Special Paperbacked Essays, Vol.50

macspin2

 

乗るなら寝台特急

- Let`s traveling with Blue Train -

 

 ぼくは寝台特急が好きである。例えばぼくの住んでいる広島から東京辺りまで旅行をする場合に利用する交通機関は何だと聞かれると、ぼくの場合は即座に寝台特急なのである。もちろん大抵の場合なら新幹線を使うのだが、時間に余裕のあるとき、もしくは東京での用事が朝早くのときなどは、前日の夜から出発する寝台特急が便利かつ快適なのである。

 ところで、もともと寝台特急に乗りはじめたのには前述のような理由によるからなのだが、もともと飛行機が嫌いだからでもある。

 なぜ飛行機が嫌いかといえば、飛行機は落ちるからである。正確にいえば落ちる可能性があるからで、だいたいが、

「鉄やジュラルミンでできた物体が空を飛ぶはずがないッ。落ちて当たり前なのだッ」

 的理論信奉者であるぼくであったから、例の日航機墜落事故の、あの見るも無残な光景をTV映像で見たときにも、余計に飛行機嫌いが増幅されたものである。

 もっとも理由はそれだけではなく、ぼくが小学校の時に大阪から広島まで乗ったYS-11というプロペラ式のオンボロ飛行機が、たまたまその日の気候の関係で大揺れに揺れて気持ちが悪くなり、ゲロ吐きそうになったせいもある。事実、周囲を見渡しても例のゲロ袋に向かって吐いている人が複数いたのを覚えている。それ以来子供心にも、

「揺れたあげくゲロ吐いて墜落すんのか・・・」

 という恐怖心を植え付けたのかもしれない。

 ともかくそんなわけで、ぼくは陸路の王者鉄道の、しかも最もゴージャスな旅の一つであるブルートレインは好きなのである。

*

 広島市の中心駅である広島駅に停車する上り(東京)方面の寝台特急列車は、「あさかぜ」、「はやぶさ」、「富士」などがあるが、どれも装備的には遜色なく、シャワール−ムやラウンジル−ム付きのコンパートメントである。

 寝台特急というと、イコ−ル夜行列車となり、大昔の2〜3段ベッド、通称蚕寝床を連想する方も多いと思うが、最近では2段ベッドが主流でさまざまな工夫がなされていて、上になろうが下になろうが実に快適な睡眠がとれる。

 少し贅沢をしたければ、料金をちょっと奮発し、少し前に予約すれば個室がとれる場合がある(個室は人気が高いらしいのである)。だがこの個室がまた快適なのである。個室の仕様はJRの分厚い時刻表に図で解説されているので見てもらえばよいのだが、これまた実に快適な造りになっていて、走る書斎とでもいうべき空間が演出されているのである。

 ちなみにぼくがよく利用する特急「あさかぜ」号は夜8時頃広島駅を発車し翌朝7時半頃東京駅に着くのだが、この「あさかぜ」号のB個室ならば、広島駅から乗り込んで岡山駅に着く夜10時頃までの間に、ベッドに腰掛けて本を読んだり、窓の外を走る夜景を見ながらウイスキーとスルメで一杯・・・など十分旅情を満喫できるのである。

 また数年前に上野−札幌間を走る超豪華寝台特急「北斗星」号に乗ったときなどは、朝方目が覚めるとすでに本州・青森から北海道に入っていて、見渡す限りのトウモロコシ畑があたり一面朝日に光っていて最高に感動したものである。このような感動は決して飛行機では味わえないものである。

*

 最近では飛行機が安くなり、東京1泊1食のホテル付きの往復航空券でも広島−東京往復寝台特急料金よりも安くなっているので、ますます寝台特急を利用する人は少なくなるかもしれない。

 だがしかし、旅の本来の目的を少し横に置いといて、旅情を楽しむのであれば寝台特急に勝るものはないと思うのである。広島−東京間で乗車している約12時間弱の間、自分一人の空間を味わいながらの旅もまた格別なものなのである。 乗るならやっぱ寝台特急なのである。

  

Published 2002.1.10

  

 

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