日本一ラーメンを食べた男の隣

2005年5月24日。

最近の彼は、火曜の午前中、
麹町エリアにいる。
クライアントとの定例MTGが、
毎週火曜10:00からの設定なので、
いつも自宅から直行だ。
しかしこの朝は、
直行は直行でも、少し違った。
前の晩から朝方まで、
家で残務処理のために徹夜しており、
オフィスを出て自宅に向かったのは、
ようやく7:30ごろのことだった。

帰宅してシャワーを浴び、
身支度を整えて、再び外出。
先方に着いてMTG開始、
彼のパートのプレゼンを無事に終えて、
後は、いつものお店に行くことを、
思い浮かべていた。
MTGが終わった。
同行していたメンバーがふたり、
残って作業があるとのことで、
彼だけ先に失礼した。

麹町から新宿通りに出て、西へ向かう。
四ツ谷の駅前を通り過ぎ、
新宿通りより2本北側の路地を進むと、
最近、毎週彼が食べに来ている、
『広島つけ麺 ぶちうま』に近づく。

細い路地の店前まで来ると、
軒先に数人並んでいた。
混むときは、お昼どきはとんでもない行列らしい。
これはまだマシな方だ。
12:00台に来てしまったが、ツイている。
彼はその裾につけて、待っていた。
パラパラと客が出て行き、
店員さんが呼びに来る。
若い男性の店員さんが2人でやっているが、
どちらも愛想がよく、気さくで、気持ちがいい。



やがて彼が通されたのは、
カウンターのいちばん奥の席だった。
ちょうど彼の前に通された、スーツ姿のおっさんが、
ひとつ手前の席に落ち着いたところだった。
彼は手刀を切って、隣の席に滑り込み、座った。

麺をゆでたり盛り付けたりする方の店員さんが、
目の前から、隣のおっさんに声をかけてきた。

  「こちら、初めてですか?」
 「いぃえ」
  「失礼いたしました〜」

ここの店員さんは、初めての人には、
辛さや量の注文の仕様を細かに説明してくれるのだ。
彼が初めて来た時もそうだった。

辛さには、基本的には40段階ある。
どちらかというと、
ピリリと辛過ぎるのが苦手な彼は、
最初に来たときは1辛にしてみて、
前回、ちょうど1週間前に来たときは、
ちょっと上の5辛にしてみた。
5辛でも、まだいける感じだったので、
今日は10辛まで上げてみることにした。

次に量だ。
最初のときは、これも基本的な1玉。
これは少なくて物足りなかった。
先週は2玉。
最後はかなりギリギリの線で食べきった。
今日は、1.5玉にしておこう。

店員さんが再び、

  「今日は、どうしましょ?」

彼は、入った順と考えて、おっさんを待った。
おっさんは、まだしばらく迷った後で、

 「うーん、1.5玉にしとこうかな…」
  「はい」
 「辛さは5で。
   あ、あとね、キャベツのトッピングと、
    チャーシュー丼も」
  「かしこまりました〜」

(ほう、けっこう食うな…。
  このおっさん、タダモノではない…)

彼の周りにも、ラーメン屋で、
ご飯ものをつけて注文する人は多い。
彼は、ほとんど注文したことがない。
学生時代「コイケさん」とあだ名されたように、
彼はラーメンが好きなのだ。
ラーメンを食べに来ているのだ。
ご飯をつけるよりは、大盛りにしたり、
替え玉を注文したりする方がいい。

  「お客様は?」
「10辛の1.5玉で」
  「かしこまりました〜」

隣のおっさんは、手持ち無沙汰な、
そわそわした感じで待っている。
ふと気づいた。
おっさんの手の届くところには、
セルフサービスのお茶のポットがない。
彼の右、カウンターの右端に、
ポットとグラスが並んでいた。
彼はグラスを取り、お茶を注いで、

「お茶、いりますか?」

おっさんの方にグラスを差し出した。

 「え、あ、どーもすみません」
「いえいえ」

会話が続くわけでもなく、
またふたりとも静かに前を向いて、
カウンターに貼ってあるいろいろを読み、
つけ麺が出てくるのを待っていた。



  「お待たせいたしました〜」

店員さんが、両手につけ麺を持ってきた。

  「はいこちら1.5玉の5辛に、
    トッピングでキャベツ、ですね」
「…」

おっさんは自分のだと認識できていないようで、
反応しなかった。

  「えーと、こちらですね」

店員さんが、おっさんの前に差し出した。

 「あ、はい」

おっさんは手を出し、出てきた皿を、
自分の手元にすり寄せた。

  「はい、こちらは1.5玉の10辛で」
「はい」

お腹がすいて待っていた彼は、
自ら両手を出して受け取り、手許に置いた。

箸を出したところで、彼は思い出した。
ブログGMJ用に、写真を撮っておかなければ。
ポケットから携帯を取り出した彼は、
いつも、麺皿とつけ汁が並んでいるアングルなので、
ちょっと違う要素を入れたくなった。
箸で具をほぐして麺とからめ、
つけ汁に浸してから、持ち上げた。
カメラを左手に持ち、ややこしい角度でアングルを…。

 「カシャ」
(む…)

彼のカメラの音ではない。
隣のおっさんも、携帯のカメラで、
出てきたものを撮影していた。
それから、つけ麺を食べ始めた。

携帯で料理でもなんでも撮りまくってる若者は、
世の中のあちこちにいる。
彼がその部類だというのではなくて、
彼には、自分のサイトで使うという目的がある。
このおっさんは、何だろう…?

携帯で写真撮ってるオヤジなんて、
まず滅多に見かけない。
それが、昼下がりのこの四ツ谷のつけ麺屋では、
そんなオヤジがふたりも並んでいる。
縁もなく、仲間との会話もなく、
それぞれ単独で現われたふたりが、
食べる前に、並んで淡々と撮影している。
その絵を背中から客観的に想像して、
彼はおかしくなってしまった。

(このおっさん、タダモノではない…)

おっさんには、彼など眼中にもないだろうが、
彼には気になって仕方ない存在となった。
彼も遅ればせながらシャッターを切り、食べ始めた。



彼が、最初に『ぶちうま』に来たのは、やはり火曜で、
クライアントとの打ち合わせが終わってから、
ランチタイム相当の時間を使って、
帰社前にぶらっと歩いているときのことだった。
青い空に白い雲が浮かび、陽光も差していた。
市ヶ谷の、彼にとっては懐かしい、堀の北岸を歩き、
四ツ谷の北西エリアの裏路地をぶらぶらしていた。
ランチをどこで食べるのか、決めていなかった。

三栄町、住宅街や小規模のオフィスビルが並ぶ辺りで、
歩く彼の前方に、小さな看板が見えた。

 「広島風…」

お好み焼きか…。
広島風のモダン焼きは好きだが、
今はそれを食べる気分ではない。
彼は視界の片隅にそれを置き、
特に注視するでもなく、通り過ぎた。

(…ん?)

自分が今見過ごそうとした風景の、
網膜に焼き付けられた情報に引っ張られるように、
彼は振り返って看板を注視した。

(ぶちうま…)

それだけでは、何の店かまだ理解できていない。

(広島風…つ、け麺?)

毛筆で繋げて書かれているので、
つけ麺だと理解するのに少し時間がかかった。

(へぇ、つけ麺屋さんなんだ。
  でも、こんなところにぽつんとある店って、
   おいしいんだろうか…?
  広島風って…どんな味なんだ?)

営業時間が12:00から18:00と書かれている。
夜やらないラーメン屋って、どうなんだろう?
流行ってるなら、その稼ぎ時の時間は逃すまい。
しかし、店の意志やこだわりを感じる看板ではある…。

惹かれるものを感じ、彼は看板の所まで戻った。
そこから、砂利と芝が混じった、
舗装されていない小道が分かれていて、
小道沿いの建物のいちばん奥に、
『ぶちうま』と書かれた白い暖簾がかかっていた。

暖簾をくぐった。

「いらっしゃいませ〜」

若い、店員のお兄ちゃんがふたり。
客はひとりもいなかった、不安だ…。
まぁ、時計を見ればすでに14:00、
ランチタイムでもないから、当然か。

彼は、カウンターの、手前からふたつめに座った。
見回してメニューを探し、眺めていたが、
いまいち把握できていない。
そこで、店員が声をかけてきてくれたのだった。

 「お客様はこちら、初めてですか?」
「はい」
 「よろしければ、メニューと食べ方について、
   ご説明させていただきますが、よろしいでしょうか」
「あぁ…、はい、お願いします」

このとき彼に声をかけてくれたのは、
作ってる方の店員さんではない、
往年のG定岡っぽい顔の店員さんだった。
ここの店員さんは、まず最初に、

 「基本的なトッピングは、
   最初から少しずつ入ってますので〜」

と言ってくれた。
これはありがたかった。

つい、なんでもトッピングしたがる彼が、
玉子のトッピングをお願いして、
出てきたら玉子がふたつ入っている…、なんてときに、
店員の“感じなさ”に腹が立つことがあるが、
この店では、おかげで無駄な注文をせずに済んだ。

一事が万事、こういう親切な説明を聞いた後で、

 「今日は、どうしましょうか?」
「う〜んと…、じゃぁ最初だから、1玉の、1辛からで」
 「かしこまりました〜」

暖簾をくぐったときに感じた不安は、ほぐれていた。
これは、けっこう期待できそうだ。
その他の、ゴキゲンな貼り紙を読んで理解しながら、
静かに待っていると、店員さんが声をかけてきた。

 「この辺でお勤めなんですか?」
「いえ、今日のお客さんがコッチの方で、
  ぶらっと歩いてたらたまたま看板を見つけまして」
 「ありがとうございます」
「最近始められたんですか?」
 「お店は、1年半くらいですね」
「へぇー」
 「こちら、お先に、1辛のつけ汁になります」
「あ、はい」

けっこう赤い。
貼り紙の手順の通り、彼はつけ汁をかき混ぜた。
やがて平皿に、モンサンミッシェルの修道院のように、
キャベツ、きゅうり、ネギなどの野菜が、
中央にうずたかく盛られた麺が、彼の前に現われた。
さっそく、これも貼り紙の手順の通り、
野菜を麺に絡め、つけ汁につけて食べた。

(! ほぉぅ…)

感じからいうと、冷やし中華に近い。
きゅうりや汁の酸味が、そうさせるのだと思う。
しかし、彼が冷やし中華に抱いている、
人工的な調味料への抵抗感はここにはない。
トマトの自然な甘味と酸味が、
つけ汁につまっていて、ナチュラルにうまい。
その上で、辛味が効いている。

独特なのは、麺の歯切れだ。
けっこう固めだが、噛むと、
いともたやすくポクポクと切れる。
この麺の食感で、人によって好き嫌いが別れるだろうが、
彼としては、これは“アリ”だ。

おそらく…。
“カップラーメンを食べたいとき”と、
“カップヌードルを食べたいとき”が違うように。
あるいは、
“ラーメン屋でラーメンを食べたいとき”と、
“『桂花ラーメン』で食べたいとき”が違うように。
『ぶちうま』を食べたいときは、
それだけをピンポイントに食べたいとき、
になるに違いない。
そういう強烈な存在感を、
“いちげんさん”の彼にぶつけてきた。

貼り紙に書いてあるとおり、
中盤に差し掛かったところで、彼は、
添えられているレモンを、つけ汁に絞ってみた。
そして麺と野菜を取り、口へ運んだ。

(ふむ、全然違うな、また…)

さっぱり度が増して、中だるみを解消する味に。
チャーシューのつけダレもまた、おいしい。

全部平らげたところで、さらに貼り紙の手順に従い、
彼は、カウンターに置いてある酢を、
つけ汁に少しずつ注いで、両手に持って飲んでみた。

(うぉぉ、うめぇ…)

長篠の織田鉄砲隊ばりに何段もの構えで、
休む間もなく、多彩な攻撃をしてくる。

「ふぅ…」

全部食って、お茶を飲んでいるところで、
店員さんが声をかけてきた。

 「なんか、降りそうですね」
「わ、ほんとだ」

どんよりしたネズミ色の雲が立ち込め、
まるで日暮れ直後のような暗さになっていた。
そしてあっという間に大粒の雨が降りはじめ、
やがて雷光が走った。

「うわー」
 「もう麺切れで閉店しましたんで、
   ゆっくり雨宿りしてってください」
「あ…、どうもすみません」

彼は、折畳傘を持ってはいたが、
出入り口付近のテーブル席に座り、
店員さんが出してくれたお茶をいただいて、
雨脚が弱まるのを待つことにした。

作ってる方の店員さんが、声をかけてきた。

 「お腹、いっぱいになりましたか?」
「はい、味にも満足です」
 「ありがとうございます」
「毎日、ホームページに、
  寄ったお店のことを書いてるので、
   今日も帰ったら、ここのこと書きます」
 「お! お願いします。
   自分らでそういうの作れないので、
    来てくださったお客さんに、
     ぜひお任せしたいところです…はは」
  「僕、毎日ネット見てるので、
    お客さんのサイト、
     教えてくれたら見てみますよ」
「あぁ…、ぜひ、お願いします」

彼は、店員さんが出してきた紙に、
自分のサイトの名前を書いた。

「これをYahoo!で検索したら、
  検索結果に出てきます」
 「おぉ、ではさっそく今夜見ます」

やがて、若干だが、雨脚は弱まってきた。

「じゃぁ、傘あるので、
  これぐらいで行ってみます」
 「ありがとうございました〜。
   またぜひ、よろしくお願いします」
「あ、はい、またうかがいます」

雨の中、引き上げたのだが、
この、とてもすがすがしい気持ちはなんだ?

これまで、GMJで回ってきた店は、
だいたい昔から行きつけの店だったり、
ネットや口コミで情報を仕入れて行ってみたり、
お店のことを知っているケースがほとんど。
恵比寿の豆腐料理『空の庭』は、
歩いていてたまたま通り、見つけはしたが、
後日、実際に食べに行く前には、
前職同期のmikinが行ったことあるのを知り、
どんな感じか聞いてから予約したのだ。

予備知識なしに、通りかかった勢いだけで、
お店に入ってみたのは、
彼の性格ではかなり珍しいことだ。
それでいて大当たりだったのも、稀だ。



10辛にしてようやく、
彼の許容限度すれすれの辛さがきた。
ちょっとピリピリする。
ここくらいでやめておくのが、いいらしい。
40辛を食べる人たちの舌は、どんなんだ?

うまいし、食感がたまらないので、
ほおばったそばから、箸が次の麺をつまむ。
唇についたつけ汁がヒリヒリするので、
彼は拭こうと思って、
左前に置いてあるティッシュを取ろうと…。

(ッ!)

隣のおっさんが、ティッシュに手を伸ばした。
その鋭い所作に彼が一瞬ひるんだ隙に、
おっさんは先に取り、口元を拭いた。

(…)

相撲用語でいう、“後の先”というヤツ。
彼は、意味のわからない敗北感を感じながら、
続けてティッシュを取り、拭いた。

(このおっさん、タダモノではない…)

ひと通り食べ終わって、
彼はつけ汁に酢を入れつつ、
お茶をチェイサーにちびちびやっていた。
おっさんも食べ終わったようだ。
よく、あれだけの量を、この歳のおっさんが、
きれいに平らげたもんだ。
それでいて、ブクブクしてるわけでもない。
何をやってる人なんだろう…。

(タダモノではない…)

ティッシュで負けた彼は、
せめて先に立ってやれと、
意味のない勝負ゴコロで、
おっさんより先に会計を済ませ、
店を後にした。



2005年5月30日。

夕方、オフィスで、書類作成作業に没頭する彼は、
それから迎える覚悟の徹夜作業の前に、
ネットをぶらぶらしようと思った。
ふと、Yahoo!のトップページ右下にある、

 『ラーメンの魅力いっぱいのサイト特集

というのに気づいた、

(あぁ、明日も外出したら、
  『ぶちうま』食いたいなぁ…)

クリックしてみた。
まぁ、彼が日ごろちょくちょく見ている、
知ってるサイト群が並んでいる。

 『自称「日本一ラーメンを食べた男」のラーメン日記

このサイトは見たことないかな…。
あったかもな…
クリック。
日本一ラーメンを食べた男という人の、
ニュースなんかは見たことがあるし、
その人物の存在も知ってはいるが、
本人の顔なんかはあまりよく知らない。
筆者の写真は、中年の人だった。

 『2005年4月株式会社ラーメンデータバンク設立』

へー。
ブログで、日々食べているラーメンが記録されてる。

 『今年327杯目』

それって…。
5月末だから、約150日。
1日2食以上か…。
確かに、日本一ラーメンを食べてんだろうな。
というか…。
そりゃぁ、いくらなんでも、食いすぎだろう。

最近食べてるらしいラーメンの記事を、
スクロールしながら閲覧しているうちに、
ある日付の記事で彼の手は止まった。

 『ぶちうま@四谷(広島風つけ麺+チャーシュー飯)

(お、この人も、『ぶちうま』行ってるねぇ)

コメントをさらっと眺めてから、
彼はさらに過去の記事へ下っていった。

(…ん?)

自分が今読み流そうとした文章の、
網膜に焼き付けられた情報に引っ張られるように、
彼はスクロールしなおして、
『ぶちうま』の記事に戻った。

(5月24日って、何曜日だ?)

火曜日。

 『3人待ち』

(ん?)

 『1.5玉+キャベツ増し
   +チャーシュー丼。頼み過ぎた。』

(んん〜?)

彼は、さっき一瞥をくれただけの画像に、
再度注視した。
そして、先週の火曜日、5月24日の昼に、
自分がどこで何をしていたかを、
ジオログ GMJの当日の記事から呼び出し、
その記憶の中の画像を照合してみた。

(んんんん〜!?)

完全一致。
隣のおっさんは、
モロ、これを食べていたじゃないか…。
携帯で写真、撮ってたし…。

お茶を差し出すときに一瞬視界に捕らえた、
隣のおっさんの印象と、
このサイトに掲載されている、
記者会見の看板を背にした筆者の顔を照合してみた。
だいたい一致。
そうそう、メガネかけてた気がする。

(ぬぉぉぉ、隣のおっさん、
  こんな有名な人だったんだ…)

日本一食べていることを自負する様子でも、
“ラーメン通”をひけらかす様子でもない、
ごくごく普通に、ラーメンが出てくるのを、
楽しみに待っている風の生身のおっさんだった。
だから彼はお茶を注ぎ、ふつうに差し出したのだ。
食べている間、有名人的なオーラなど、
これっぽっちも出ていなかった。
だから、彼は、たかがティッシュ1枚に、
変なライバル心を燃やしたのだ。

しかし。
おっさんは、世間のラーメン大好き人間が認める、
有名なラーメン通であり、
貴重なコメントを発信する情報源であり、
ラーメンをビジネスにすらできる、
その道のやり手だった。

こんな偶然は、そうはないだろう。
そして、おそらく二度と、
隣の席でラーメンを食べるなんて、ないだろう。



(むぅぅ、やはり、タダモノではなかった…)