Special Paperbacked Essays, Vol.56 バンドは見かけによらず - Good songs was presented by good band -
最近のテレビではよく、
「懐かしのあの人は今!?」
などと銘打った番組をよく見かける。
ところがたまにならまだしも、そんな趣旨の番組が一年間に何回も放送されては、懐かしくもくそもないではないかと思ってしまうのだが、まあそこは何回観ても、
「おお、そういえばこの人今なにやってんだったっけ?」
とか、
「うわっ、この人前回よりもさらに変わっちゃった!」
などと、毎回感動することもあるのである意味仕方ないかもしれないのである。
ところで、そんな番組に毎回と行っても過言ではないほど登場する「懐かしの人」の中に、「アラジン」というバンドがいるのをご存知であろうか。
その昔毎年、
「世界歌謡祭」
というのがあって、アラジンはそこでグランプリをとったバンドなのであるが、世界歌謡祭では古くは、
「世良公則とツイスト(受賞曲”あんたのバラ−ド”)」
や、
「円広志(同”夢想花”)」
「伊丹哲也&side by side(同”街が泣いてた”)」
「クリスタル・キング(同”大都会”)」
「中島みゆき(同”悪女”)」
など、そうそうたるア−ティストたちがグランプリに輝いている。まあ、なぜか世界歌謡祭なのにグランプリは毎年日本人がとるのであるが、そこは詮索しないでおこう。
どの受賞者たちも名曲を披露し、受賞後輝かしい活躍もしたが、そんな中で最も異彩を放ったグランプリ受賞バンドが、
「アラジン」
なのである。
なぜか。それは、彼らが一見、
「ギャグバンド」
らしく登場し、衣装も踊りも歌詞もふざけた内容だったためである。
ご存知の方も多いと思うが、受賞曲である
「完全無欠のロックンロ−ラ−」
の歌詞を掲載してみることにする。
* 「完全無欠のロックンロ−ラ−」
作詞・作曲 高原茂仁
朝も早よから髪の乱れをせっせとせっせと整える
ポマ−ドべっちょりク−ルでばっちりAちゃんになりすます
俺に女はいらないぜ(ふられふられた何百人)
俺はス−パ−スタ−・ロックンロ−ラ−
完全無欠のロックンロ−ラ−(あたいら女にムシされて)
ロックンロ−ルで生きてゆく バカにするなやツッパリねえちゃん
ツッパッテ(ツッパッテ) ツッパッテ(ツッパッテ)
なあ皆 オレってバリバリか?
* とまあ一番だけでもこんな感じであるので、二番は推して知るべしである。しかもイントロでのセリフが、
「なあ皆、オレってBIG?」
とくりゃガクッときても不思議ではない。
しかしながらこの曲こそが紛れもなく世界歌謡祭におけるグランプリ受賞曲なのである。言うまでもなく世界歌謡祭というからには世界各国から若手バンドが多数エントリ−している中での受賞である。
当時(今でも)多くの人々が、
「なんだこりゃ?」
とか、
「こんなんでグランプリ?」
などと辛辣な批評をしたと聞く。加えてあのふざけた衣装と踊りである。無理もないというものである。
* ところで。
本当に彼らはギャグや運だけで受賞したのだろうか。そんなんであまたのプロやアマチュアが参加した中で勢いやインパクトだけで受賞できるものだろうか。
答えは否である。彼らはああ見えても実力派バンドだったのである。ギャグりながらその裏で高度なテクニックを駆使し、ビジュアルにも訴えるパフォ−マンス。
そしてそんな演奏スタイルは後にあの、
「米米クラブ」
にも大きな影響を与えているのである(たぶん・・・)。
その証拠にヴォ−カルの高原氏は後にシングル化された前述の「完全無欠・・・」のB面に、
「道化師」
という曲を書いているが、これが涙モノのバラ−ドなのである。
* 「道化師」
作詞・作曲 高原茂仁
秋のにおい あまりにも淋しいのはなぜ
僕が君を思う分だけ枯れ葉が舞うから
君と会い君を知り愛がふくらんで
悲しいくらい君が好きなことわかってほしい
いつでも君の前ではおどけてみせる
もし君のこと好きといっても
きっと笑い流してしまうだろう
だって僕は君のための道化師
* 「完全無欠・・・」とは全く打って変わって歌詞もシリアスなものに仕上がっており、しっとりとしたピアノとストリングスに乗せて高原氏が別人のように歌い上げる悲しみの曲である。この曲がオリコンチャ−トのどこまでいったかは知らないし、今では入手困難な曲だと思う(調べちゃいないけど(笑))が、もし聞ける機会があるならば聞いてみて欲しい。ちなみに「少年」は当時のカセットテ−プを持っているのである。ムフフ。
というわけで今回の話は音楽的に何かを成し遂げた人にはそれなりの理由と力があるのだ、ということである。決してふざけてプレイしているわけではなく、それなりの計算と実力に裏付けられたモノを世に送り出している。それはアラジンしかり、米米クラブしかり・・・そのことをまさにアラジンは「道化師」で如実に現している。まさに
「道化師の素顔はまた別人」
といったところであろうか。
ふむ、今回は秋にちなんで感慨深い話であった。
って、気付いた人もいるかもしれないが、実は単に「道化師」の歌詞の出だしを聴き。秋を感じて発想を広げただけなのである(笑)。
Published 2003.9.30
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