Special Paperbacked Essays, Vol.26

macspin2

 

内証の話だそ

- Take you into my confidence, don't say around-

 

 

 今回のお話は短いんだけど、ちとヤバい話である。

 いや、何もぼく自身がヤバいのではない(ほ、本当である)。ヤバいのはぼくではなく、ぼくの友人なのである。つまり、ぼくの友人がヤバいというお話なのである。

 何がどうヤバいのかって、これはもうれっきとした犯罪行為である。要するに大いに刑法に抵触する行為を、ぼくの友人は犯してしまったのである。

 ん? そんな話をここでしてもいいのかって? いいわけないじゃん。でも、もう時効だろうから話しちゃう。

 今回のお話は、何を隠そう、ドラッグ。でもアメリカじゃ認められてる州もあるっていうくらいポピュラーで軽いやつ、「マリファナ」(大麻)である。

*

 今から15年くらい前、ぼくがまだタバコをバクバク吸ってた頃である(ん? 年がバレちゃう?)。

 当時僕らがよく通っていた店の一つに、「G」という店があった。

 ある夜、ぼくと友人がほろ酔い気分で「G」の前につくと、一人の男性が道ばたでゲロゲロ吐いていた(と、いきなりまたしてもゲロネタですいません)。

 その吐き方たるや、尋常ではなく、酔って気持ちが悪くて吐いてるのではなく、なんだか体の奥底から湧き出るようにドボドボと吐いているのだ。

 やがて男はひとしきり吐いてしまうと、

「ふう」

 と一息ついてから、ふらふらしながら「G」に入っていった。

 顔を見合わせながらも、ぼくらは男のあとに続いて「G」に入った。

 すると、さきほどの男は、グラスが置かれているカウンターの前に座っているではないか。どうやら、さっきまで男はそこに座っていたらしい。とすると、途中で気分が悪くなって道ばたに出たということなのだろう。吐くなら店のトイレで吐けばいいのに、なんちゅうやっちゃ、とぼくらはいぶかしんだ。そしてぼくらも男と距離を置いて座った。

 カウンターに戻った男は目の前にあった米軍用らしき緑色のジッポを掴むと、ポケットから紙包みを取り出した。

「今度はちゃんとやっからさあ」

 少しろれつの廻らない様子で、男は紙包みを開けていく。どうやら、その会話から男は何かをやろうとして失敗して気分を悪くしたものの、今また再度試みようとしてるらしかった。

「やめとけって」

「G」のマスターが言った。

「大丈夫だから」

「他のお客さんが見てるんだ」

「大丈夫だよ、な?」

「・・・」

 男はぼくらに愛想の言い笑顔を作って見せたが、その目の輝きは少し違っていた。

 そして、男はそれ以上ぼくらを気にするでもなく自分のタバコをとりだし、フィルターをちぎり取ると中の葉っぱを灰皿に全部出した。そして先ほどの紙包みを開け、中からこれまたタバコの葉(のようなもの)を一つかみ、二つかみ取り出して先ほどのタバコの巻紙に置いて器用にくるむと、それは一つの両切りタバコに仕上がった。男は満足そうにほほ笑み、米軍用らしきジッポで火をつけ大きく吸い込んだのだ。

 巧そうに煙を吐き出すと、男は満足そうに宙を見上げた。

「クスリだ・・」

 ぼくらはすぐに気づき、こりゃ今夜はとんでもないトコに来たなあ、と顔を見合わせた。

 すると一緒にいた友人が小声で、

「・・おい、こりゃいい機会じゃないか?」

 と言うのである。

「え・・・」

「あれ、グラス(Grass=草=大麻)だろ? 一つわけてもらえないかなあ」

「な、な、なにをいうんだ」

 ぼくは突然の光景と友人の申し出に驚いてしまったのである。

「だってこんな機会、まずないだろ」

「あ、あほか、やめろって」

「ねえ、マスター」

 友人はマスターを呼ぶと、男の素性について訊ねた。

「あの人、何やってる人?」

「・・・さあ」

「もしよかったら、アレ、一つやらしてもらえないかなあ」

「・・・」

 正直な話、ぼくはこの時点でかなりビビってしまい、

「うううっ、これはヤバイッ、これ以上この場にいては良からぬコトが起きる気がするっ!」

 と、もう帰りたくなっていたのである。

 しかし、ぼくの友人はそういうぼくをしり目に、自らその男に近づき、自分が怪しい人間でないことを告げたうえで、男の持っている「タバコもどき」を分けてもらって口にしてしまったのである。

 もちろん、ぼくは口にどころか手にもしていない。

 そして、その後の友人は・・・。

 直後の友人はご機嫌であった。

 しかし、数秒も経たないうちに、

「ウグッ!」

 と嗚咽したが早いか、一目散に口を押さえて店外へ飛び出していった。

「エロエロエロ〜」

 友人は、一気に吐いていた。まるで、ぼくらが「G」に入る前のあの男のように。

 この一連の症状の訳をあとで聞くと、たいてい初めて、あるいは一気にアレを吸うと原因はよくわからないが、急激な吐き気や目まいで倒れたり吐いたりするらしく、だからこそあの男が店の中でアレをやって気分が悪くなり店を飛び出して道端に吐いていたらしいのだ。

 やがて、戻ってきた友人は見るからにトロンとなってしまい、あとは何を聞いても上の空である。ぼくはやっぱり恐ろしくなってしまい、それからしばらくたってマスターにお金を払うとさっさと店を出て帰ってしまったのである(つ、冷たい)。

 その後友人がどうなったかというと、彼はその後ある事情で東京に引っ越していったのであるが、風の噂では渋谷辺りで新手の違法なクスリを使ったとかで逮捕されたそうだ。そのクスリが何なのか、あるいはあの時の大麻が原因または余罪として追及されたかどうかはわからない。

 そして、その後の彼の動向も・・・・。

*

 今回の話はこれで終わりだが、読者諸君はドラッグを決してヤッてはいけない。

 一度だけのつもりが決してそれでは終わらないだろうし、何よりすぐにパクられちゃうから、そのことによって失うもの・・・地位や財産は計り知れない。

 ぼくは今ではタバコもやめてしまったが、タバコも言い様によっては麻薬である(実際やめづらい、やめられなくなるというところは一種の麻薬だと思う)。

 おっと、もし次回の更新ができていない場合は、このお話をしたがためにぼくもこの事件の参考人としてパクられたからだと思ってちょ〜だい(でもぼくはヤってないし、この話だって時効だろうけどねえ・・・でも、こういう犯罪の時効って何年なんだろ?)。

 

 

Published 2000.10.10

 

  

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