5.リニアファジィ推論法
5−1.はじめに
 我々が過去から継承してきた制御手法は、数式理論を基にその教育を受け実現されてきました。現代実用制御の殆どは「比例」、「積分」、「微分」で求められる演算結果を元にしたPID制御が主に使用されている事からも数式理論万能の感があります。その起源は1700年代に始まり、1868年に制御理論が確立されたと言われています。
 しかし、人間自身の挙動をよく観察すると、必ずしも数式理論に依存しているわけではなく、その人自身が過去に培った経験や、勘、コツに基づくかなり曖昧な複数の情報判断が使用され、その事が柔軟性や適応性に優れているため、色々な物を調節し、コントロ−ルしている事に気が付くはずです。
 一つの例として、自動車の運転を考えると通常我々は主に視覚情報により、車間距離、道路状況、車速、バックミラ−情報をセンサ情報として総合判断し、アクチエ−タであるハンドル、アクセル、ブレ−キを操作しており、この場合センサとアクチエ−タの間の関係に数式理論を用いる事無く車の運転を行っており、いずれの判断もかなりファジィな情報を扱い、決して数式を用い計算されたものでは有りません。
 このことからも実際の制御への応用は、種々のセンサ情報をオペレ−タが判断し、操作量を決定しているその内容そのままを、ファジィシステムとして構築し、ル−ルとして使用すれば、新しく制御方程式を考える事無く、ベテランオペレ−タと同様の制御がフルファジィ制御で実現可能と成ったり、どうしてもオペレ−タの介入が必要であった従来の制御にもファジィを付加すれば応用可能となります。
 ファジィ制御は従来の制御手法を否定するのではなく、従来の手法でうまく行かない(制御対象の数式モデルの導出が困難であったり、数式モデルの導出に多大な時間と経費が必要であるとか、非線形な制御対象である)場合に最もその効果が発揮されます。この事は従来自動化が難しく人手に頼りがちな場合とか、PID制御を使用しながらその一部に人間が介在する必要が有る場合とか、従来技術に溺れていると気がつかない課題が多数身の回りに存在するものです。
 
5−2.リニアファジィ推論法
 リニアファジィ推論法の特徴の基本は代数積−加算−重心法を原典とし、後件部の位置を後件部の任意位置に設定できる事を特徴とし、1ル−ル行1後件部毎にその貢献度を設定出来る様にしたものです。
 
5−2−1. 推論の方法は、前件部メンバシップ関数[A,B](最大グレ−ド=1)と外部入力「x1,x2」の交点「a,b」(グレ−ド)を前件部毎に求め、前件部間の代数積値「m」(かけ算結果)を求める。 m = a × b
 
5−2−2. 貢献度「c」は1行のル−ルに対して通常1.0を基準値とし、その1行のル−ルが貢献する度合いが設定できるもので、そのル−ルを大きく貢献させたい場合は最大9.9までの設定が可能ですが、0.0の設定の場合はその貢献度は0となり、推論上そのル−ルは働きません。
 
5−2−3. 5−2−1で求めた代数積値に5−2−2で設定された貢献度の代数積値「mm」(かけ算)を求める。 mm = m × c
 
5−2−4. 5−2−3で求めた値[mm]を後件部位置「Z」毎に後件部のグレ−ド(=1固定)にかけ算し後件部のグレ−ドを計算する。 mm = mm × 1
 
5−2−5. 5−2−1〜5−2−4項を繰り返し全てのル−ルについて計算します。
 全ての計算が終了すると、後件部の同じ位置「Z」に有るものを加算した上で、その値を元に後件部の重心「Z0」を計算します。 求まった結果が推論結果となります。
 
5−2−6. 以上の事を式で表現すると
ル−ル      前件部     後件部 貢献度
ル−ル1: if A1 and B1 then Z1 (c1)
ル−ル2: if A2 and B2 then Z2 (c2)
ル−ル3: if A3 and B3 then Z3 (c3)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ル−ルn: if An and Bn then Zn (cn)
入 力 :    x1 and x2            
結 論 : Z0=a1・b1・c1・Z1+a2・b2・c2・Z2+・・・・・+an・bn・cn・Zn)/(a1・b1・c1+a2・b2・c2+・・・・・+an・bn・cn)
 
5−2−7. 説明図
 
1.概 要 2.ファジィ倒立振子 3.ファジィ水位制御
4.PID水位制御 6.倒立振子の構成 7.水位制御の構成
8.体験版ご使用法 9.ファジィ応用217例 TOPページに戻る