事柄は以下の通り。
気づいたこと
○武視点の少年と少年視点の少年のキャラがずいぶんと違う。
○少年視点の武は何かを捜していた(武視点での行動とは異なる)。
○武視点の武は二編ともつぐみからキュレイウイルスをもらっていてもおかしくない
○優の名前が違う
○少年視点の少年に年号を教えたのは武だけ。
○生存者数は、5じゃないの?(空は生存者じゃないから)
なんの根拠もなかったけど、何となく思いついた仮説
○秋香奈は春香奈の娘?
上記仮説を基に物語りを構築し直すと
○少年視点は武視点の数年後である。
○つぐみがそのままなのは、キュレイウイルス持ちだから。
○武がそのままなのも、つぐみ編/空編でキュレイウイルスに感染したから
○武視点の少年と少年視点の少年は同一人物で、タイムトラベルしてきている。
○あるいは、武視点の少年の記憶を何らかの処置によって埋め込まれている。
○沙羅とココが入れ替わっているのは、時間が異なるので当たり前。
○少年視点で出てくる空は、武視点時で持ち帰ったディスクを基に作り直されている。
○上と同様に、ココは少年視点の少年だけを対象にしたRSDであり、誰かが少年だけに真実を伝えたいと思った産物である。
○上の誰かとは、武視点終了後にメインコンピュータに細工をできる人間であり、すべてを知る人間。
○少年視点の少年に「何か」を思い出させることがこの事件の根本である
こう考えていくと、説明できることが多かったので、基本的な路線はこれにした。しかし、この考えでは以下の謎がどうしても解けなかった。
○武とつぐみがよそよそしいのはなぜ?
○なぜ、武は少年にウソの年号を教える必要があった?
○そもそも、少年視点の少年、武視点の少年ってなにもの?
○生存者数の数。
どう?結構、真相を付いているでしょ?少年視点のココ=RSDなんて、実際のストーリーよりも良いアイデアだと思うけど…。とはいえ、実際は微妙にずれているんだけどね。ところで、生存者数の6って、結局誰だったの?あと、エンディング時で出てくる生存者数1って誰だったの?この件は、2ちゃんねるあたりでも、いろいろと言われているようだけど、その中で笑ったのがコレ。
##2017……マグロ生存中のため生体反応6
##2034……マグロ冷凍中のため生体反応5
##前から言われている通り、マグロで説明がつきm
どうせ、よくわかんないから、この説でイイや。
(記:2003年11月25日)
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