(1) 「立ち」入り禁止
まず、「立つ、建つ、発つ、経つ、起つ」の基本義を辞書で確認します。(現代国語例解辞典 小学館)
@横になっているものが縦に起きる:卵が立つ、旗が立っている、立って答える
A発生する、形となって現れる:煙が立つ、霧が立つ、波が立つ、評判が立つ
Bある役割や目的をもって現れ出る:選挙に立つ、正義のために立つべきだ、証人に立つ
Cはっきり認められる、たしかなものになる:あかしが立つ、筋道が立つ、目算が立つ
Dうまくやっていく:暮らしが立つ、弁が立つ、筆が立つ
Eある位置を占めて存在する:人の上に立つ、優位に立つ
F建造物などが造られる:ビルが建つ、銅像が建つ
G出発する、出立する:いつたつんですか。八時に大阪を立つ
H時が経過する:年月がたつ
I動詞の連用形について、盛んに〜するの意を表す:「煮え立つ」「いきりたつ」など
「立ち入る」の「立ち」の説明にぴったりの項目は見当たりません。「立ち入る」は派生語なので、「立ち〜」の派生語を調べて、なにか共通するものがないか考えます。
立ち入る:ある場所の中に入る、干渉する
立ち寄る:目的地にいく途中で、あるところに寄る
立ち止まる:歩くのをやめてその場にとまる
立ち働く:からだを動かしていろいろよく働く
立ち退く:その場所を明ける。特に、住まいや土地を明け渡して立ち去る
立ち回る:あちこち歩き回る
立ち返る:もとのところにもどる
立ち去る:その場所からいなくなる
以上の8個の動詞の意味の重要な部分は後半部であります。前半の「立ち」は後半の動作にいたるまでの「動く」という意味を担っているようです。それは上記基本義のGHの「出発する」「経過する」から「何かが動いていく、移動していく」という意味に派生しているのだと思います。
したがって、「立ち入る」は「立って中に入るではなくて、動いていって、中に入る」というふうに解釈したほうが妥当かと思います。あるいは、後半部の動作を開始するというような解釈も可能かと思います。
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