北海道の方から以下のようなメールを頂きましたので転送します。文章・写真など自由に使ってもいいという許可を頂いてます。
(名前は伏せて欲しいということでしたのでその部分はカットしてます)
中村様

昨年、James Wharramデザインのカタマラン・ヨット:HITIA14の製作でご相談にのって頂いた、北海道・十勝在住のAです。 その節は親切なご指導を有難うございました。

今年の4月下旬から製作に入り、つい先日ようやく完成させることができました。 
早速、近くの海岸湖沼、生花苗沼(オイカマナイトウ)という小さな湖でテスト走行してみました。 天気は快晴微風、ヨットのテストにはまたとない条件です。 陸上でのリギングお稽古は一回しかしていないので、手順を間違えたり、どたばたしましたが、助っ人三人に助けられてなんとか浮かべることができました。 搭載した船外機のテストも無事終わり、帆走してみると弱い風を受けて存外にスムーズな走りです。
よい角度で帆に風を受けると最高で5〜6ノットは出た感じ。 助っ人を含めて大人4人乗った二度目のセーリングでも安定して引き波を伴って快走するではないですか! 二度目には逆風に逆らってタックを繰り返し、船外機の助けを借りずに戻ることさえできたんです。

味をしめて、その次は念願の屈斜路湖に挑みました。 「青い空、白い雲、紺碧の湖面を矢の様に疾走するカタマラン・ヨット」・・・、のはずだったんですが、・・・
天気予報に反してどんよりした曇り空、時折パラパラと小雨が舞い、木々が風に揺れています。 カタマランを車から降ろして組上げた頃にはそうとうな波、白兎が飛び跳ねています。 同行の二人が、「ちょっと、あぶないんじゃぁ?・・・」と尻込みするのを、「風はヨットのお友達、これしきに臆病風を吹かすとはなにごと!」、と叱咤して出港しました。
最初は満帆の風をうけて快調に飛び出し、あっという間に沖合い7〜800mまで運ばれました。 「さて、次はどの方向に?」、と考えて、タック技術がまだ未熟なことを思いだしました。 「この強風下でタックにしくじったら、ひっくり返るかもしれないぞ?、かといって、ジャイブはもっと怖いし、・・・」 一度恐怖感を覚えるともう、お手手が動かなくなってしまいます。 相棒の「船外機で帰りましょう!」の言葉にうなずいて、縮帆にかかったのですが、どうした訳か、ジプ・セールのハリヤードが絡まって降りてくれません。 シート・フリーになってパタつくセールが風を受けた状態に、一層荒れ始めた波が重なって、艇は大きく傾き、右ハルが完全に水中につっこんでしまいました。
「あーぁ!、 このまま沈か?、・・・」、思わず念仏?、十字?、賽銭?、・・ 
なんでもかんでも!!!

幸いにして船体は復元し、船外機の働きでほうほうの体で帰りつけました。 後から考えるに、モノハル艇だったら、間違いなく転覆していたことでしょう。 危うく遭難を免れたのは、カタマランであったればこそ。 改めて、この艇の設計者に感謝しました。 冷静になって考えれば、安定性抜群のカタマランですから、傾いて片ハルが水に突っ込んでも、返って浮力が増して復元する理屈で、それほど危険だった訳で
はありません。 でも、片ハルが水中に突っ込んだ一瞬、艇が傾いたとは理解できず、「あーっ!、船体が分解しちゃった!」と錯覚したものです。 自分でこさえただけに、「あそこの加工はちょっと手抜きしたなぁ、」、「ここの部材は強度に不安があるんだが、」と、あらゆる弱点を詳細に知り尽くしているもので、なおさら不安が募るというものです。

まぁ、それにしても、ろくすっぽタックもできない超初心者に、屈斜路湖のように大きな湖は、少々手強かった。 「十年早い」といわれてもしかたありません。 今後はもう少し小さな湖沼でお稽古を重ねることにします。

この小さなヨットで、これほどのスピード感が味わえるとは、想像以上でした。 とても良い艇を紹介して頂いたことに改めて感謝申しあげます。 この次はキャビン付きの大型カタマランに挑戦?・・・うーん、そいつは無理でしょうねー! でも、とてもそそられます。