Special Paperbacked Essays, Vol.52 サンダ−バ−ドにハマらなきゃ - We would like to call so,"Thunderbirds are go!" -
「サンダ−バ−ド」
と聞いて何を思い浮かべるであろうか。
サンダ−バ−ドといえば、JRの特急列車であるサンダ−バ−ド、車のフォ−ド・サンダ−バ−ド、バイクのトライアンフ・サンダ−バ−ド、ギタ−のギブソン・サンダ−バ−ド、パチンコ機器のCRサンダ−バ−ド、CPUでいうところのサンダ−バ−ド新アスロン、などなど結構多岐なジャンルに渡る名前ではあるが、
「むっ、サンダ−バ−ド? サンダ−バ−ドといえば、昭和40年代にTVで流行ったサンダ−バ−ドのことかっ?」
とピンときた人は、かなりのツウである。と同時にかなり古い人でもある。
そう、ぼくらの世代にとってサンダ−バ−ドといえば、前述の車や特急列車などではなく、
「ぼくがまだ子供の頃に夢中になったTV人形劇のサンダ−バ−ド」
のことなのである(こう書けばぼくの年齢がわかるかもしれないが)。
あるいは、
「1号、2号」
という言葉を聞いて何を連想するかといえば、最近の子供たちは、
「ああ、ロンドンブ−ツのこと?」
と恥ずかしげもなく答えるのかもしれないが、ぼくらの世代にとって1号、2号といえば、TVで無芸さを惜しげもなく披露するそのようなアホなコメディアンたちのことではなく(ファンの方すみません)、
「サンダ−バ−ド1号、2号」
のことを指すのであり、ぼくたちが1号、2号という言葉をふと耳にすれば、たちどころに、
「うむっ、1号、2号の出動? また世界のどこかで事件がッ!?」
などと連想してしまうほど、我々の世代にとってサンダ−バ−ドの印象と記憶は大きく、そして深い。つまり、それほどぼくらは幼少の頃にサンダ−バ−ドにハマったのであるが、逆にぼくは今、現在の子供たちが、ぼくらがサンダ−バ−ドにハマったくらいにハマる番組に出会えているか不安だし、とても危惧しているのである。
* サンダ−バ−ドを知らない世代のために一応簡単に説明しておくと、サンダ−バ−ドとは、大富豪であるジェフ・トレイシ−とその息子達が結成する私的救助機構・通称、
「国際救助隊」
の活躍を描いたイギリスの人形劇のことである。
ジェフ・トレイシ−は世界の南方のどこかにある小さな孤島に彼の一家と国際救助隊」のスタッフだけで暮らしている。そしてサンダ−バ−ド1号、2号とは「国際救助隊」が出動・任務のために使う乗用ジェットシャトル機の呼称であり、1号から5号まである。その島にサンダ−バ−ド1号から4号がおり、そして各種レ−ダ−やさまざまな装置を備え付けた5号は、宇宙ステ−ションでとして地球の平和を監視している。その5機に乗り込むのがトレイシ−一家の5人兄弟というわけである。
さらに、サンダ−バ−ド1号から5号までの役割をぼくなりに説明してみよう。
スピ−ドは世界最速を誇るサンダ−バ−ド1号に乗り込むのは長男であるスコット。世界のどこかで事件や事故が起こったという一報が入ったらすぐに出動し、現場にて救助活動の指揮監督を行う。
その躯体の中心部に着脱可能なコンテナを持ち、現場でさまざまな活動や作業を行う機器や機材を搬送する役目を持つサンダ−バ−ド2号には、次男のバ−ジル。顔デカのせいか長男のスコットよりも老けて見えるのが印象的だが、いろんな機械を操り、救助活動の最前線に立つ。休日には絵を描くなどの意外な一面も持っている。
サンダ−バ−ド3号に乗り込むのは末っ子である五男のアランだが、この3号は宇宙ステ−ションであるサンダ−バ−ド5号との連携用(3号はサンダ−バ−ド5号にドッキング可能なボディ構造)であるため、地球上では仕事ができる設計にはなっていない。にもまして、アランは元レ−サ−で派手好きな性格のため、自らさまざまなトラブルに巻き込まれる事が多く、ぼくは子供心にも、
「アランさえいなければサンダ−バ−ドは危ない目にあわないで済んだのに・・・アランなんかキライだ、足手まといだあ」
と邪魔者扱いした記憶がある。
サンダ−バ−ド4号は2号のコンテナから主導する水中活動機。運転するのは四男のゴ−ドンで、彼は以前にも水難活動をしていたことがあるとか。しかし、陸上の救助活動ではほとんど目立った活動はない。だから必然的にぼくのゴ−ドンに対する印象も薄い。かろうじて金髪を七三に分けた髪形だったのだけは覚えている。
前述の宇宙ステ−ションである5号には三男のジョン。世界中に張り巡らしたレ−ダ−と情報網から救難信号の受信や情報提供を行う。これまためったに出演することはなく、印象の薄いヤツなのである。
このほか、諜報部員としてジェフ・トレイシ−の姪っ子で妖艶なペネロ−プ、各シャトルの開発・保守にはブレインズという天才科学者なども島にいて、救助活動の一翼を担っている。
* ともかくサンダ−バ−ドは単なる人形劇の枠を越えた壮大なスケ−ルのスト−リ−と子供たちの心を魅了する機械の数々によって、一世を風靡したのである。
例えば、スコットやバ−ジルが出動するシ−ンは事件発生の都度毎回放映されているのだが、例えばバ−ジルの場合は、まずリビングの絵画の横あたりの取っ手を持つと後ろの壁が倒れ、バ−ジルは逆さになったまま家の地下にある格納庫を経てサンダ−バ−ド2号のコクピットに落ちて(降りて?)いくのである。途中自動的に体の向きを変えたり、いつの間にか救助服に着替えていたりと、後から考えれば実に無駄な動きと不自然な描写が多いのであるが、そこは子供たちのこと、
「うおお、いよいよ2号の出動だあ。わくわくするなあ」
とTVにかじりついていたのである。揚げ句の果ては親に頼み込んで買ってもらったサンダ−バ−ドのプラモデルを家中持って走り回ったりしたものである。
さらにいえば、イギリス番組であるため英語が随所にかかれているのだが、小学生のことであるから、この意味がよくわからない。例えば、彼らが出動したときには救助服に着替えているのだが、その胸元に、
「IR」
と書かれたバッジが付けられている。この「IR」が何を意味するのか、当時のぼくらは全くわからず、
「多分、各自の名前のことだろう」
などと勝手に解釈していたが、中には子供のくせに理路整然とした友達もいて、
「それにしちゃあ何で全員が『IR』なんだ?」
といちゃもんをつける奴もいたりして子供心に困惑した記憶もある(ちなみに『IR』とは、よく考えれば当たり前だが『International Rescue(=国際救助隊)』の略である)。
それとか、サンダ−バ−ド1号から5号までの各機には、胴体や翼の目立たないところなどに、
「TB」
と書かれている。「TB」が何を意味するのか、当時のぼくらは全くわからず、
「多分、各機の型番のことだろう」
などと勝手に解釈していたが、先程の理路整然とした友達などはこれまた、
「それにしちゃあ何で1号から5号まで全部が『TB』なんだ?」
といちゃもんをつける奴もいたりして子供心に非常に困惑した記憶もある(ちなみに『TB』とは、よく考えれば当たり前だが『Thunder Bird』の略である)。
* なにはともあれ、このように夢中になれるTV番組が無くなって久しいとぼくは感じているのである。「サンダ−バ−ド」なんかは現在の大人でも十分夢中になれる代物だと思うのである。今の子供たちも「サンダ−バ−ド」を見ればきっとハマだろうが、今現在彼らはいったいどんなTV番組に夢中なのであろうか。そしてそれらは大人たちが見てもでもハマル代物であろうか。おそらくはそうではあるまい。
いや、もしかしたら今のTV番組に大人たちがハマらない、ハマれないのはその番組のせいではなく、大人たちの心の受け止め方が原因なのかもしれない。その辺もぼくは悩むところなのである。
Published 2002.2.10
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